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ダゼンと入試を受けるにあたって、メイドは驚いていたが反対はしなかった。
お父様とお兄様にアルタード学園に通いたいという手紙を出していたのだが、その返事も届いた。
二人とも、俺のやりたいことをするように応援してくれていた。
これで心残りはない。
あとは無事に合格するだけだ。
「そういえば…」
ふと学園に行くまでの道中、隣に歩くダゼンを見る。
「ダゼンは筆記試験大丈夫なのか?」
「護衛になるためには勉強もしないといけなかった。リハルトの護衛になれたってことは、多分大丈夫。」
「ダゼンは本当に優秀なんだな。」
「そんなことはない。俺はスラム街出身だ。生き残るためにはそれしかなかっただけ。」
その言葉に驚く。
スラム街には平民の中でも特に貧乏だったり罪を犯した者たちが暮らしている。
そんな中から護衛にまでのしあがるのは大変だったはずだ。
「いや、ダゼンは優秀だ。」
「リハルトは、なんか違う。」
褒めたのによく分からない返しをされた。
「どういうことだ?」
「なんか、違う。それが、気に入っている。だから友達なんだ。」
よく分からないが俺はダゼンのお気に召したらしい。
ダゼンの短く切る独特な喋り方にも慣れてきた。
「よく分からないけどありがとう。」
コクン。
小さく頷くダゼンに思わず笑ってしまう。
最初は気まずいと思っていたのが嘘みたいだ。
俺と同じでコミュニケーションが下手なだけ。
可愛げのあるやつだ。
そうも言っているうちに会場に着いたようだ。
同じように試験を受けにきたのであろう人たちがゾロゾロと門を通っている。
「ダゼン、お互い入学しよう。」
コクンと頷くダゼンに拳を突き出す。
それをみてダゼンも拳を突き出す。
お互いに拳を突き合わせて俺たちは学園に入った。
筆記試験は無事に終わった。
手応えもバッチリだ。
ダゼンにどうだったか聞いたところ、コクンと頷いていたからおそらく大丈夫なんだろう。
後は剣術試験だ。
待機室で他の受験生と一緒に呼ばれるのを待つ。
一番近くの席にダゼンと適当に座ってあたりを見渡すとほとんどの人が緊張した面持ちをしていた。
緊張をほぐす為か近くの受験生と会話している者が多く、聞き耳を立ててみる。
「俺、親がわざわざ教師まで雇ってくれたのに落ちたらどうしよう?」
「大丈夫だろ?俺なんかさっきの筆記でもうやばかったぞ。」
「筆記テストは余裕だったけど剣術はあまりしたことがないんだ。」
「俺も俺も、ダメかもな。」
「おい見ろよ、あっちで固まってるのってお貴族様たちじゃね?」
「本当だ、あの人新聞で見たことがある、あの赤髪の人!有名だよな、あの公爵家の…」
「あぁ、どうりで余裕そうな感じなわけだよな、俺ら平民と違ってお貴族様は幼い頃から習ってるしそもそも持ってる遺伝子が違うよ。」
チラチラとみんなが視線を送っている集団を見る。
明らかに身分が高そうな服を着た男3人組が固まって楽しそうに談笑していた。
周りの反応からどうやら全員お貴族様らしい。
知っていて損はないかと3人の顔をじっと見ておくことにした。
もしかしたら誰かがヤンと繋がってるかもしれない…………し。
ん?
