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本編
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しおりを挟む後日、私は王都の本店へと向かいました。
ルベルコートの王子がいつ来るか分からない以上、領地でゆっくりとしているわけにはいきませんから。
「エリス様、お待ちしておりました。
その、エンドルース公爵様がお待ちです」
「……またですか。
分かりました。
すぐに行きましょう。
アリス、お願いしても?」
「勿論です。
エリス様と共に居られることこそ、私の望みですので」
堅いですね。
そこまで私のことを慕ってくれているのは分かるのですが、私としてはもっと気軽に接して欲しいものです。
「私も行こう」
アルが私たちの話を聞き、そう口にしました。
エンドルース公爵に限って商会の話、ということは無いでしょうが、アルを関わらせてしまってもいい話なのかが気になります。
ですが、アルと私はまだ公表はされていないとはいえ婚約者です。
私個人としては、アルを巻き込みたくはありません。
ですが、会頭としては、アルにも聞いて貰った方が良いと分かってはいます。
それでも、巻き込みたくないと思うのは……。
「フィーリン商会に関わる話かもしれませんから。
アルを巻き込むようなことは出来ません」
「その必要はない。
ここへ来た理由は、そこのカインといったか?
そいつと、エリス嬢の護衛を務めていた者を借りたいだけだ。
エリス嬢を護るというのならば、今のままでは弱いだろうからな。
かわりにラルフをつけよう」
まさか、カイン様とルーファスを、というのは思ってもいませんでした。
ですが、いい機会かもしれません。
ラルフのみ、というのは心配ですが、私にはハーネスもついていますから大丈夫でしょう。
問題があるとすれば、本人とアル、でしょうか。
「誰か、ルーファスを呼んで来てください。
アリスはケーキとお茶を用意してください」
「承知致しました」
「は、はい!
すぐにお呼び致します!」
アリスは頭を下げると厨房へ、もう一人の者は、ルーファスを呼びに向います。
そして私は、公爵とアル、カイン様を部屋へと案内しました。
「先程の件ですが、ルーファスに関しては本人の意思を尊重します。
ですが、カイン様に関しては私ではなく、アルス殿下とカイン様にお聞きください」
「私はカインに任せよう」
「殿下!
俺がいない間の護衛はどうするつもりなんだよ!」
カイン様の言葉からすると、実力はつけたいのでしょうが、護衛の心配があるため受けることを迷っている、といったところでしょうか。
それはアルも分かっているようです。
「それに関しては、エンドルース公爵が取り計らってくれるそうだ」
「ご心配なようでしたら、フィーリン商会からもつけることも出来ます。
アルも知っている者ならば、ニールならば問題ないかと」
今、ニールに頼んでいる仕事に関しては終わったと聞いていますから問題は無いでしょう。
ハーネスに、とも思ったのですが、いくら護衛とはいえ、異性をアルの傍に、と思いニールにしました。
「だけど!」
「カイン様、ハーネスやニールが、私を危険に晒すようなことや、悲しませるようなことを良しとすると思いますか?」
「それは、思わないが」
「ですから、問題ありません。
それに、ニールもハーネスも含め、フィーリン商会の者は皆、一年以上の研修期間を設けています。
その必修科目として、戦闘訓練もありますので最低限は戦えます。
その中でもニールは一時期、教官役を務めたこともありますから」
実は、ルーファスが研修を受けた時の教官役はニールだったのです。
ルーファスが入って来た時のニールは嬉しそうにしていたのを覚えています。
鍛えれば、かなり強くなると。
「失礼します。
お茶をお持ちいたしました。
それと、その……シャール、ルシュカ、リアムの三名がエリス様を追ってこちらまで来てしまったようで」
「分かりました。
仕方ありません、三人をここに」
「申し訳ありません」
「アリスの責任ではありません。
責任があるとすれば、私の方でしょう。
それに、あの三人ならば丁度いいですから」
まさか、追いかけてくるとは思いませんでした。
ですが、シャールが言い始め、すぐにルシュカと行動に移したのでしょうね。
リアムに関しては、シャールとルシュカを止めようとはしたものの、勢いに押されて……といった形でしょうか?
そう考える方が自然ですが、リアムも極稀に暴走することがありますから分かりませんね。
「エリス、その三人は……」
「エリンスフィールの店を任せていた者達です。
フィーリン商会を立ち上げた時から私を支えてくれているのですが、暴走することがあります。
今回もその結果だと」
「エリス様!
私もエリス様の傍に居たいですぅ!」
「エリス様、引き継ぎは完了してから来ていますので」
「止めることが出来ず、申し訳ありませんでした。
罰ならばいくらでも!」
三人のテンションがあまりにも違いました。
シャールは私との再会を喜ぶように、ルシュカは不安げに、リアムに限っては申し訳なさがこちらまで伝わってきますし、何よりどんよりとしたような空気を纏っているように見えます。
「エリスは慕われているのだな」
アルはそんな感想を口にしましたが、これは慕われている、という一言で済ませていいのかと思ってしまいますね。
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