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新学期
しおりを挟むあのデートから約8ヶ月経ち、5月となり、新学期から1ヶ月程遅れてはしまったものの、私は留学から帰ってきていた。
清水や真城、司は勿論のこと、ロイまでもが私について日本まで来るという形で。
ヴィルについては留学という形で日本に来ることとなっていた。
流石に、保護者代わりのロイがいないのに向こうに置いてくるのは気が引けたしね。
私は1組、ヴィルは3組だ。
ちなみに天也と愛音も1組らしい。
紫月と奏橙は3組、凛は2組のようだ。
光隆会については天也と奏橙、愛音は勿論のこと、何故か私までメンバーに入っているらしい。
……テスト、受けてないのに。
何となくだが、天也と奏橙の2人が原因の気がしてくる。
主に天也だろうけど。
「あー、今日からこのクラスに新しい(?)奴が増える。
入ってこい」
「海野咲夜と申しますわ。
訳あって、新学期に遅れてしまいましたが……宜しくお願い致します」
クラスも変わり新しく見る人達が居たのでちゃんと挨拶はしておく。
そして、席に着く際、担任が……。
「海野、放課後に特別会議室に行ってくれ」
「その件なのですが、私、テストは受けていないはずですが……何故私まで入っているのでしょうか?」
特別会議室、と言われているその部屋は光隆会の集まる時にのみ使用する部屋なのだ。
だからこそ、謎であったことを質問した。
「うん?
天野、受けてもらったんだよな?」
「咲夜、4月にデータを送っただろう」
4月と聞いて思い出すのは突然天也から送られてきたデータだ。
5教科のテストのような問題が並んでいて、それをやらされた覚えがある。
……まさか、それがテストだったというのだろうか。
カンニングをするかもしれないというのにそんなことをしていいのか、という疑問は残るが問題ないと判断されたのだろう。
「……アレがテストでしたの?」
「あぁ」
「ちなみに結果は……」
「文句なしの満点だ」
……嘘だとしか思えない。
まさか、知らず知らずのうちにテストを受けてたとか!
「……先に言って欲しかったですわ」
「先に言ったなら咲夜は手を抜くだろうが……。
それか、やらないかのどちらかだろう」
「……否定は出来ませんわね」
悪びれもなく口にすると、天也はなんとも言えない表情を浮かべた。
「よし、じゃあ全員揃ったところで今度こそ決めるぞ。
クラス委員やりたい奴いるか?」
……待って欲しい。
1ヶ月もたったのにまだ決まっていなかったというのか。
おかしいだろう。
何故決まっていないのだろうか。
「……よし、居ないな。
じゃあ、推薦する奴いるか?」
「……咲夜様と天野様を推薦致します」
突っ込みたい。
何故帰ってきたばかりの私を推薦する!?
天也だけにして欲しい。
「私は愛音を推薦致しますわ」
「えっ……!?
む、無理です!
私は特待生で入学しているのでそんな余裕無いです!!」
確かに、流石に駄目だったか。
愛音は忙しいよね。
特待生で入学をしているのに成績が落ちたりなんてしたら、と考えるとね。
「咲夜、俺とでは嫌か?」
と、天也に言われてしまっては、惚れた弱味というものなのか、私は白旗を上げるしかなかった。
「うっ……分かりましたわ。
その仕事、お受け致します……」
敗北感が拭えないのは当然の事だろう。
少なくとも、今年はそういった事から離れられると思っていたのに。
来年はともかく。
……後で天也に埋め合わせをしてもらおう。
いつもの店にある、柚子のマカロンで手打ちにしておこう。
「よし、決まりだな。
文化祭については竜ヶ崎と成瀬、体育祭、球技大会については暁と東郷だな」
……決まっていないのはクラス委員だけだった様だ。
凛は2組でクラス委員になっているようだし、まだマシだと思うことにしよう。
それに、紫月と奏橙も当然、クラス委員だろうし。
そして放課後、私は特別会議室に天也と愛音、奏橙の4人で来ていた。
「お、来たね。
んじゃ、改めて……俺は今期会長の3年2組の桜丘神門。
よろしく」
「3年2組、空栗煉斗。
よろしくね」
「3年5組の白凪叶矢です。
よろしくお願いします」
結局、3年の先輩は変わらないらしい。
そして、2年のメンバーだ。
「2年1組の天野天也だ。
よろしく頼む」
「同じく、海野咲夜と申します。
宜しくお願い致しますわ」
「あっ、2年1組の黒崎愛音です!
よろしくお願いします」
「2年3組の神崎奏橙です。
よろしく」
2年のメンバーも特に変わってはいない。
ただ、クラスが変わっただけだ。
……奏橙は1年も2年も3組だったけど。
「1年6組の月城瑞稀です。
宜しくお願いしますっ!」
「1年1組の、月城心彩です。
よろしくお願いします、先輩!」
1組と6組の2人は顔もよく似ているし双子なのだろうか?
「1年2組、天沢響です。
宜しくお願いします」
瑞稀君に心彩さんに響君か。
うん、今年は色々と大変そうだ。
「瑞稀君と心彩さんは双子ですの?」
「は、はい……!」
「そ、そうですっ……!!」
緊張しているのか2人して顔を赤らめ、慌てている。
全くもって可愛らしい後輩だ。
そんなに緊張する必要はないと思うけど。
もしかして、私が威圧感を出してしまっていたのだろうか?
だとするのならば申し訳ないが。
「さて、1年生達は何か質問はあるかな?」
会長となった神門先輩が優しく緊張をほぐすような口調で問いかけた。
「えっと……さ、咲夜先輩の婚約者が天野先輩だって本当何ですか?」
「はいっ……!?
……ほ、本当ですわ」
「咲夜は知らないけど……天也は本当に咲夜の事を溺愛しているよ。
あぁ、あと分かってはいると思うけど……悠人先輩には気を付けるようにね。
まぁ、心彩さんは大丈夫だとは思うけど……」
注告だけならば良かったのだが……私は奏橙を笑顔で脅した。
「奏橙、私と天也の事は関係ありませんわ。
それ以上言うようでしたら紫月との事を言いふらしますわよ」
「悪かったよ、咲夜」
流石にそれは嫌なのか、奏橙はすぐに謝罪の言葉を口にしてきたのでちゃんと許しておいた。
……まぁ、今度やったら知らないけどさ。
でも、紫月に怒られる気がする。
にしても、何故私のことを質問してきたのだろうか。
普通、仕事に関してを質問するだろうに。
そんなこんなで光隆会メンバーの対面式は終わった。
……ちなみにこの後、光隆会メンバーでお茶を飲んでいる時に判明した事だが……どうやら1年の双子、月城瑞稀君と心彩さんは私のファンクラブに入会していたらしい。
……あぁ、兄の同類か、と思うと同時にそれで天也との事を聞いてきたのか……と納得がいった。
だが、何故こうも着々と私のファンクラブの会員が増えているのかが分からない。
一体どこがいいというのか……本当に不思議だ。
「勇璃君に今度話を聞いて見ようかしら?」
などと1人で呟いた私だった。
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