【完結】サイレント、ナイト ~その夜のはじまり~

Fred

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本編

本編2.レイルウェイ

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アトリエの作業台の上には洋服の型紙と生地の切れ端や糸くずが散乱している。

それらがスタッフの手によってサーッと退けられると、真新しい生地が乗せられる。

すぐさま鮮やかな紅色の生地がきれいな弧を描きながらはさみの刃に切り裂かれる。

働く女たちは皆、目先に集中し、手を忙しく動かしている。


「すみませんでした」


ルイコが作業台に戻り、切り出された生地をつかんで表に返すと、ふらふらと椅子に体を落として額に手を置き顔をゆがめる。

上司の田村智恵がルイコに近づき、肩に手を置いてやさしく語りかける。


「ルイコちゃん、今日はもういいよ。あとは私達で追い込んでおくから」



智恵の束ねた長い髪は白髪交じりで、そのせいかグレーに染め上げたように見える。


「いいえ、まだ、もう少し……」


ルイコは二つの生地をあわせながら鋏を入れ、手際よく形を整えていく。

智恵はルイコの両腕を握り、正面から目を見つめる。


「無理しない。コレクションは夜だし先は見えたでしょ。明日またがんばってもらうから今日は帰ってあげなさいよ」


「あっ」


不意にかけられた言葉に思わず、と言うルイコの声だった。



「サンタ王子が待ってるんでしょ?」


智恵の言葉に緊迫していた他のスタッフも作業を続けながらクスクスと笑い、張り詰めていた空気が和む。

ルイコはすぐさま俯いて降参した。


「すみません」


「ここしばらく彼からルイコちゃん取っちゃってるみたいでこれじゃぁまるで意地悪魔女役だわ。ねぇ、みんな、そう思わない?」


今度は皆、手を休めて二人に顔を向け笑い出すスタッフたち。


智恵は紅色の布をルイコの手から引き取って、もう一度にこやかな顔をルイコに向ける。


「そんな……ありがとうございます!」


ルイコは深々と頭を下げ、それぞれスタッフに向けても会釈を繰り返す。


「また明日ね」


「がんばりなよ~!」


スタッフたちの掛ける声は暖かく、その分だけ肩の荷が軽くなる。

ルイコは上着を羽織るとトートバッグを肩に掛ける。


「お先に失礼します!」


改めて深々とお辞儀をしてから暖かい空気も身に纏いながら走り出す。


マールのビル前に走り出てきたルイコ、途端に重く冷たい空気にたじろいで身震いする。


「外、寒い」


ルイコは思い出したようにバッグをガサゴソとやりスマホを取り出す。


━━スマホの画面。カズヤへの発信履歴が出る。

━━電池残量表示が赤くなっている。


ゆっくりとカズヤへの発信ボタンへ親指を近づけるが触れるのを躊躇うルイコ。

そして顔を上げ、スマホをバッグに放り込むと、勢いよく走り出す。





カフェの窓ガラスに白く浮き出た結露が下の方から布をかけるように伸びてきている。

フロアには木目の上に茶色く塗装され、淀みの無い飴色のように透き通って見えそうなテーブルが並んでおり、天板の上のキャンドルがゆらゆらゆれて向かい合う男女の笑顔を照らしている。

そこにもあそこにも。

ここでは終わらない、この夜のたった一片に過ぎない時間を過ごしている、そんなカップルばかりでテーブル席は満席だった。

そんな夢心地な店内の片隅に天井から括り付けられた棚があって、50'sを思わせる雑貨や分厚いアート本とともにポインセチアがマス目の上下にランダムにディスプレイされており、フロアとの空気を分けていた。

棚越しにうごめく影が二つ、黒いカウンターに寄りかかっている。





カウンターの天板の上には、白い生クリームと丸く削ったホワイトチョコレートでデコレートされたケーキが二皿載っている。
チョコレートに白いトッピング。
この日としてはシンプルすぎる感じを受ける。
ケーキ皿の奥には、カズヤがバイクに掛けていた小さな紙袋が口を閉じてちょこんとたたずんでいる。

突如、片方のケーキの上から垂直にザクッとフォークが入り、崖を割るように裂け目を作った。
再びフォークがやってきて、同じペースで2回、3回とそれを繰り返し、皿の上にはスポンジのカスだけが残る。


