脇役だったはずですが何故か溺愛?されてます!

紗砂

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新友

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あれから2週間たち、ヴィルの手術は成功。
既に退院し、屋敷でロイと共に暮らしてもらっている。
学校に関しては私と同じ学校に通うこととなっている。
それは、ヴィルの都合もあってのことだった。

意外であったがヴィルは私と同い年だったのだ。
病弱で長い間、入院生活だったこともあってか同年代の中でも小さいだけなようだ。
勉強も中の上か上の下くらいは出来る。
運動に関しては……まぁ、言わずともかな。

入院生活で体力もないので仕方ないが。


「では、行って参ります」

「あぁ、頑張ってきなさい。
ヴィル君も、咲夜の事を頼むよ」

「はい。
僕に出来る限りの事をいたします」


私がヴィルのことを頼まれるのではないのか。

父は親馬鹿だと理解しているためかそこまで不満には思わなかった。


「もう……。
咲夜ちゃん、ヴィル君の事ちゃんと見ているのよ?
それと、大丈夫だとは思うけれど……お友達が出来る事を祈っているわ」


祈っているとは……それは神頼みでなければ私に友人が出来ないと言っているのだろうか?

だとしたら酷い言われようなのだが。
私にだって天也と奏橙、兄がいなければ普通にもっと友人くらい出来るというのに……。

私は笑顔で応対してからヴィルと共に車に乗り込み学校へと向かった。

今日からしばらく、私が通う事になる学校の名はヴィースリーグ学園。
光隆桜学園の姉妹校である。

私は留学、ヴィルは編入という事もあり、ホームルームで挨拶をさせられた。


「姉妹校である日本の、光隆桜学園から参りました、海野咲夜と申します。
短い間になると思いますが、よろしくお願い致しますわ」


私はいつも通り、笑顔で挨拶をする。
対してヴィルは緊張しているようで固まっていた。


「あ……ヴ、ヴィル・サルヴァンです。
よろしくお願いします」


最初に少し噛んだが特に問題はなさそうだった。

なんか面倒なことになりそうだ、などと思いながらも先生に指定された席に着く。
すると、その予感は的中し隣の子が話しかけてきた。


「咲夜、だっけ?
僕はラハト・ルージュ。
よろしく」

「えぇ、よろしくお願い致しますわ。
ラハトさん」

「んー、ラハトでいいよ。
僕も咲夜って呼ぶし」

「では、そうさせて頂きますわ」


これは友人候補が!
などと内心で思いっきりはしゃいでいる私だが、休み時間になった途端、後悔した。


「……咲夜さん、だったかしら?

いい気にならない事ね。
ルージュ様は誰に対してもお優しい方なの。
あなたのような方に気があるわけでは無いわ。
その辺のことを、勘違いしないで頂戴。
はっきり言って迷惑だわ」


多分、ラハトのことを好きなのだろうなぁ……などと思いつつも適当に受け流す。
そのつもりであったのだが、天也のことを思いなすと少しだけ笑みが零れた。


「えぇ、気があるなんて……そんな事、あるわけありませんわ。
私とラハトは初対面ですもの。

それに、私には日本に婚約者もいますし」

「そ、そうでしたの……」

「はい。
天野天也というのですが、本当に素敵な方なのです。
可愛くて優しくて面白いうえ、かっこよくて可愛いのです!
私が少し体調が悪いとすぐに気付いて対応してくださるんですの!
他にも……」


天也のいい所なんていくらでもある。
それを教えてあげよう、などと思っていると、彼女は顔を引き攣らせて止めてきた。


「あぁ、もう!
分かりましたわ!!
婚約者の方が素敵な方なのは分かりました!!
もういいですわ!」

「え……た、天也のことを好きになってしまったりは……?」

「しませんわよ!!」


ホッとするのと同時に天也以外にいい人は……などという思いも出てくるあたり、どうなのかよく分からない。
不安はないからだろうが。


「あ……そうでした。
お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「え、えぇ……。
シャール・リスカーよ」

「シャルとお呼びしてもよろしいでしょうか?
私の事も咲夜とお呼びしていただいて結構ですので……」


同性の友人が!
とこの時もはしゃいでいたため気付かなかった。
周りの人達が笑いを堪えているのを。


「よ、よろしくてよ。
はっ……調子に乗せられましたわ……。
私としたことが……」


シャルは頭を抱えて席に着いてしまった。
もう少し話したかったのだが仕方ない。
今は諦めよう。


「君、面白いね。
リスカーさんをあんな形で追い返すなんて……。
君、意外と黒い?」

「え……シャルがどうかしましたの?
注告してくださる優しい方ですわよね?
それに、天也のことを好きになることはないようですし」

「くっ……くくっ……あれ、絶対注告ってよりライバルになりそうな君に釘をさしに来ただけでしょ」


私はその言葉に目を丸くした後、ふふっと笑った。


「あら、それなら可愛らしい方ではありませんか。
向こうでは注告すら無しにやられますもの。

私も婚約者と友人のせいで何度散々な目に合わされたか……。
お兄様に知られると相手側がどうなるか分かりませんし隠すのに必死でしたわ……」

「……君、苦労したんだね。
っていうか、君のお兄さんってそんな怖いの?」


普通に同情された。
私は兄を思い出して溜息をついてから答えた。


「…そうですわね…怖いですわね。
……何度か着せ替え人形にされた事がありますし。

……まぁ、簡単に言うのでしたらシスコン、でしょうね。
お兄様自身は自覚していないようですが向こうでは有名でしたわ」

「……へ、へぇ……。
そんなに?」

「最初の頃は休み時間毎に私のいる教室へ来ては時間ぎりぎりまで抱きしめられていましたわ。

……最近では何故かお兄様の部屋に盗さ……身に覚えの無い私の写真が多数ありましたわ」

「……今、盗撮って言おうとしたよね!?
それ、もうシスコンの域超えてると思うんだけど!?」


そんな彼のノリが面白いと感じる。
向こうでいう天也のノリに何となく似ている気がしたのだ。


「まぁ、それは私も思いますが」

「えー……止めないの?」

「……もう、7年程前に諦めましたわ」

「あー……そっか、うん。
なんかごめん……」


あれだ、天也と奏橙を混ぜた感じ。
きっと2人を混ぜたら彼のようになる。
そんな事を思い思わず笑ってしまう。


「あなたは兄弟はおりませんの?」

「2つ下の妹が1人いるよ。
まぁ、僕の事は嫌っているようなんだけど」

「……何となく分かりますわ」

「えー、酷いなぁ」

「酷いと言いながらそうは思っていないでしょう?」

「まぁね」


彼の軽薄なところが嫌われるんじゃないかと思うがそれは口にしなかった。


「僕は、アールズ・レイト
よろしく」

「海野咲夜です。
よろしくお願い致します」



改めて、というように自己紹介してきた彼に私も再び自己紹介をする。


「あ、僕も咲夜って呼んでいい?
僕の事はアルでいいから」

「えぇ、勿論ですわ」


こうして、この日私には3人の友人(?)が出来た。
やったね!
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