2 / 5
1
しおりを挟む
生憎と俺は世間一般でいう可愛らしい性格ではない。
基本時にポーカーフェイスであまり笑わない。
そう、つまり、俺はΩとして少々生き辛い性格なのだ。
Ωは可愛く愛想を振りまいてニコニコしていなければ誰も結婚、いやそれ以前に付き合ってさえもくれない。
俺は両親が幼い頃他界したため、兄と二人で過ごしているのだが、その兄は俺の学費やら生活費やらを稼ぐ為に毎日多忙を極めている。
働く兄の姿を見る度に兄自身の人生を真っ当に歩んで欲しいと願わずにはいられない。
これ以上兄に迷惑をかけたくないし、心配されずに生きていきたい。
そこで、俺は考えた。
金持ちなαと結婚し、そのαが俺に飽きて捨てる時にがっぽりとお金を貰って出て行くのだ。
それしかない。
たまに自分の事を誠心誠意愛してくれるαと番いたいという御伽噺のような事を言うΩがいるが、夢から覚めろとしか言いようがない。
確かにそんなαもいるかもしれないが、パッと自分の周りを見渡してみればそれがいかに幻想であるか分かるはずだ。
シンデレラシンドロームに陥ってはいけない。
きちんと現実を見据えて事実をありのまま受け止めなければ生きていけないのだ。
と、勢いよく語ったものの再度言おう。
俺は愛想が良くない、良くないのだ。
このままでは愛人のポジションにも入れないかもしれない、それだけはまずい。
必死に周りのΩの真似をしてみたが自分で自分に引いてしまった。
きつい、これはだめだ。
まずあのキャピキャピした声を出すことができない。
次に自然に笑顔が作れない。
頑張って鏡の前で微笑む練習をしてみたがまったくもって表情筋が動かない。
ボディータッチも下手くそだし、会話なんて普段人とあまり話さないからかその場にいることしかできなかった、もはや空気だ、空気。
俺より空気清浄機の方がまだまともかもしれない。
「愛想良く、愛想良く……」
もうこれがラストチャンスだ。
ギュッと拳を握って顔を上げる。
目の前に立つのはこれから通うことになる高校の校舎。
ここで、何としてでも金持ちαを見つけるんだ!
容姿も性格も気にしてられない。
気になるのは金持ちか、そうでないか、ただそれだけ!
よし!
一息吐いて入学式の会場に向かおうとした時だった。
思わず目を見張った。
ばっちりと目の前にいる男と目があったからだ。
いや、驚いたのはそれだけではない。
その男が今までに見たことのないくらいかっこよかったからでもある。
すらりとした身長に彫りの深い整った顔。
明らかにαだと感じた。
彼の切長で真っ黒な瞳と何秒か視線が交わる。
なんだか気まずくなり、慌てて視線を外して歩き出した。
その時だった。
「結婚しよう」
そう、聞こえた。
いや、言われたのか?
誰が?
俺が。
チラッと彼の方に目を向けるとまたばっちりと目があった。
真っ直ぐ俺を見つめる瞳にやっぱり俺に言ったんだと頭の中で整理する。
「…………君は、お金持ち?」
「そこそこかな、でも一生生活には困らせない、約束する、だから結婚して欲しい」
断る理由が見つからない。
お金持ってるんだもん。
イケメンだからすぐに他の相手をつくって捨てられるかもしれないが、お金をくれるなら別にいい。
「…………うん」
「俺、白鳥 雷…君は?」
「俺は矢島 奏多」
こうして俺は結婚した。
基本時にポーカーフェイスであまり笑わない。
そう、つまり、俺はΩとして少々生き辛い性格なのだ。
Ωは可愛く愛想を振りまいてニコニコしていなければ誰も結婚、いやそれ以前に付き合ってさえもくれない。
俺は両親が幼い頃他界したため、兄と二人で過ごしているのだが、その兄は俺の学費やら生活費やらを稼ぐ為に毎日多忙を極めている。
働く兄の姿を見る度に兄自身の人生を真っ当に歩んで欲しいと願わずにはいられない。
これ以上兄に迷惑をかけたくないし、心配されずに生きていきたい。
そこで、俺は考えた。
金持ちなαと結婚し、そのαが俺に飽きて捨てる時にがっぽりとお金を貰って出て行くのだ。
それしかない。
たまに自分の事を誠心誠意愛してくれるαと番いたいという御伽噺のような事を言うΩがいるが、夢から覚めろとしか言いようがない。
確かにそんなαもいるかもしれないが、パッと自分の周りを見渡してみればそれがいかに幻想であるか分かるはずだ。
シンデレラシンドロームに陥ってはいけない。
きちんと現実を見据えて事実をありのまま受け止めなければ生きていけないのだ。
と、勢いよく語ったものの再度言おう。
俺は愛想が良くない、良くないのだ。
このままでは愛人のポジションにも入れないかもしれない、それだけはまずい。
必死に周りのΩの真似をしてみたが自分で自分に引いてしまった。
きつい、これはだめだ。
まずあのキャピキャピした声を出すことができない。
次に自然に笑顔が作れない。
頑張って鏡の前で微笑む練習をしてみたがまったくもって表情筋が動かない。
ボディータッチも下手くそだし、会話なんて普段人とあまり話さないからかその場にいることしかできなかった、もはや空気だ、空気。
俺より空気清浄機の方がまだまともかもしれない。
