多重人格者の異世界転移〜あれっお前魔王じゃね?!〜

くろこん

文字の大きさ
60 / 150
魔王と多重人格者、相対ス

彼の仲間が君に送る/王の最後

しおりを挟む
刀身という言葉がある

身を刀にし、敵と相対する

極めたというのはおこがましいが...それに近い領域まで、俺は来れたように思う。

構えを取る、なんと俺が構えている間の時間稼ぎはあの魔王様だ。贅沢にもほどがあるだろ。

1人で挑もうとしていた、他に頼れる人間も既にいない。あの触手は攻撃しなければ反撃してこない。誰もいない場所で1人、あの肌を切り裂いてやろうと思っていたのだが...顔があるなら上等じゃないか、あの気持ちの悪い顔面を切り裂いてやるよ。

魔王が乗ってくれると思わなかった。今こうして、俺を守ってくれている現状も

少しずつ目を閉じる、回りで聞こえてくる戦闘音が、少しずつ小さくなり、聞こえなくなる。

視界がなくなると、人は聴覚など、視覚以外の5感が鋭敏になる。それも閉じる

自分が見るものも
自分が聞くものも

全て消し、最後に刀の感触だけを残した。

紫電ー2刀

元々二振りあった刀のうち一振りは、既にパンドラの箱でこの技を使った時点で壊してしまった。

残るはこれ一振り、これも今壊そうとしている。

あの戦いでも、こんな戦いでも、これと戦ってきた。

.........じゃあな、相棒

目を見開いた瞬間、目の前が輝きだし、星の一振りが化け物の顔面に命中した。

ふー、と肩をゴキゴキと鳴らして刀身を見ると、ボロボロと崩れつつ、刀身は消えた。

............ひょっとしたらと思ったけど、やっぱりこうなっちゃうよねぇ

魔王が単純に自分の技量を褒める、褒めることもできんのか、おいおい...いやー似てるな。なんでだ、

お前は魔王で、アイツはーーー

『もう一度撃つ』

そう言った瞬間、魔王の顔が少し強張ったのを見た。

まぁ、こんな刀身ボロボロになってて刀がない状況で、俺が自分自身で撃つ...だなんて言ったらそりゃあ驚くよなぁ。

足で踏み込む
腰を回す
腕を振り抜く

体とは正に「身」であり、この体も既に刀身なのである。

刀がなければアレは撃てないか、

否打てる、恐らく刀で撃つよりも強く、刀で撃つよりも速いものが。

構える。体の一部のように武器を操る、と言うが、もっとも人が長い時間使っているのは、武器ではない。この身体だ。

構える、先ほどよりも深く、ゆっくりと体が沈んでいくような感覚とともにまた少しずつ感覚が消えていく。

魔王が血を流しながら戦っている姿も消える。
さっき会ったばっかりの俺を守るために。

なんだ、あんがいいい奴じゃねぇか

それとも、ただ合理的なだけなのか。アイツに復讐するために、俺の力がいるだけなのか

どちらでもいい


色々な場所を旅してきた。最初たった2人だったパーティーはあっというまに複数人になった。

中には、少し前まで敵だった奴だっていた。これもアイツがたらし込むせいだ。

勇者はいないが、さっき話をしたとき、魔王も仲間になった奴みたいな顔をしていた気がした。俺にも、アイツの性格がうつっちまったか。

ここで思考は止まる。

全てが闇に包まれたムサシの世界に

光が射した

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

身のすくような両断だった

光と1つになり、あの化け物の体を両断。ついでに後ろにあった山も壊してしまったが...まぁ、いいだろう。

『切った?!鋼を遥かに超える強度を誇る私の体の一部を?!神器以外の物質が。これは解析の余地ありです、損傷把握、血の大量消費を確認、巨大になりすぎたことでの欠点ですね。なんの防衛策も講じてなかったのも痛い。地底での回復を提案する』

