王族なんてお断りです!!

紗砂

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本編

35

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城へ入ると、私とアリスはそのまま中庭へと通されました。


「紹介します。
彼女は……」


中庭に着くなり、アルは私を陛下達へと紹介しました。


「エリス・フォーリアと申します。
彼女は、フィーリン商会本店の代表を務める、アリスです。
今回は、フィーリン商会の新作である木苺のタルトをお持ちさせていただきましたのでよろしければお召し上がりください」


私は自己紹介を程々にしてフィーリン商会の宣伝に移りました。
王妃殿下はフィーリン商会のケーキを気に入られているそうなので必要あるかどうかは分かりませんが。


「まぁ、新作!
それもタルトだなんて!」


王妃殿下には喜んでいただけたようですね。


「エリスが作ったのか?」

「はい。
まだレシピを作成していませんでしたので私が作らせていただきました」


レシピを書き留めてあれば他の者に作ってもらったのですが、まだレシピを書き留めていませんでしたから私が作るしか無かったのです。
王妃殿下や陛下に私の作ったものを食べていただくのは少々思い悩みましたが。


「アリス、お願いします」

「承知致しました」


アリスは私の言葉を聞き、タルトの入った箱を開け、切り分けます。


「紹介が遅れたが、母上と父上、そして弟のエリックだ」

「ガイナス・エリンスフィールだ。
アルスの父として気楽に頼む」

「先程は申し訳ありませんでした。
私は、ソフィア・エリンスフィールです。
よろしくお願いしますね、エリスさん」

「エリック・エリンスフィールと申します。
えっと、よろしくお願いしますエリス姉様」


アルの家族は思っていたよりもラフな方々のようです。
陛下や王妃殿下は朗らかで妙な安心感を与えてくださいます。
そのおかげなのかは分かりませんが、緊張が解れました。

アルの弟のエリック殿下はアルとルアンを足して二で割ったような雰囲気がします。
ですが、私には兄妹がいなかったので姉様と呼ばれるのは新鮮で嬉しい気もします。


「それはそうと、私とエリスの婚約の件ですが認めてくれるのでしょうか?」

「あぁ、そのことならば好きにすればいい。
ただし、婚約発表の時期はエリス嬢の家族と話し合って決める。
それと、王妃教育についてだが」

「エリスさんさえ良ければすぐにでも始められます」


思っていたよりも話は進んでいたようです。
ですが、王妃教育ですか。
分かってはいましたがあまりやりたいものではありませんね。
避けることは出来ないというのは理解していますが。
それに、キース様のための勉強ではなく、アルのためだと思えば大分マシになります。


「私はいつからでも問題はありません」

「じゃあ、早速明日からやりましょうか」

「はい、お願い致します」


明日から、ですか。
問題はありませんが、まさかこんなにも早いとは思っていませんでした。
とはいえ、今までと変わりありませんし、時間が少々変わるくらいでしょう。
それに、今まで受けてきた教育も無駄にはならないでしょうから。


「母上、どのくらいの時間までやるのですか?」

「それは、エリスさん次第ですね。
エリスさんは、この国の貴族家とその領地はどの程度まで知っていますか?」


王妃殿下からそんな質問をされました。
確か、夜会の日にルアンからも似たようなことを聞かれましたね。


「お爺様から一通りのリストはいただきましたが、そちらのリストに乗っていない貴族家などは分かりかねます。
あとは、フィーリン商会を懇意にしていただいている方達であれば問題ありません」

「あの者の作ったリストであれば問題ないだろう。
ふむ、そうだな。
最北の地を治める貴族は分かるか?」


エリンスフィールの最北の地、といえばレスニール砦のあるトリスタン領ですね。
そして、その地を治める領主は昨年に変わったと聞きました。
そして今の領主の名、それは


「リザルト・エーミリオン伯爵だと記憶しています。
なんでも、珍しい鉱物が多いと聞いております」

「ほう、最近変わったばかりだが、よく知っているものだ」


陛下は感心したように、そう口にしました。

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