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本編
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しおりを挟む後日、私は王妃教育のために再び城へと訪れていました。
そして始まったわけですが……。
「あら、私からエリスさんに教えることは無いようですね」
と、軽いテストを受けた後、そう言われてしまいました。
ただし、貴族家や流行の情報集め、雑務などの書類仕事に関しては別のようですが。
「エリス、聞いたぞ。
もう既に教えることはない、とな。
流石だな」
アルは私を見つけるなり、そう口にして微笑みました。
その優しげな表情に、思わず私の表情も緩みます。
「そんなことはありません。
もっと学ばなければいけないことが沢山ありますから。
まだ、アルの隣に立つには足りません」
「そんなことは無い。
エリスは良くやってくれている。
私はそんなエリスだからこそ選んだんだ。
だから、あまり頑張りすぎるな」
やはり、アルは優しいですね。
いえ、優しいというよりも甘い、と言うべきでしょうか。
私が無理をしないとは思っていないことが気になりますが。
とはいえ、それは私自身の行動が原因なのでしょうから諦めましょう。
「それは、私よりもアルの方だと思いますが。
私は自分の限界は理解しているつもりですから」
「その辺に限っては信用出来ないからな。
限界は超えていないと自分に言い聞かせて無理をするだろう?」
否定出来ませんね。
自分のことであればまだしも、店や従業員達、アルなどの親しい間柄の人に関連することであればきっとそういった行動をするでしょうから。
「全く、少しは自分を甘やかせ。
そうでなければ心配するだろう?」
呆れたような口調ではありますが、アルは優しげな目を向けてきました。
ですが、私がもし、自分を甘やかさなくともアルが甘やかしそうなので問題ないと思うのです。
アル以外にも、アリスは勿論、商会の幹部職に就いている者達や家族に屋敷の者達と私を甘やかす者達が多く居るのです。
そんな中で、私までもが自分を甘やかしてしまえば私はすぐにでも堕落してしまうでしょう。
それが分かっていて、自身を甘やかすなんて出来るはずがありませんし、するつもりもありません。
「あぁ、そうだ。
エリス、再来週の夜会には参加するの
か?」
再来週の夜会ですか。
あまり好きではありませんが、アルの婚約者ですし、何よりこの国の貴族を知ることにも繋がります。
そうとなれば、参加しないわけにもいかないでしょう。
「参加するつもりです」
「そうか。
なら、エスコートは私の役目だな。
ドレスは何色がいい?
私のものと合わせさせなければいけないから贈ろう」
アルは金髪に赤い瞳をしています。
それを考えると黄色か赤、でしょうか?
「薄めの黄色、でしょうか?」
そう言ったところで気付きます。
まだ、私とアルは婚約者になったということを公開していません。
それを考えるとやめておいた方がいいでしょうか?
「薄めの黄色、だな。
分かった」
そう思ったのですが、最早言えませんね。
そういえば、こうしてドレスを贈ってもらう、というのは初めてな気もします。
どこかの馬鹿はそのようなことをしてくれませんでしたから。
別に良いのですが。
あの方の贈り物など着たいとは思いませんし。
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