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お礼
しおりを挟むさて、留学してから1週間たち、私達は実力診断テストをやらされていた。
まぁ、休み明けの確認テストであり成績には入れないらしいので、私は気ままにやる事にした。
全てのテストが終了するとシャルとアルが私のもとへと来る。
「咲夜!
今回のテスト、絶対に負けませんわ!
勝負ですわよ!」
「申し訳ありませんが……今回は負ける気がしますわね。
テストがあるだなんて知らなかったので勉強なんてしていませんでしたから……」
テストがあると知っていたらもう少しちゃんと勉強した。
……多分。
「あら、負け惜しみかしら。
当然ですわね。
あなたが私に勝てるはずありませんもの」
自信が満ち溢れた様子のシャルに私はクスリと笑っていたがアルは苦笑を浮かべていた。
「リスカーさんはこれでも学年トップなんだよ。
咲夜は日本では何位くらいだったの?」
「まぁ、上の方でしたわね」
「ふーん……10位以内?」
「えぇ、まぁ」
「……5位までには?」
その問いには笑顔で返した。
え?
何で言わなかったかって?
特に意味は無い。
「咲夜様の日本でのテストの結果は毎回1位だったとお聞きしています」
口を挟んできたのはヴィルだ。
……ヴィルは一体、誰からその話を聞いたのだろうか?
母……では無いだろうから父からの自慢話でだろうか?
まさか、兄と繋がっているなんてことはないだろうし。
「それ、ヴィルは誰から聞いたの?」
アルがヴィルの誰かから聞いたという様な口調について尋ねた。
私も気になっていたので心の中でナイス!と親指をたてる。
「咲夜様のお兄様、悠人様からですが……」
……まさかの兄だった様です。
ないと切り捨てていたのに……。
あの兄は何故ヴィルと話しているのだろうか?
というか、いつから兄がかかわっていたのだろうか?
あれ、まさかヴィル、こっちの情報を流したりしてないよね?
「あぁ、あのシスコンの……。
どんな人なの?」
「……えーと……咲夜様の事に関しては我を失うというか……何度か話した時も途中から咲夜様の自慢話や昔話にすり替えられました。
……咲夜様の事を本当に大切にしている.、妹思いの方ですよ」
……何時間も話したのだろうという事が伺える。
一体兄は何をやっているのか……。
そんなに暇ではないと思うのだが。
というか、ヴィルには悪い事をした。
あの兄の対応は大変だっただろう。
「……ヴィル、申し訳ありませんわ…。
お兄様が迷惑をかけたようで……」
「えっ……い、いえ!
そんな事はっ!!」
「あのお兄様の事でしょうから何時間も話していたのでしょう…?
次にそういった事があれば私を呼んでください。
それか、私がお兄様からの電話が少なくて寂しそうにしていたと言えば解放されますわ。
私の方はお兄様から電話がかかってきてもすぐにお兄様もお疲れでしょうから、と言えばすぐに切れますもの」
「……分かりました。
そうさせて頂きます」
どうやら物凄く迷惑していたらしい。
……あの兄にも困ったものだ。
「あ、そうでした。
悠人様が来週、来られるそうですよ」
「……えっ……?」
「ふーん」
「あら……」
私は密かに面倒だと思ってしまう。
だが、次の言葉にそんなものは吹き飛んだ。
「悠人様と一緒に咲夜様の婚約者の方も来られるそうですが……」
「……っ!?
た、天也が!?
私にはそんな事、一言も…」
何故私には言わず、ヴィルには言うのか。
今度あった時には文句を言ってやろう。
などと思いつつも上機嫌になるのだが。
「咲夜の婚約者…?」
「咲夜の婚約者…どんな方なんですの?」
「僕もその方の事は知りません。
悠人様に尋ねても『害虫』だとしか答えてくださらなくて……」
兄はまだ天也の事が気に食わないらしい。
私は溜息を吐くと天也の事を考え出した。
「……咲夜、顔」
「だらしないですわね」
「~っ!!」
私は恥ずかしさのあまり顔を背けた。
その顔がほんのりと赤いのは仕方のない事だ。
「本当に好きなんだ……その人の事」
「……シャルに紹介は致しませんわよ」
「……どうして私だけなんですの?」
「……シャルまで天也を好きになってしまったら負けるかもしれませんし」
「有り得ませんわね。
咲夜も分かっているでしょう?」
そう言われ、ようやく思い出す。
シャールには既に好きな人がいた事を。
ならば天也は取られないはずだ。
……大丈夫なはず。
うん、きっと大丈夫。
「……そんなに紹介して欲しいのですか?」
「えぇ、勿論」
「まぁ、気になるしね。
咲夜がそれほど取り乱すなんて……」
「……分かりましたわ。
多分、天也と行動するとお兄様もついて来ますが……」
シャルはいいとしてもアルは少し不安が残る。
本人がいいならいいのだが。
「大丈夫ですわ」
「問題無いよ」
どうしても天也と会いたいらしい。
私は溜息を吐いてから了承し、来週、家に来てもらう事にした。
「咲夜でもそんなに取り乱す事がありましたのね」
「……そんなに完璧に見えます?」
「えぇ」
「僕も最初の頃は完璧な方だと思っていました。
……まぁ、すぐにそうでないと分かりましたが」
ヴィルまでもが私を完璧だと思っていたと口にする。
そんなはずがないのに。
私はいつも失敗ばかりだというのに……。
しかも、結構本音が漏れる事もあるし。
「シャル、話は変わるのですが……この辺で美味しいマカロンの店は知っていますの?」
「マカロン……そう、ですわね……。
今度でよろしければ教えて差し上げま……」
「お願い致しますわ!」
私のあまりの食いつきにシャールは少し引いていた気もするがそんな事、気にならないくらいに私は浮かれていた。
「……マカロン、好きなんですのね」
「えぇ、特に柚子やレモンが」
「あ、そういえば咲夜とレスカーさんは体育大会、どの競技に出るつもり?」
そう。
なんと、こちらでもこの季節に体育大会があるらしかった。
「何の競技がありますの?」
「あ、そっか。
例年通りなら、玉入れ、借り物競走、障害物競走、騎馬戦、選抜リレーかな」
「私は玉入れに参加する予定ですわ」
シャルは玉入れらしい。
ヴィルは少し考えた後、玉入れに決めた様だ。
……体力面での問題からだろう。
「ちなみに、僕は借り物競走と騎馬戦に参加予定。
あ、リレーも多分入るかな……」
「私も玉入れに参加しますわ」
シャルやヴィルもいるという事で決めたわけだが……。
まぁ、借り物競走は人だった場合私には不利だし、障害物競走は危険そうだしね。
騎馬戦は…まぁ、言わずともかな。
「そういえば、咲夜って50mのタイムは…」
「7.3くらいですわね」
「……早くない?」
「普通ですわ」
嘘だ。
このタイムのせいで私は体育大会の時、毎回と言っていい程リレーの選手に選ばれていた。
「絶対嘘でしょ……」
そんなアルに対し、私は曖昧に微笑んだ。
結果を言おう。
私は玉入れとリレーに出場することになった。
これも全てアルが推薦した結果だ。
今度お礼をしてあげなければいけないだろう。
それはもう、たっぷりと、ね。
まぁ、もちろんアルを全ての競技に推薦しといてあげたが。
これでめでたく、アルも全競技参加だ。
やったね。
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