俺は目を凝らした。
なんか知ってるやつの顔のような気がする。
赤髪のやつ、黒髪のやつ、それから…。
ゴシゴシと目を擦ってもう一度相手の方を見る。
受け入れたくないが、最悪なことに記憶の片隅に残っていた顔と今見ている顔が重なった。
本当に最悪だ。
そんなことあっていいはずがない。
信じたくない。
信じたくないが間違いない。
記憶に残っている、血が映えていた白髪。
髪は肩にかかるぐらいの長さだが、過去で出会った時は背中に届くくらい長かった。
金色の猛獣みたいな瞳孔の目。
無駄に整った顔立ち。
あの、リータである。
愚かにもアルバーン様を殺そうとした不届き者。
「251番リト!」
気を取られている中、試験官に名前を呼ばれ、ビクッと肩が揺れる。
隣に座っているダゼンが珍しく口を開いて「どうした?」と聞いてくるので「なんでもない、行ってくる」と返して試験官についていく。
そうだ、あいつは王族だしここにいたっておかしくはない。
とにかく絶対にヤンに近づけさせないようにしないと。
あいつとヤンの間に何かあったのは間違いないのだから。
「251番、リト、木刀を構えてください」
ぐるぐると考えごとをしている間もなく、目の前の試験官が木刀を手渡してきた。
慌てて受け取って剣を構える。
「試験内容は簡単です。目の前にあるものを剣で攻撃してください。剣の振り方、威力、速度、全てを試験官である私を含め剣術に詳しい方5人が見て点数をつけます。」
お父様とお兄様にアルタード学園に通いたいという手紙を出していたのだが、その返事も届いた。
二人とも、俺のやりたいことをするように応援してくれていた。
これで心残りはない。
あとは無事に合格するだけだ。
「そういえば…」
ふと学園に行くまでの道中、隣に歩くダゼンを見る。
「ダゼンは筆記試験大丈夫なのか?」
「護衛になるためには勉強もしないといけなかった。リハルトの護衛になれたってことは、多分大丈夫。」
「ダゼンは本当に優秀なんだな。」
「そんなことはない。俺はスラム街出身だ。生き残るためにはそれしかなかっただけ。」
その言葉に驚く。
スラム街には平民の中でも特に貧乏だったり罪を犯した者たちが暮らしている。
そんな中から護衛にまでのしあがるのは大変だったはずだ。
「いや、ダゼンは優秀だ。」
「リハルトは、なんか違う。」
褒めたのによく分からない返しをされた。
「どういうことだ?」
「なんか、違う。それが、気に入っている。だから友達なんだ。」
よく分からないが俺はダゼンのお気に召したらしい。
ダゼンの短く切る独特な喋り方にも慣れてきた。
「よく分からないけどありがとう。」
コクン。
小さく頷くダゼンに思わず笑ってしまう。
最初は気まずいと思っていたのが嘘みたいだ。
俺と同じでコミュニケーションが下手なだけ。
可愛げのあるやつだ。
そうも言っているうちに会場に着いたようだ。
同じように試験を受けにきたのであろう人たちがゾロゾロと門を通っている。
「ダゼン、お互い入学しよう。」
コクンと頷くダゼンに拳を突き出す。
それをみてダゼンも拳を突き出す。
お互いに拳を突き合わせて俺たちは学園に入った。
筆記試験は無事に終わった。
手応えもバッチリだ。
ダゼンにどうだったか聞いたところ、コクンと頷いていたからおそらく大丈夫なんだろう。
後は剣術試験だ。
待機室で他の受験生と一緒に呼ばれるのを待つ。
一番近くの席にダゼンと適当に座ってあたりを見渡すとほとんどの人が緊張した面持ちをしていた。
緊張をほぐす為か近くの受験生と会話している者が多く、聞き耳を立ててみる。
「俺、親がわざわざ教師まで雇ってくれたのに落ちたらどうしよう?」
「大丈夫だろ?俺なんかさっきの筆記でもうやばかったぞ。」
「筆記テストは余裕だったけど剣術はあまりしたことがないんだ。」
「俺も俺も、ダメかもな。」
「おい見ろよ、あっちで固まってるのってお貴族様たちじゃね?」
「本当だ、あの人新聞で見たことがある、あの赤髪の人!有名だよな、あの公爵家の…」
「あぁ、どうりで余裕そうな感じなわけだよな、俺ら平民と違ってお貴族様は幼い頃から習ってるしそもそも持ってる遺伝子が違うよ。」
チラチラとみんなが視線を送っている集団を見る。
明らかに身分が高そうな服を着た男3人組が固まって楽しそうに談笑していた。
周りの反応からどうやら全員お貴族様らしい。
知っていて損はないかと3人の顔をじっと見ておくことにした。
もしかしたら誰かがヤンと繋がってるかもしれない…………し。
ん?
俺は目を凝らした。
なんか知ってるやつの顔のような気がする。
赤髪のやつ、黒髪のやつ、それから…。
ゴシゴシと目を擦ってもう一度相手の方を見る。
受け入れたくないが、最悪なことに記憶の片隅に残っていた顔と今見ている顔が重なった。
本当に最悪だ。
そんなことあっていいはずがない。
信じたくない。
信じたくないが間違いない。
記憶に残っている、血が映えていた白髪。
髪は肩にかかるぐらいの長さだが、過去で出会った時は背中に届くくらい長かった。
金色の猛獣みたいな瞳孔の目。
無駄に整った顔立ち。
あの、リータである。
愚かにもアルバーン様を殺そうとした不届き者。
「251番リト!」
気を取られている中、試験官に名前を呼ばれ、ビクッと肩が揺れる。
隣に座っているダゼンが珍しく口を開いて「どうした?」と聞いてくるので「なんでもない、行ってくる」と返して試験官についていく。
そうだ、あいつは王族だしここにいたっておかしくはない。
とにかく絶対にヤンに近づけさせないようにしないと。
あいつとヤンの間に何かあったのは間違いないのだから。
「251番、リト、木刀を構えてください」
ぐるぐると考えごとをしている間もなく、目の前の試験官が木刀を手渡してきた。
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