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学園
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しおりを挟む「じゃあ、まずは私からね。ステータス公開」
カリン・エンデール
体力:302
魔力:501
筋力:102
耐久:215
敏捷:197
職業:炎の魔術師
魔法:火 風
称号:『火炎』
加護:
やはり俺やリュークのステータスとは大きな差があった。
ってか、魔力だけ伸びすぎじゃね?
筋力が無さすぎなのか……。
「……筋力」
「女子に筋力は必要ないのよ! これでも結構高い方なんだから」
……だがせめて200くらいは。
……いや、魔術師なら(多分)仕方ないのだろう。
「あ、えっと……。次、私がやりますね。ステータス公開」
リナ
体力:235
魔力:492
筋力:106
耐久:269
敏捷:207
職業:回復術士
魔法:水 光
称号:『聖女』
加護:
……称号が聖女って。回復術士だからか?
だが、やはり二人とも魔力は高いらしい。
そして筋力は低いみたいだ。女子だからか?
「じゃあ、次は自分っすね! ステータス公開っす!」
ティード
体力:351
魔力:186
筋力:201
耐久:303
敏捷:396
職業:盗賊
魔法:風 土 無
称号:『風の盗賊』
加護:
「……風の盗賊って」
「……言わないで欲しいっす」
まぁ、気持ちは分からなくもない。
三人の中では意外とバランスがいいステータスだ。
敏捷をのぞけば、だが。
……俺の加護も、なぁ。
「カイ、俺からいいか? 流石にカイの後は嫌だ」
「……酷くね?」
俺のあとが嫌だとか。リュークの職業見たあととか……。
……いや、むしろその方が目立たないか。
「……仕方ないだろ。あのステータスだぞ?」
「……まぁ、いいけど」
「んじゃ、ステータス公開」
リューク
体力:416
魔力:592
筋力:310
耐久:573
敏捷:381
職業:勇者
魔法:火 水 風 土 光 無
称号:『勇気ある者』『異常の親友』『友との誓い』
加護:女神の加護
相変わらず耐久と魔力高いな。
でもってそれに見合わないくらい筋力が低い。
……リュークはいいよな、加護にver.2とかなくて。
思わず悪態をつきそうになる。
「なっ!?」
「嘘っ……!?」
「マジっすか!?」
三人とも驚いている。……まぁ、そうだよな。勇者だし。
「リューク、あなた勇者様なの!? ステータス高すぎるわよ……。」
「まぁ、そうみたいだな」
「軽いっすね!」
「……そうか?」
「軽いですよ! だって、あの勇者様なんですよ!?」
リュークは苦笑すると俺をみる。つまりは、あれだ。
俺にステータスを公開しろと言っているのだ。
「あー、じゃあ最後に俺のステータスを公開するぞ。
……ステータス公開」
カイ
体力:352
魔力:418
筋力:259
耐久:651
敏捷:367
職業:冒険者??守護者??
魔法:火 水 風 土 無
称号:『勇者の親友』『お詫び』
『友との誓い』
加護:転生神の加護ver.2
「……なにこの職業。馬鹿にしているのかしら?」
「加護ってver.2とかあるんですね」
「……称号にあるお詫びってなんすか?」
「カイ、また耐久上がってないか?」
それは言わないで欲しかった。
……耐久は盾職には必要なことなのだと思うしかない。
リヴィアのせいかとも思うが。
「……あーまぁ、とにかくこれが俺とリュークが職業を言わなかった理由だ。
リュークは勇者だし、俺は??だしな」
「……そう、ね。私としてはリュークよりもカイの方が予想外だったけど」
「……クソジジイのせいだ」
「……誰っすか、それ」
「カイの言うクソジジイは転生神の事だぞ」
「……転生神様をそんなクソジジイ扱いですか」
俺は思わず目を逸らす。まぁ、取り敢えずこれでステータスの把握は出来たわけだ。
……で、それを踏まえてどうするか。
「カイ、女神だかが4人の仲間と共に……だとか言ってただろ?
それって……」
「…あぁ。丁度四人、だしな。
……クソジジイに聞いてみるか?
