脇役だったはずですが何故か溺愛?されてます!

紗砂

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問題発生?

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……入学して2ヶ月。
私は数々の問題に直面していた。

一つ一つは小さいのだが……数が多いのだ。

1つ、兄がこまめに教室へ来ることだ。
仕事もせずに来るらしく他の光隆会の先輩が私のいる教室に居座るようになったのだ。
しかもその時に限って……。
まぁ、それは2つめだ。

2つ、天也と奏橙のせいによる女子からの妬みだ。
それによりかなり面倒なことになっている。

例えるなら、机に落書きをされたり、物を勝手に捨てられたり……。
時には人気の少ないところへ呼び出されることもあった。

3つ、2つめのことによる兄達の報復のような事を止めること。
これが1番大変なのだ。
兄が話を聞いてくれないんだよね……。


「あなた、聞いていますの!?」

「えぇ、勿論、聞いていますわ。
……ですが、私ではどうにもならない事のようですので失礼させていただきますわ」


何も聞いていなかったがどうせ、天也と奏橙に関することだろう。
あぁ、もう……面倒臭い……。
ヒステリックを起こした者より面倒な者は中々いないと思うんだ。


「なっ……待ちなさい!!
あなたなんかが何故天野様や神宮様と……!!」

「知りませんわ。
あの御二方に聞いてください。
それと……この尻拭いをするのは私だということをお忘れなく。

……はぁ、お兄様にバレていなければいいのですが。
隠すこちらの身にもなって……」

「咲夜、隠し事は良くないよ。
僕が咲夜について、知らないことなんてあるはずがないんだから。
さ、正直に話そうか。

……それとも、僕の可愛い妹に手を出した奴らに聞いた方がいいかな?」


……まったく運の悪い人達だ。
よりによって兄にバレるどころか見られるとは……。

というか、兄がストーカーっぽくて怖いのだが。


「お兄様……何故ここにいるんですか」

「咲夜がここにいるって聞いたからね」


……誰から、とは聞かないでおこう。
ただ、きっと兄の笑顔という名の脅しに屈したのだろう。
というよりも、聞いたからといってここに来なくともいいと思うんだ。


「けど……まさか こんなことになっているとは思っていなかったよ……。
咲夜、行こうか」

「っ……ま、待ってくださっ……。
わ、私達は別に」

「お兄様、少し待っていただけませんか……?」

「……分かったよ」


私は兄の許可を得てから彼女達に近付くと声をかけた。


「明日は他の場所でお話いたしましょう。
また、色々と教えていただけると有難いですわ。
では、お先に失礼致します」


こうしておけばきっと問題ないだろう。
多分……。


「……はぁ、仕方ないな、咲夜は。
全く……甘すぎるよ」


きっと兄は気付いている。
それでも、こう言っておけば兄は手を出さない。
いや、出せない。
私の友人、そう見せておけば私の機嫌を損ねるかもしれないので何も行動を起こすことは無い……はず。
それを分かっているからこそのこの行動だった。


「お兄様ほどではないと思うのですが……」

「僕よりも全然、優しいよ。
僕が優しいのは咲夜だけだからね」


そう言って、兄は私の頭を優しく撫でる。
その優しく暖かな手が心地いい。

でも、私にだけ優しいというのもどうなのか。
皐月先輩にも優しくして欲しい。

これがゲーム越しだったら悶えていたかもしれないが現実、それも実の兄からだと全くそんな気は起きなかった。

……まぁ、この兄だし。
という言葉で完結してしまうほどには慣れていたのもあるからだろうが。


「あぁ、もう……可愛いんだから……。
……仕方ないから今回は、咲夜に免じて許してあげる。
行くよ、咲夜」

「っ……はい!」


先を歩くお兄様に並ぶように少し小走りになると、お兄様は私に歩幅を合わせてくれる。
そんな気遣いが私以外の人にも出来たらなぁ……。


「咲夜!」

「天也……?
どうかしましたの?」


天也が私を見つけるなり走り出してきた。
奏橙が居ないようだがどうしたのだろうか?
天也単体はかなり珍しい気もするが。


「あ、いや……。
大丈夫かと思って来たんだが……」

「問題ありませんわ。
慣れていますもの。
ただ、お兄様を止めるのが大変でしたけど」


私は笑顔で応対するといつもの様に挨拶を交わしお兄様と共に車に乗り込んだ。

車の中で、お兄様が私の髪を弄り始める。
少しくすぐったいが兄はご機嫌のようなので放置しておくことにした。




次の日、先日話していた令嬢達を見つけ、近付くとすぐに謝罪をした。
勿論、兄に関してだが。


「申し訳ありませんでしたわ。
お兄様は少々気が立っているようでして……先日の件は許していただけませんか?」

「え、えぇ……」

「ありがとうございます」


彼女達の返事に、用は終わった!とばかりに自分の席へ戻るとすぐに天也と奏橙の2人が来た。

内心で毒づきながらも表面上では取り繕っているとこちらも先日の件についての話だった。


「大丈夫だったか?
助けてやれなくて悪かった」

「問題ありませんわ。
それに、これくらいは自分で対処できますのでご安心を。
ですから、これからはお兄様は呼ばないでくださいね?」


冷たく言い放つとなせか天也は安心したように、奏橙は笑みを深めた。


「本当に大丈夫そうだね。
普通、こういう事があれば傷ついたりすると思うけど」

「生憎ですが……私、そんな女々しい性格はしておりませんので。
いちいち傷ついていたら身が持ちませんし」

「女々しい……か。
面白いな」


……何故そこで面白いという感想が出てくるのか。
しかも何故そうも嬉しそうなのか。
全くもってわからん……。


「咲夜なら安心だね」

「何がですの?」

「さぁ、何だろう?」


奏橙の言葉に、これ以上何を聞いても無駄だろうと思った私は2人をスルーし窓の外を眺めた。
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