そう言うと、化け物は地面へと潜っていく。地面に穴が空き、地盤そのものが崩壊し始める。ここももう直ぐなくなるだろう

だがそんなことは関係なかった、既に指先はおろか、体の端の感覚がない。

魔王はーー?と思い辺りを見回すと、先程まで倒れていた老馬に寄り添い何かを話していた

いいねぇ

結局こーいう最後か、いや常人よりも遥かに長い間生きれたから、贅沢っちゃあ贅沢だけどよ

若い頃は絶対に戦場で死ぬとしか考えなかったからな、そう考えると悪くない最後か

少し心残りはーーグリーンか
撤退してるとき、ちょっと刀のこと教えたりしたが、伝わってりゃあいいな。触りしか教えてねぇが、荒削りだがいい線いってる。ありゃすげぇことになるぞ

結局話したかったことは話せなかったが...まぁどっかであのねーちゃんが話してくれるだろ。

崩れていく全身を見て、少し笑う

我が身、一本の刀としせりーーー

自分の師の言葉だ、まさか本当に師の言う通り、刀になって崩れちまうとはな。師匠も思わなかったんじゃねぇか?

冷たい死がーーー彼に訪れる、その少し前に、彼に光が射した気がした。

気づけば、あのいつもの城門の前にいる。

ずっと昔の王都の城門前

そこに「彼ら」は立っていた。

いつも王城を抜け出して俺たちについていくと聞かなかった王子が

『やっと来たか、遅いぞ』

いつも自身満々だった魔導師が

『10分前行動!基本です』

勇者の初めての友だと言う旅する狩人

『いやいや、今回に関してはムサシちゃんのせいじゃないっしょ...』

戦いこそ苦手だったが俺たちをサポートしてくれたアルケミストが

『予定が少し遅れた、すぐに移動しよう』

懐かしい面々が、目の前にいる。

ーーー勇者はどうした?

ーーーーーーーーそうか

まだどっかで、俺たちの知らないところで、面白い冒険をしているのだろう。そしてその話を、嬉々として俺たちに教えてくれるのだ。

その話が楽しみで仕方がなかった。まぁその話の中に俺が出るようになるとは夢にも思わなかったが...

『わりぃ、また遅れちまった...』

そそくさと、ムサシは他のメンバーに近づいていく。

彼の意識は、そこで途絶えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

老馬の隣に、魔王は腰かけた。既に全身は触手に空けられた穴だらけである。全身はボロボロだ

『......終わった、な』

老馬は何も答えない、既に息絶えてい。

何も答えない老馬を隣に、魔王はある品物を取り出す

ーー王のペンダント

魔王となるための試練の時に、魔の王となる証として手に入れたペンダントである。透明なガラスの中に、小さく炎が灯っている。今にも消えそうな炎が

なぁ、誰か教えてくれ

我のやったことは間違いか

魔王史上最大の勢力をまとめ、魔族領をまとめ、同族を救うために立ち上がった。その際、我に勘違いがおきたのだ。ツヴァイハンダーを、神器を手にした途端、その圧倒的な力を手にした途端。勘違いしてしまったのだ

復讐心というものが、ゴブリンに生まれてからずっと燻ってきた怒りが。多分そこからだ、間違ったのは

神器の力は強大だ、だからこそ「勘違い」してしまう。

願わくば、神器使いがそれに惑わされることのないよう...

『自分で考えろ!!』

途端、あのグリーンの顔が浮かんだ

うん......大丈夫だ

きっと大丈夫だろう

ゆっくりと、ゴブリンであった半生を振り返る

地獄のようだった。生き残るのに、ただ必死になっていた。とにかく逃げ、逃げ、逃げた。

あのまま腹を刺されて平凡に死んだ方が、よほど幸せだっただろう。

本当にそうか?

自分の心が、その想いを拒絶した

アルフィィオスに会い
ジャンに会い
幹部達との出会い
魔王への試練の日々
友ができた、戦友ができた、忠誠を誓ったものができた。妻を娶り、子を為し、新しい人生を送った。

激動の人生だが...楽しかった。

いや...ゴブ生か?







崩落していく大地に呑み込まれるように
この日、2人の人物が人知れず、死んだ。

彼らの戦いが、戦いの行方を大きく揺るがすことを、誰も知らない








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...