王族なんてお断りです!!

紗砂

文字の大きさ
19 / 70
本編

15

しおりを挟む

会議も無事終わり、本店の移動についての話が決まった頃、私は自分の問題を突きつけられていました。

婚約者問題です。
今の私であれば、大抵は婚約出来るでしょうし、婚約の話も来ています。
ですが、そのうちの大半がフィーリン商会と公爵という権力が目的です。
そういった人達をどう落としていくか、それが問題です。


「はぁ……気が重いですね」

「お嬢様、休憩したらどうですか?」

「えぇ、これが終わったら休憩します」

「……お嬢様、さっきもそう言っていましたよ!」


ルエルがツッコミますが、早めに絞っておかねば後々大変になるでしょうし、面倒事は早めに片付けてしまいたいですから。


「殿下も、明日には来る頃ですし……早く終わらせないといけませんからね」


殿下の対応もしなければなりませんから。
どうせ、どこかのバカ王子が呼んだのでしょうが、あの能無……バカ王子が対応などするはずがありませんから。


「お嬢様、他の公爵家の当主の方がいらっしゃっていますが……どうしますか?」

「……アポは?」

「ありません」


……公爵家の方々ならば、アポイントくらいとって欲しかったのですが。
とはいえ、公爵家の方々を放置する訳にもいきませんし……仕方ありませんね。


「皆様は?」

「客間にいらっしゃいます」

「すぐに行きます。新作のケーキとお茶をお出ししてください」

「承知致しました!」


ルエルが私の言葉に従い、部屋を出て行くと、私も客間に向かいます。


「エリス様、お一人で行くおつもりですか?」

「……ハーネス」

「私もご一緒します」


心配性のハーネスが着いてくることになりました。
特に問題はありませんし、有難いですが。


「お待たせ致しました、皆様。
本日は、どのようなご要件でしょうか?」


三公家、財政、商業を生業なりわいとする、フォーリア家、政策、政治を生業とするルースベル家、そして戦闘、軍事を生業とするエンドルース家。
その三つの公爵家がこうして集まるのは何年ぶりでしょうか?


「エリス嬢、いきなり押しかけて済まない。
だが……」

「次の王の件でしょうか?」

「……あぁ」


エンドルース家はともかく、ルースベル家はそれ以外に考えられません。
お父様に、というならまだ分かりますが、私にとなるとその件かフィーリン商会のどちらかとなりますから。


「申し訳ありませんが、私はどちらかの家を支援する、というようなことは致しません」


そのようなことをする訳にはいきませんから。
私が動かせる範囲だとフィーリン商会となりますが、あの商会は、大きくなりすぎましたし。


「それは当然だろう」

「儂としては、エリス嬢が……と思っているのでな。エンドルース家は降りる」

「ルースベル家もだ。というわけで、自然とエリス嬢がということになる」

「……はい?」


……耳がおかしくなったのでしょうか?
何故、私が?
というよりも、何故エンドルース公爵家もルースベル公爵家も降りるのですか。
私も降りるつもりなのですが?


「私は、商会等がありますのでお断りさせていただきます」

「すまんのぅ……。既に、陛下に進言済みだ」

「陛下からも、快く了承を得られたぞ」

「……お父様はなんと」

「フォーリア公爵は王宮で気絶しているよ」


……お父様は現実逃避(気絶)をしたようです。
自分一人だけ逃げるなど……。
いえ、それよりもです。
なぜ私が王と言う話に?


「……私が、となればこの国初の女王となります。
そうなれば確実にこの国は……」

「エリス嬢、あなたが思っている程、我らは落ちぶれていない。
あなたが王となるのであれば、我らは全力で支えましょう」

「ですから私は、そのような立場になるつもりはないと言っているのです。
私は支える方が向いていると自覚がありますから」


王なんてそんな面倒事はお断りです。
なんのために王族を避けてきたと思っているのですか。
私はフィーリン商会の甘味を広められたらそれでいいのですが。


「……エリス嬢、あなた以外に居ないのだ」

「なぜ、そこまでして私を王にしたいのですか?」

「私の息子は頭が固くてな……。宰相にはなれるだろうが、そこまでだ。
とてもではないが、王など勤まらんよ」

「儂の息子は脳筋だからな。
王なんぞになったらこの国が滅びる。
本人も王より騎士を希望しているしな」


……お二人の息子を知っているからこそ、何も言い返せません。
確かに、その通りになってしまうという確証がありました。
これは、どうやっても押し付けられる形では?


「……待ってください。
そうなると、私の婚約者はどうなるのですか?」

「それは別に、他国からでも侯爵家からでもいいと思うが?」


全くよくありませんね。
今まで考えていた婚約者の候補を全て考え直さなければいけなくなります。
……やはり、王は無しですね。


「そういえば、近々エリンスフィールの王子が来るそうではないか」

「……確かに、そういうお話もありますが」


何を言うつもりなのか分かってしまいました。
……決して認めたくはありませんが。


「ふむ、そうだな。
よし、今日のところは帰るとしようではないか」

「そうだな。では、また来る」


もう来なくてよろしいのですが。
というより、もう来ないでいただきたいのですが。
何より、私の精神面の安全のために。


まぁ、言っても聞かなそうな方々ですが。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

処理中です...