ついでだし会いに行くか。時間はあるみてぇだしな」
俺とリュークは相談を終えると俺は目を瞑り、話しかける。
ーおい、クソジジイ。全員でたのむぞ
『ふむ、要件は分かっておる。見ていたからな! ちと、待ってろ』
ようやく回線が繋がったかと思うすぐにプツリとキレる。
「……カイは何をしているのかしら?」
「悪い、少し待っ……」
「リューク、大丈夫だ。説明はあ……ぐぅっ……」
すると、いつだったかの痛みが襲ってくる。
この感覚は、そう。あの時と同じ……。
俺はクソジジイを殴る、そう決めてから意識を手放した。
そして、気付くとやはり前回の白い空間にいた。
そこには勿論、あのウゼェジジイもいるわけで……。
俺は一旦、殴るのを我慢してから周りをみる。
リュークは俺の隣にいる。で、何故か他の三人もいる。
その全員の無事を確認すると、俺はジジイに問答無用で顔面を思い切り殴ったのだった。
『な、何をするんじゃっ!
いきなりか弱いワシを殴るなど、そのようにお主を育てた覚えはないぞ!』
「テメェみてぇなクソジジイに育てられた覚えはねぇよ!!」
俺はため息をつくと3人に向かって紹介する。
「コイツはクソジジイだ。
ウザさでは誰にも負けないと思うぞ」
『転生神じゃ。転生神様と崇めてくれても良いぞ?』
「テメェはクソジジイで十分だろうが。
ってか、いい加減俺のステータスのver.2と??を消しやがれ!!
お詫びもだぞ!」
『お主らをここに呼び出したのは、まぁ女神からの依頼じゃな。
女神からの伝言じゃ。
【リューク、あなたが信じた者を選ぶ事が近道です。
きっとあなたの力になってくれるでしょう。
今すぐ選ぶ必要はありません。ですから、ゆっくりと選べばいい……。
ですが、あなたのことでしょうからすぐに選ぶのでしょうね】
だそうじゃよ』
つまり、今すぐに話す必要はねぇって事か。
まぁ、確かにリュークならすぐに選んじまいそうだがな。
『カイ、お主には……。そうじゃな。
近々、守護神が近づくやもしれぬ。
あやつを信じるも信じぬもお主の勝手じゃ。
……じゃが、一つだけ覚えておれ。
あやつの加護を受けるのならば大切な者のために命を投げ出す覚悟をせい。
その覚悟無くしてあやつの加護を決して受けるではないぞ』
「……あぁ」
俺はリュークの事を思いながら自分自身に覚悟を問う。
……俺は、リュークのために命を投げ出すのか、と。
その答えはいとも簡単に出た。
俺は、リュークのためにならば命を賭けよう。だが、賭けるだけだ。
最終的には俺もリュークも生き抜く。
……俺は以外と賭けには強いのだ。
「んじゃ、クソジジイは帰っていいぞ」
『酷くないか!? わしの扱いだけ酷くないか!?』
騒ぐクソジジイを冷たく一蹴すると俺はリュークに確認する。
「知るか。リューク、いいんだよな?」
「あぁ。カイもいいんだな?」
何を今更言うのだろうか。俺がなんというかは分かっているだろうに。
「当たり前だ。俺はお前についてくって言っただろうが。
ちゃんとステータスにもでてるだろう」
「……悪い。サンキュ」
リュークは少しだけ間を空けてから意を決して話し出した。
「あー今日会ったばっかで、しかもついさっきパーティを組んだばっかなんだが……。
本当の意味で、俺と……。俺達とパーティを組んでくれないか?」
「本当の意味って……」
「も、もしかして魔王の討伐……ですか?」
「む、無理っすよ! 自分、盗賊っすよ!? 加護すらないっす!」
魔王の討伐、という言葉に俺達は話していなかったな、と視線を送りリュークに変わって俺がその点を説明する。
「いや、まずは魔王と話す。
魔王は敵だとか言ってるが、本当にそうかは分からねぇからな。
っつぅわけでまず話してみて、駄目だったら討伐する」
「……そう。私たちはさっきステータスを見せた時に分かったとは思うけれど……。
平均より高いといっても二人に比べたらゴミみたいなステータスよ?
それでも良いと言うのかしら?」
「学園卒業してからだからな。学園にいる間に強くなりゃあ良いだろ?
