戦乱の世は終結せり〜天下人の弟は楽隠居希望!?〜

くろこん

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京都編

友との再会

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 「まさか再会できるとはね、つくづく変な運命だと思うよ」

  「そお?私はなんかフツーに会える気がしてたわよ?」

 「そう言えるのは流石に君だね、全く」

 そう言いながらハンゾーは照れたように扇で顔を隠す、やっと幼馴染3人がこうして揃ったんだ。

 素直に喜ぶべきだろう、いや2人とももう十分に喜んだか。

 今回は幸村や慶次は下げさせている、完全に3人きりだ。幼女と若者と爺が顔を突き合わせて何を話しているんだと思われるかも知れないが歴とした飲みである。

 そこに善悪の是非は無い、ちなみに千代には酒は飲まさんぞ。

 見た目小さいからな、事案だけは避けたい。

 いつしか3人は、互いの出自について話をしていた。

 「奥州に産まれた時はどんな奇縁と思ったものだよ、奥州には詳しかったからね。伊達輝宗は息子が有名過ぎて忘れられがちだけど文武双方に優れた英傑だ、代替わりの時に死ぬこと無く早めに徳川や織田と通じて伊達を少しだけ盛り上げられれば良いなぁと思っていたんだよ」

 「それで奥州の覇王か?」

 茶化すように言うと、ハンゾーは笑みを浮かべながら答える。

 「いや、民衆の生活を豊かにする為に石鹸とかを作ろうとしたんだよ。石鹸の重要性はわかるよね?」

 「全くわからん」

 「石鹸は、この時代では衛生の要なんだよ。戦は人の死体が乱立する、衛生状態は最悪だ。疫病が流行るのを防ぐ為に戦国大名たちは衛生にも気を使わなければいけなかったんだ」

 病気、疫病は一度流行ると取り返しが付かないからな。

 「そんなお陰で伊達家は他の奥州の家よりも少しだけ裕福になったんだ、当然周りの家からは狙われる、降りかかる火の粉を払う意味での領土拡大というのもあったんだ」

  そう言うハンゾーの眼はまさしくこの戦国を生きてきた大名のものだ、何度も負けたし、何度も失敗したのだろう。現代人だからと言って我々にできることは非常に少ないのだ。

 領主が現代人だからと言って急に民衆が笑顔になれる政策ができる訳じゃあ無い、織田信長を夢見て楽市楽座にしたけど大名自身の財源が無ければたたの収入減だ。馬鹿なんじゃ無いのと言われるだろう。

 この時代の戦国大名や国人領主の主な収入源は百姓からの年貢、そして関所の通行費だ。

 2大財源の1つを信長は斬った訳だからな、つくづく信長は凄い武将だと思う。まぁもう死んでいる訳だが。

 こう考えると私たち4人が転生しているだけで日本の歴史をかなり変えてしまっているのだな、これからの日本の行く末なぞ考えても無駄だろうがどうなることやら・・・・

 「私は好きに生きてたらこうなっただけだからね~」

 「右に同じく」

 私と千代が並んでそう言うと、ハンゾーは呆れたように顔を振る。

 「十分に凄い、1人は越後を席巻する本願寺派百姓一揆の頭領、1人は天下に名を轟かせる武将と来たものだ。一体どうやったらそうなるのか教えて欲しいよ」

 笑みが溢れた、本当に適当に、ゆらゆらと周りに流されて生きてきた人生だった。

 きっと前世でもそんな感じだったのだろうなと思うと笑みが治らない、結局私は2度人生を経ながら何も変わっていないということになるのだから。

 しかし、変化していないということは成長していないということと同意義では無いのだ。

 「私は爆薬作ってたよ!」

 「だろうね、君この時代の職人たちがどれだけ苦労して火薬を作成したか知らないのかい?」

 しかも、千代の素晴らしいところはその銃本体のモデリングも自力で行うところなのだが。幼女とは言え10代の千代は職人の手を借りながら今も何かを作っている。

 マジで半年前の宿屋爆破時点から何も懲りて無いのかコイツ。

 「まぁまぁ、その辺りは私だし置いておこうか」

 「置いておいちゃ駄目な気がするが、なんだ君も過去話なんかがあるのかい?」

 そう言われて見れば、千代の過去話を聞いたことが無かったような気がする。

 なんで聞かなかったんだろう?このメンバー毎回思うけど久しぶり感があんまり無いよな。会った次の日ぐらいからは毎日会ってる気分になるし。

 「うーん、ハンゾーほど大した事でも無いなぁ。私が武田家臣の娘出身ってのは教えたっけ」

 「それは聞いている、物心ついた時には戦争が始まっていたことも聞いた。武田と今川は史実では同盟を組んだりして強固な関係を結んでいたと聞いたから驚いたよ」

 滅した側なのでなんとも言えない、戦争に参加した訳じゃあ無いんだけどね。

 「まぁ、その辺りの話は置いておいて私は侍女と一緒に戦火を逃れて百姓の家とかに避難していた訳」

  「なるほど、そこでやらかした爆発させた訳か」

  「桃ちゃん、言い方!いやそうなんだろうけど!」

 「まぁ、そうなんだけど」

 「だよね!」

 何度かそれを繰り返せば騒ぎにもなる、良く兄義元に居場所バレなかったな。一族郎党殺されてるんだぞ?

 勿論騒ぎにはなっただろう、当時火薬は急速に普及はしているものの戦国大名たちの需要を満たしていたとはとてと言えない。

 装備品に事無く百姓たちなら尚更だ、ただし運用方法が間違っていたと言わざるを得ないのだがな。千代の本領はその特異な特注品オーダーメイド開発の腕前だ、彼女にとって安価ローコストな量産品を作り続ける仕事など苦痛でしか無かっただろう。

 まぁそれでもこの日本で1番と言える結果を叩き出している辺りが千代の能力を裏付けているのだが。と言うよりも職人の腕が良いのか?夢を描くしかできない千代の考えに良く職人が応えたものだ。

 「さぁさぁ、私とハンゾーの昔話は終わったよ」

 「最後に言わなきゃ行けない人がいるんじゃ無いかな?」

  「ん?誰のことだ?」

 「「お前だわ!」」

 あ、私か~

 特に何も言うことなんて無いぞ?

 「本当につまらん話になるぞ?」

 「「うん」」

  「本当に聞く気か?」

 「「うん」」

 2人が曇り無い顔をこちらに向けてくる、どうやら逃げることはできないようだな。

  マジかよ、そもそも戦争前に昔話とか死亡フラグも良いところなんだが大丈夫か?

 仕方ない、話すか・・・・

 「なら、初めから話すとしよう。まず初めに私が生まれた頃からだな」

  少しずつ、心が冷えていくような気がする。

 友に話すには少し重たい話が、始まった。

 



 

 

 

 
 

 
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