転生したら守護者?になり称号に『お詫び』があるのだが

紗砂

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魔神編

1

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あれから暫く経ち、俺はリュークやカリン達と共に王都に帰ってきていた。

魔族としての力を封印する魔具があるらしく今はそれを腕にはめて生活している。
少し窮屈ではあるが仕方の無いことだ。
だが、それでわかったのだがやはり俺は強くなっているようである。

そして、俺はリューク達と同じ学園の高等部へと編入することになった。
それはリディアや神官達、レクトの家やカリンの家のおかげである。


「あー、訳あって編入してきたカイだ。
出身はリュークと同じな。
まぁ、よろしく頼む」


と、無難に挨拶をしてみるが、やはり周りからは非難の声があがる。


「……裏切り者が何故」

「魔族の……」

「また……」


などという声に居心地は悪いと思いながらも特に気にしてはいなかったのだが気にしていたのはカリンやリュークだった。


「……カイは、私達のために動いたのよ!
それを裏切りなんて言葉で片付けないで!!
カイの苦労も知らないくせに!!」

「カイは何があっても俺の親友だ。
それを分かって言ってるんだろうな?
俺のカイを侮辱するのは許さない」


リュークがカリンに便乗するように続ける。
可哀想に……。


「あー、リューク。
俺はリュークのじゃねぇからな?」

「あぁ、今はカリンのだったな」

「おう」

「なっ……ばっ……」


俺はリュークのからかいに頷くと、カリンは顔を赤くして座り込んだ。
ヤベぇ、マジで可愛い。
小動物っぽい。


「ってか、俺は魔族化させられた人間だぜ?
ま、今は魔族の力が消えてるから純粋な人間なんだけどな。
そのせいで強さも半減してっけど」

カイ

 体力:1851
 魔力:2598
 筋力:1063
 耐久:3551
 敏捷:1532
 
 職業:守護者??
 魔法:火 水 風 土 闇 無 黙示録
 称号:『勇者の親友』『お詫び』
    『友との誓い』
    『アイギスに認められし者』
    『苦労人』『オカン』
    『冬夜の親友』
    『救いを与えし者』
    『禁忌を犯せし者』
    『魔人』『魔神に狙われし者』
 加護:転生神の加護ver.3
    守護神の加護
    魔神の加護


それが、俺の魔族の時のステータスだ。
だが、人間バージョンは……。



カイ

 体力:850
 魔力:1003
 筋力:556
 耐久:1939
 敏捷:635
 
 職業:守護者??
 魔法:火 水 風 土 無 黙示録
 称号:『勇者の親友』『お詫び』
    『友との誓い』
    『アイギスに認められし者』
    『苦労人』『オカン』
    『冬夜の親友』
    『救いを与えし者』
    『魔神に狙われし者』
 加護:転生神の加護ver.3
    守護神の加護
    魔神の加護


となる。
かなり弱体化するのだ。
体に重りが付けられたように重い。


「それに、俺の称号には魔神に狙われし者っつう迷惑な称号がある。
そんな奴が、本当に魔族の仲間だと思うか?」


仲間だが。
いや、今は向こうでも裏切り者と言われているかもしれない。
裏切ってばかりだな、俺。
……本当に情けねぇ。


「なんて、な」


やはり、ダメだ。
俺は、冬夜を1人にするようなことは出来ない。
俺はもう、魔界の人間……じゃないな。
魔界に住む者なのだから。


「公爵位、カイ・ルーディンス。
役職は公爵と外交官、魔王の話し相手……側近?
話し相手でいいか。
そんなことをやっていた。
主な仕事は人族との交渉だな。
特に同盟についてだが。
ディナートと模擬戦もやっていたな」

「カイ、お前こっちに来ることあったなら一度顔出すか手紙を送るとかしろよ……」

「悪ぃ、忘れてた!
それに、そん時はフェイルが仕事しろってうるさかったんだよ。
心配性のディナートも俺に目をつけてたから予定とズレると総攻撃しかけて来そうだったしな」

「あー……有り得るな」


リュークやカリンはもう2人と会っているからな。
アイツらの性格も理解しているのだろう。
まぁ、カリンはともかく、リュークには少し厳しかったからな。
フェイルもディナートも。


「まぁ、そんなわけでよろしく!」

「カイ」

「ん?」


席に着く前、リュークが俺に話しかけてくる。
無駄なことは話すな、とでもいうかと思えばそれは全く違うことだった。


「今度は、俺を守るためだっていって勝手に行動すんなよ」

「それは、分かんねぇな。
だって、俺はお前の守護者だぜ?」


と口にすると、俺はニヤリと笑った。
すると、リュークも俺につられるようにして笑う。


「まぁ、それがカイらしいが」

「おう」


だって、俺はあの時に戻ったとしても同じ選択をするだろうから。
俺にとっては冬夜もリュークも同じ、守る対象だ。
それはいつになっても変わらねぇ。











編入してから1ヶ月経った時、事件が起こった。


「魔族だ!
魔族の襲撃だ!
逃げろ!」

「カイを逃がせ!」

「急げ!!」


などという声で、俺は真っ先に逃がされる。
……俺、守護者なんだけど?