「プハァ、うんめぇ!」


カズヤの友人、友樹が口をモグモグさせながらフォークを皿に投げると、続けざまに珈琲をズルズル飲み干す。


「サンタのおねぇさーん! これおかわり!」


友樹は口の端についた生クリームに気づくこともなく、振り返ってコーヒーカップを掲げながら声をあげた。

その粗野なイメージがまた、店のフロア内に漂う雰囲気とは異質なもので、棚の上にあるポインセチアのガードが無ければ毒々しく店中にあふれ出しそうだった。




カズヤはただカウンターに肘をついたまま顎を拳の上に乗せ、頭の中をフワフワと当てもなく浮遊していた。

友樹は一通りのものを胃に放り込むと、あれほど強引に誘ったにもかかわらず反応の弱いカズヤに言葉を投げる。


「なんだよ、シッビィ顔さらして。食わねぇんなら俺もらうぞ」


何か聞こえた。

シブ顔、シブ顔……ん、あ、俺か、とゆったりと思いつくカズヤ。


「どーぞ。それ、お前にクリスマスプレゼント」


「え? マジ? サンキュ!」


友樹はすかさずカズヤのケーキ皿を抱えて、ケーキのど真中にフォークを突き刺す。


カズヤは一向に前に進まない自分の思考に動きをつける手立てはないかと、棚越しの店内に目を動かした。
カップルの笑顔、笑顔、笑顔に笑顔。
背中にはそれしかない事を改めて把握すると、避けるように壁伝いのクリスマス装飾を眺めてみる。



それはまるでアメリカ映画やドラマに出てくるアメリカ人家庭のホームパーティー、そう、ウォルマート行ってやんややんや買い物して、家族みんなで飾りました!みたいな・・・そっか、それってこっちで言えばドンキか……などと思いをめぐらせると、やっと言葉が出た。


「なんかやりすぎじゃね? この飾り」


カズヤは隅の棚を飾る赤と緑のリボンと、雪に見立てた真綿を見ながら言った。


「んーな事言ったってしょーがねぇじゃん。世間はハッピー・クリスマス・イヴなんだし」


飾りになど目もくれず、唇にクリームをあふれさせながら言葉を口にする友樹はいかにも世間様とは無関係らしい。


この、友樹という男は何を口にしても愚痴かイヤミにしか聞こえないしゃべり方をする男なのだが、カズヤはとっくに慣れているつもりで、普段は気にならなかった。


「つーかクリスマスってだけでそんなにハッピーか?」

カズヤは相変わらず拳に顎を乗せたままで話す。


「そりゃぁそうだろう。まぁ日本人にとってはただのイベントっつうか、ただ盛り上がる切欠ってだけでもなんでもいいんだろうけどさ。俺だって今年は!と思って準備してたんだぜ……はぁぁ」