それに、俺たちだってこのままじゃまだ弱いからな」
何を当たり前のことを言うのだろうか。
確かに俺とリュークのステータスは少しおかしいかもしれないがすぐにおいつくだろう。
現に、カリンは魔力だけならば俺達にも劣らない。
それに、俺やリュークは加護を持っているからな。それも関係あるだろう。
多分、加護なら問題ないと思うが。
しかも、俺には守護神やらが近付くかもしれねぇって言ってたからな。
その時加護をくれるかもしれねぇとも。
ならばカリンやリナ、ティードだって加護を受けるかもしれねぇ。
「……そ。私はいいわよ。
炎の魔術師として、精一杯やらせてもらうわ」
「あ、えっと……。わ、私も回復術士として皆さんを援護出来るように頑張ります……!」
「自分、盗賊っすから勇者パーティに合わないと思うっすけど……」
おずおずと手を上げるティードだが……。
「……それ言うなら俺は守護者といえど??付きだぞ。
それに、リュークがそれを気にする奴だと思うか?」
「思わないっすね! 自分でいいなら頑張るっすよ!」
これで勇者パーティが揃ったわけだ。
取り敢えずギルドカードでパーティ登録をしようと思ったのだがティード以外は持っていなかった。
……まぁ、持っていないものは仕方ない。
一応ティードだけでもパーティ登録はしておいた。
『なぁなぁ……。わし、そろそろここ戻していい?
ここの維持、結構大変なんじゃが……。
……わしの身が持たん。わし、か弱い老人じゃよ……?』
……すっかりジジイの存在を忘れてた俺だった。
どの口がか弱いなどと言うのだろうか。
「悪ぃ、ジジイ戻してくれ」
『ジジイじゃないわい! わしはしがない老人じゃ!!』
と言う声で、再び視界が暗転した。
……しがない老人と言うことは別に敬う必要はねえよな?
まぁ、老人として扱うつもりはないが。
てか、老人もジジイも同じじゃね?
「そういえば、カイとリュークはどこで生活しているのかしら?
やっぱり、教会?」
「今まではな」
俺は今日から変わる生活に少しだけ不安を持ちながらも答える。
「今日からは寮を借りる予定なんだよ。
教会で与えられてた部屋って広すぎんだよなぁ……。
農民の子供の俺らには落ち着かないんだ」
リュークも辟易としていたのか最後にそう呟いた。
レクハル村の家よりも広いだろうあの部屋は正直言って慣れなかったからな。
気持ちは良くわかる。あれは広すぎて落ち着かない。
「……そ、そう。まぁ、私とリナも寮生活になるから楽でいいわね」
「あ、自分も寮っす!」
「……ティード、俺とリュークの部屋には絶対に来るなよ?」
つい口が滑ってしまった。まぁ、ティードがずっと隣で喋ってそうだからな。
これくらいが丁度いいだろう。
「酷いっすよ!? カイの対応、自分にだけ酷くないっすか!?」
「気のせいだろ」
「気のせいじゃないっすよ!」
まぁ、ティードはスルーするとして……。
全員寮生活ということは案外連絡はしやすいと思うのだ。
連絡用の魔道具と防音用の魔道具を3つ購入しておけばいいだろう。
一部屋一つあればいいだろうしな。
……それは結構先になるだろうがな。
「……よし、帰るか! 確かもう今日は帰っていいんだろ?
俺、色々と買いたいもんがあるんだよなぁ」
「新作か!? カイの新作!
朝言ってたもんなぁ。早く食いてぇ……!」
「……新作って、あのゼリー以外の!? わ、私も食べたいわ!」
「わ、私も欲しい、です……」
「自分もっす!」
結果、俺は全員分作ることになった。……俺は料理人じゃないんだがな。
喜んでくれるというのならばいいか。
俺達が部屋を出ると先生に捕まった。
「カイ、来週には実戦がある。それまでに全員の武器や防具をちゃんと揃えておけ。
それと、ギルド登録も済ますようにしておけ」
「分かりました」
俺は珍しく敬語を使い、礼をするとそのまま全員に伝え、買い物に向かった。
キィの果実は大量に買い込めた。
店の人達もサービスをしてくれたため思っていたよりも多く作れそうだ。
俺はそんなキィの果実や鍋などをホクホク顔で抱えながら寮に向かうのだった。
タルト、うまく作れるといいが。なんせ久しぶりだからな。
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