「愛想良く、愛想良く……」
もうこれがラストチャンスだ。
ギュッと拳を握って顔を上げる。
目の前に立つのはこれから通うことになる高校の校舎。
ここで、何としてでも金持ちαを見つけるんだ!
容姿も性格も気にしてられない。
気になるのは金持ちか、そうでないか、ただそれだけ!
よし!
一息吐いて入学式の会場に向かおうとした時だった。
思わず目を見張った。
ばっちりと目の前にいる男と目があったからだ。
いや、驚いたのはそれだけではない。
その男が今までに見たことのないくらいかっこよかったからでもある。
すらりとした身長に彫りの深い整った顔。
明らかにαだと感じた。
彼の切長で真っ黒な瞳と何秒か視線が交わる。
なんだか気まずくなり、慌てて視線を外して歩き出した。
その時だった。
「結婚しよう」
そう、聞こえた。
いや、言われたのか?
誰が?
俺が。
チラッと彼の方に目を向けるとまたばっちりと目があった。
真っ直ぐ俺を見つめる瞳にやっぱり俺に言ったんだと頭の中で整理する。
「…………君は、お金持ち?」
「そこそこかな、でも一生生活には困らせない、約束する、だから結婚して欲しい」
断る理由が見つからない。
お金持ってるんだもん。
イケメンだからすぐに他の相手をつくって捨てられるかもしれないが、お金をくれるなら別にいい。
「…………うん」
「俺、白鳥 雷…君は?」
「俺は矢島 奏多」
こうして俺は結婚した。
21
あなたにおすすめの小説
虐げられた令息の第二の人生はスローライフ
りまり
BL
僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。
僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。
だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。
救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。
お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。
第2王子は断罪役を放棄します!
木月月
BL
ある日前世の記憶が蘇った主人公。
前世で読んだ、悪役令嬢が主人公の、冤罪断罪からの巻き返し痛快ライフ漫画(アニメ化もされた)。
それの冒頭で主人公の悪役令嬢を断罪する第2王子、それが俺。内容はよくある設定で貴族の子供が通う学園の卒業式後のパーティーにて悪役令嬢を断罪して追放した第2王子と男爵令嬢は身勝手な行いで身分剥奪ののち追放、そのあとは物語に一切現れない、と言うキャラ。
記憶が蘇った今は、物語の主人公の令嬢をはじめ、自分の臣下や婚約者を選定するためのお茶会が始まる前日!5歳児万歳!まだ何も起こらない!フラグはバキバキに折りまくって折りまくって!なんなら5つ上の兄王子の臣下とかも!面倒いから!王弟として大公になるのはいい!だがしかし自由になる!
ここは剣と魔法となんならダンジョンもあって冒険者にもなれる!
スローライフもいい!なんでも選べる!だから俺は!物語の第2王子の役割を放棄します!
この話は小説家になろうにも投稿しています。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした
444
BL
『醜い顔…汚らしい』
幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。
だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。
その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話
暴力表現があるところには※をつけております
時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~
なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。
一つは男であること。
そして、ある一定の未来を知っていること。
エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。
意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…?
魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。
なんと目覚めたのは断罪される2か月前!?
引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。
でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉
まぁどうせ出ていくからいっか!
北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる