王族なんてお断りです!!

紗砂

文字の大きさ
46 / 70
本編

39

しおりを挟む

そして夜会の日、私はアルのエスコートにより登城しました。


「エリス、よく似合っている」

「ありがとうございます、アル」


私がお礼を口にして微笑むと、アルは嬉しそうに口角を上げました。
ですが、私としてはアルがエスコートを断ったという王女が気になります。


「アルは、王女殿下のことをよく知っているのですか?」

「あぁ、妹のような奴だ。
よく懐いていたよ」


それは、はたして本当にアルの思っている通りなのでしょうか。
とてもそうは思えないのは何故でしょうか。
いえ、アルがそう言うのですからその通りなのでしょう。
ですが、それでも不安にかられるのは何故なのでしょうか?


「エリス、どうした?
大丈夫か?
体調が優れないのならば休んでいるといい」


心配そうに私を見つめるアルに、申し訳なく思えました。
体調が悪いわけではなく、ただ不安だったというだけでしたから。


「いえ、問題ありません。
ただ、少し緊張してしまって」


不安と言わなかったのは、要らぬ心配をかけたくなかったからです。
きっと、アルは過剰なまでに心配するでしょうから。
それが分かっていて口にするようなことはしません。


「そうか、なら良いが。
そんなに気負う必要もない。
いうも通りのエリスでいいさ」

「はい」


不安は残りますが、私は何事もなく終わることを祈りながら、アルにエスコートされ会場入りをしました。


「あっ、エリス姉様、お久しぶりです!
そのドレス、凄く似合っています」


会場入りしてすぐ、話しかけてきたのはアルの弟である、エリック殿下でした。
眩しい程の笑顔を浮かべているエリック殿下にはまだ婚約者は居ないそうです。
ですが、なんとなくエリック殿下の婚約者となる方は苦労しそうな気がします。


「ありがとうございます、エリック殿下。
エリック殿下も大変可愛らしいと思います」


思わずそう口にしてしまいましたが、エリック殿下は不満そうです。
確かに、殿方に可愛らしいという言葉はあまり良くはありませんでした。


「可愛いよりカッコイイがいいです」


少しムッとしたように口にするエリック殿下はやはりカッコイイというよりも可愛らしいや可憐というような気がします。


「大きくなれば、カッコイイと言われるようになるさ、エリック。
だから今は諦めろ」


アルがそう慰めますが、エリック殿下は納得していない様子です。


「アルもエリック殿下と同じくらい可愛いと思いますから、気にする必要はないと思います」


アルはすぐに顔を赤くしたり、取り乱したりと可愛らしいところがあります。
エリック殿下のことを言っていますが、どちらも同じくらい可愛らしいと思いますから。


「おい、待て。
私とエリックが同じくらい可愛いとはどういうことだ。
エリックのことは認めるが、私は可愛いという柄ではないのだが」

「私から見れば、ですが。
たまに、クリームを口元に付けている時もありますし」

「それはっ、エリスのケーキが美味しすぎるんだ。
それに、一度も教えてくれなかったじゃないか」

「可愛らしかったのでつい。
次からは気をつけるように致します」

「あぁ、そうしてくれ」


少し恥ずかしそうに言うところも十分可愛らしいのですが。
それは私の胸だけに秘めておくことにしましょう。
ですが、私のケーキが美味しいと言われたのは嬉しかったです。


「兄様もエリス姉様には敵わないのですね。
いつも余裕のあるようなところしか見てこなかったので新鮮です」

「そうだったのですか?」

「エリスが可愛いのが悪いんだ。
余裕もなにもなくなる。
エリックもいつか分かるさ」


アルの耳が赤く染まっているのはご愛嬌ということでしょう。
ただ、私が可愛い、というのは理解出来かねますが。


しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

 怒らせてはいけない人々 ~雉も鳴かずば撃たれまいに~

美袋和仁
恋愛
 ある夜、一人の少女が婚約を解消された。根も葉もない噂による冤罪だが、事を荒立てたくない彼女は従容として婚約解消される。  しかしその背後で爆音が轟き、一人の男性が姿を見せた。彼は少女の父親。  怒らせてはならない人々に繋がる少女の婚約解消が、思わぬ展開を導きだす。  なんとなくの一気書き。御笑覧下さると幸いです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています

猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。 しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。 本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。 盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

離婚した彼女は死ぬことにした

はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...