この1ヶ月で俺はクラスに受けいられていた。


「カ、カイ!
大丈夫よね?」

「おう、心配すんな。
俺は、耐久だけなら負ける気がしねぇくらい高ぇから」


カリンを落ち着かせると、俺は魔族の居るという方向を見る。
すると、やけに馴染みのある魔力ばかりのきがした。

……コレ、俺のせいだわ。
ってか、敵じゃねぇし。

それは、俺の率いていた部隊で、俺に何故か心酔している奴らだった。
嫌な予感しかしねぇ……。

そんな嫌な予感というものはよく当たるもので……。


「カイ様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「公爵様ぁぁぁぁ!!」

「うぉぉぉぉぉぉ!!」


その俺を呼ぶバカどもの声に俺は頭を抱えた。


「……悪ぃ、あいつらは敵じゃねぇ。
ただのもの好きな馬鹿共だ」

「カイ様!!
我らを置いて行ってしまうなど……酷いではありませんか!!」

「我らがどれほど公爵様のことを想っているか知っているでしょうにお人が悪い!」

「カイ様のいるところこそ我々の居場所!」

「カイ殿以外の者を主と仰ぐつもりは我らにはありませぬ」

「公爵殿が裏切者などと言われようと私達は気にしませぬ故」

「どうか、もう一度我らにチャンスを!!」

「カイ様!!」


うるせぇ……。
ってか、まずなんでコイツらはこんなに俺に心酔してるんだ?
俺は自由に動いていただけなんだが。
それと、お前らの本来の主は冬夜だろうに。


「お前ら……なんでここに来られた……?」


コイツらの事はフェイルに頼んだはずなのだが……。
アイツがミスるなんてこと珍しい。


「はっ!!
フェイル殿が監視しておりましたので模擬戦をするという建前で魔法の使用の許可を得たため皆で協力しフェイル殿に奇襲を仕掛けしばりつけてまいりました!!」


ドヤ顔で言われた。
だが、コイツらマジで何してやがる!?
フェイルはあれでも魔界序列2位だぞ!?

あくまで俺が抜けたら、だが。
それを……縛り付けてきただと?
アウトだろ!!


「フェイルに今すぐ謝ってこい!!
やるなら奇襲じゃなく真正面からやれ!!
それが礼儀だろうが!!
このバカ共!!
俺の仕事増やすんじゃねぇ!!」

「も、申し訳ありませんでした!!」

「カイ様にどうしてもお会いしたく……」

「あぁ、なんてことをしてしまったのだ……」

「カイ様の仕事を増やしてしまうなど見限られて当然……」


という誰かの言葉にバカ共は皆顔色を変え慌て始めた。
これはこれで面白れぇな。


「ったく……フェイルには俺から連絡を入れておく。
だからお前らは帰れ」

「な、なぜですか!!
我らはカイ様と共に……!!」

「俺の言っていることが分からないのか、ルドラ」


俺は口答えした奴の名前を口にし、軽く威圧をする。
それだけで顔色を変えるものが数名。
まぁ、腰を抜かさないだけでもかなり優秀な類に入るのだが。


「っ……い、え……」

「俺は今、魔族としての力を封じている。
にもかかわらずその体たらく……。
はっきり言って、今のお前らは足手まといだ。
ステータスが全ての項目で800を超えているヤツは何人いる?」


手を挙げたのは、副隊長を任せていたタートともう一人、俺によくついてきていたイルミだけだった。
イルミが800を超えていたとは思わなかったが。


「タート、お前は他の奴らの教育をしろ。
そうだな……ステータスで全て900を超えろ。
超えなければ他の隊へと移籍だ。
タート、お前は1000だ」

「承知いたしました」

「報告は怠るなよ?」

「はっ」


これでタートと他の奴らはいいな。
んで、イルミには……選ばせてやるか。


「イルミ、お前はどうする?
俺のとこで一人特別メニューか、他の奴らと一緒に一度戻るか。
選ばせてやる」

「えっ……。
……カイ様のご迷惑にならないでしょうか?」

「それはお前の考える事じゃねぇ。
お前のやりたいようにやれ。
忘れたか?
お前の所属する隊の隊長は一番の自由人だぜ?」


その程度の自覚は俺にだってある。
自由人の称号がないのが不思議なくらいだからな。


「きめたか?」

「は、はい!!
カイ様の特別メニュー、僕に受けさせてください……!!」

「おう!
ってことで、タート、そっちは頼んだぜ?
お前を信用してるからこんなことを頼めるんだ。
お前がいてくれてよかった。

他の奴もだ!
俺についてこようとしてくれんのは嬉しいが……迷惑はかけんなよ!
んでもって、強くなれ。
せめて、俺の背中を守れるくらいにはな。
信じてるぜ?
一か月でやって見せろよ?」


俺はそれだけ言うと転移陣を発動させ、皆をフェイルのとこへと送り付ける。
魔力がかなりきついが……まぁ、問題は無い。


「よし、カリン、リューク、リナ大丈夫か?
ついでにレクトとティードも」

「えぇ、大丈夫よ」

「大丈夫です」

「あぁ。
けど、まさかカイがあんなに慕われていたとはなぁ……。
まぁ、気持ちもわからなくはないが」

「ついでとは何だ。
ずいぶんな事を言ってくれるじゃないか」

「ついでってなんスカ!!
自分の扱いだけ酷いっす!!」


問題はなさそうだ。
まぁ、何かした様子はなかったしな。
フェイルは……知らなかったことにしておくか。
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