友樹もまるでカズヤに追いつくように深いため息をついた。


「は?お前そんな用意周到なヤツだっけ? そこまで力入れちゃうのもどうなん?」

カズヤの顎はようやく拳から解放され、自由になった。


「おいおい、ちょっとまて! おまえだってほら、それ」

友樹は目をピエロのように湾曲してカウンター上の紙袋を指差して笑う。


いつの間にか友樹び口の周りについていた生クリームはなくなっているが、テーブルに置かれたナプキンは元の位置のままで使われた形跡はない。


カズヤはその小さな紙袋を見つめ、もう一度それに込めた気持ちを確かめた。


「今回は特別っていうか……、まぁ、いつもとは違うんだ」


「お? 何それ。特別ってなんかすげー事?」

友樹は余計なところに敏感に食いついてくる。


カズヤはルイコとの今のことは簡単に話したくなかった。

さもすれば、自分の恥ずかしい部分をさらけ出すだけだからだ。


「なんかいーなー、ハッピーそうでよぉ!」

友樹は特にカズヤの言葉にしつこく執着することもなく、話をずらした。


カズヤは思い込みとは裏腹に、そんな友樹に少し肩透かしされたように感じた。


「いや、俺は明日がハッピー…デーだし」

カズヤはまたカウンターに肘を着いて拳に顎を置いた。


「ん?」

友樹は眉間にしわを寄せながらゴクッとケーキがのどを抜けていく。


「かはっ、かはっ」

友樹はむせると、あわてて珈琲カップを手に取るが、空なのがわかると、代わりにカズヤのレモンティーを飲み干した。

「ングッ、や、やべっ、死ぬ」


「そんくらいで死ねっかよ、バカ」

カズヤは気分が上向かなくても、いつもの調子で突っ込んだ。


サンタの赤い衣装を着たウェイトレスが珈琲を持ってくる。

「メリークリスマァス!」


頭には衣装と同じく赤いビロードの生地に白いふさふさの毛がついた長い耳がついている。


「イェイ! あ、おねーさん、こいつにレモンティー、ヨロ!」


「はぁい!」


友樹は親指を立ててウェイトレスに向けると、去っていくウェイトレスの腰についた白い毛玉の尻尾を目で追いながら早速来た珈琲をすする。

ズルズルした音が急に止まると、友樹は顔を上げた。


「あ、そっか、お前明日バースデーだっけ」


「はい正解。俺の24回目の誕生日」

カズヤは再びカウンターから肘をはずし、友樹に向き直る。


「でもって、今日は麗しの俺と二人きりのバースデー・イヴ。うふっ」

友樹はカズヤと入れ替わりに女っぽく両肘をカウンターにつき、両手首を合わせ、手のひらに顎を乗せて目をパチパチさせる。


「おい、キモイ。つーか、むしろ虚しいのイヴ目前にフられたお前だから」


「あーっ、お前呼び出しといてヤなこと言いやがんなぁホント! つーか来てみりゃ顔の上半分縦線入ってるし。あれ? でもなんでお前落ちてんの? 明日メインなら今日はどーでもいいオードブルじゃぁん」


ほら、来た。
この言葉尻がコイツの特徴なんだ。

あ~、こんな展開、悩む。
呼び出してはみたもののコイツにどこまで話したらいいのか。
そもそも、俺が、というより、友樹のフラれ話を聞きに呼び出した。
でも実は今の俺にそんな余裕はない。
ただ、ただ、今日は人恋しかった、なんていったらスゲェ恥ずかしいけど、実際そうなんだ。
情けない、こんな自分じゃぁルイコだってあきれる。
ああ、俺! 自分で消化しろ!
カズヤはやはり友樹に頼るより、自分で乗り越えるのが得策だと思った。


「最近ルイコのやつ様子がおかしくてさ」

ああ、吐いた。
いきなり折角導き出した答えを一瞬にして破った。
なんなんだ、ここまで弱い俺。
カズヤは真っ暗な頭の中をフワフワ浮かんでいる自分が思い浮かべる。


「ん~? 様子がおかしいってやっぱ女の子のあれ?」


友樹に”KY”という流行の表現は似合わない。
ちょっと違うんだ、そんな簡単なもんじゃない。


「コラッ! もう3週間以上会ってねぇし、その倍くらいルイコんちに行ってない」


カズヤは友樹のデリカシーのない言葉に助けられるように後の言葉をあれこれ考えずに続ける。


「プッ。たった3週間?仕事が忙しいだけだろって。アパレルはきっついぜぇ。お気軽ショップ店員のお前よりはカナリ不規則だろうし」


「んなんわかってっけどさ。でも妙に俺を家に寄せ付けねぇんだぜ。おかしくね?それにLINEだって既読になるの夜中でそのままスルーとか。通話投げても、電話かけても留守電だし……後でスマホ忘れたとか電池切れたとか何とか言ってんだけど、最近特に酷すぎ。どーなんだっつーの!」

