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①
「まだ見つからないのか?」
「す、すみません!!」
バンッッ!!!
机が激しく揺れる。
一人の男はガタガタ震えていた。
ああ、自分もクビになるんだ…そう思いながら。
「俺が何年待ってやってると思ってる?二年だぞ、二年!!」
ヒステリーのように叫びもう一人の男は机の上にあった書類を床に叩きつける。
勢いよく紙が床に散乱した。
はぁと息を吐き、男がソファに座り込む。
そして…呟く。
「………もういい、やめる…」
「え?」
「そんなに俺のこと失いたくないんだろ、この事務所…なぁ、笹原?」
どす黒い笑みを向けられる。
笹原と呼ばれた男は顔を青白くさせた。
これが世間でキラキラと注目を集めるあの男なのか?
何度も疑ったし、疑ってしまう。
「…すいません、実は上からなんとか誤魔化して貴方をここに止まらせるように言われていました…」
もうだめだ…絶望的になりなんとかこの場を凌ごうと言葉を紡ぐ。
ソファに座りかかっていた男はニヤッと微笑み、口を開いた。
「知ってるよ、お前がそう言うのを待ってたんだ」
「…え?」
思わず…といった様子で今にも泣き出しそうな男はパチクリと瞬きをする。
「あの要求に叶えられたら俺の経営する会社に入れてやる…ここよりも給料はいいぞ、だから…どんな手を使ってでも探せ」
ニコッ。
その笑みに体をこわばらせる。
頷くしない…そう直感で感じた。
それに…この男の要求を見事に叶えれば自分は叶ったり願ったりでとんでもない一流企業に就職できるのだ。
「わ、わかりました…」
「それでいい…、後、見つけたからってそうそう連れてきたりするなよ」
「な、なぜでしょうか?」
「なんでだと思う?」
質問を質問で返される。
なぜか…わからない。
首を傾げると男は笑って言った。
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