ああ、またかなーりゲロッた。
はい、自由にゲロりました。
弱っ、俺。
頭の中の自分が暗闇の底に向かい急降下する。


友樹が急に身を乗り出す。


「おっ!それってサインだよ、サイン。他に男でも出来たとか!」

友樹はその目と口を連動させ、うれしさを表現する。


めんどくさいからコイツ、”KY”でいい。


「なわけねーよ」


カズヤは友樹の思いがけない言葉に、今度は頭の中の自分が一方向に重力を感じてより危うくフワフワと彷徨う姿を思い浮べた。


「わっかんねぇぞー、ルイちゃんカワイイし!」


友樹は相変わらず頭の中の妄想をつづけ、はっきりと言葉にする。


「カワイイ? そう、可愛い」


カズヤは友樹の言葉に間髪入れずに淡々と口にした。




「あっ! 今のってノロケ? くそっ! 返り討ち食らった。オゲェ」


友樹は胸を押さえてもんどりうつ。


倦怠期けんたいきってやつ?」


カズヤは友樹のリアクションは流し、ぼんやり呟いた。
重力から開放され、またフワフワと浮遊し始める頭の中の自分をイメージするカズヤ。


「あ~、俺も前カノん時、んなもんだろって放置してたらあれだぜ。まさか奴が他
の男とこう、ぶちゅっとか、むちゅっとか」

友樹はなぜか得意げに言うと、両手で円形を作り、口と手を使い、ぶちゅっとむちゅっとしてみせる。


「オマエ、ほんっと下品!」


「だってよ~、された俺の身になってみろよぉ」


「ジェスチャーいらねーから」


「実際、マジむかつくんだよな。相手の男ぜってー彼氏いんの知ってただろーしよ」


「カワイイから」


カズヤは相変わらずぼんやりと呟く。


「あっ、何それ、お世辞? それとも仏心? 今までそんなこと言ったことねーし、そもそもお前そーいうのミスマッチ」


「プッ。フフッ。んなんじゃねえよ、マジで」


笑った、俺、笑った。カズヤはこの席についてから初めて笑ったことに自分で気づいてそれも可笑しかった。



「はいはいあんがと。今さら奴の事何言われてもディープ・ブルーなだけだし」

友樹は溜息混じりにうつむいた。


「確かにあの美穂が浮気なんてな」


「そう! ほらっ! ルイちゃんだってわかんねぇって。イブの夜を誰かと!」

急に滑らかな口調で話し、カズヤを仲間にしたくてたまらない友樹。
その得意の言葉尻のイヤミさ加減だけでなく、悪意に満ちた表情も加えたまま、残りの珈琲をズズズと飲み干す。


「ねぇねぇ、ねぇから」

カズヤは取り合わない風に言いながらも、また頭の中の自分が重力を感じてそれに攻するように反対側にもがいている姿をイメージするカズヤ。


友樹は珈琲カップを置くと、カウンター上の紙袋に目をやる。


「つーかさ、ルイちゃん徹夜って訳じゃねぇんだろ?それ持って王子迎え、やれば?」

そう言いながら、顎で紙袋を指す。


「はぁ? 今から?」


「そ。お前は何時でも何処でもTシャツ感覚。時にはピッチリ白タイツにヒラヒラ
衣装着てみろって」


「あぁ、何か今、お前にそんなこと言われてる自分が激しく惨めに思える。くーっ」


「うっせぇ!(笑) 突然来てくれたりしたらルイちゃん喜ぶぜぇ。うん、ぜってぇ」


「あ、やだ。なんかそれ。絶対ムリ」


視線を寒い窓の外に向けるカズヤ。

だめなんだ、こういうのは自分から思い立ってやらないと、人に言われてからなんていうのはできない。
言われなければやったかもしれないのにヨ!と言う言い訳が一瞬にしてカズヤの頭を走った。


「おわっ、まったくこれだ。ブツブツしてねぇで行ってやれって。これ、命令! ほら出んぞ!」

友樹はさっさとカウンター上の紙袋と伝票を持ってレジに向かう。


「おい、待てよ!」


完全に引っ張られてる、友樹にしてやられてる、カズヤはそう思っていた。


「あ、誘ったのお前。ホラ、これ、ヨロ」

先を歩いていた友樹は立ち止まり、振り返って伝票を差し出す。


「おーよ!」


駆け寄ってきたカズヤは伝票を受け取ろうと手を伸ばす。

友樹は伝票をサッと引っ込め、ニタッとしてから無言でゆっくりと紙袋を差し出す。

照れたように首を横に傾け、ニタッとするカズヤ。


やられた。今日は友樹に完敗だ。
今夜のおまえはKYじゃない。


⇒本編3へつづく
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