好き、これからも。

あちゃーた

文字の大きさ
9 / 49



「まだ見つからないのか?」


「す、すみません!!」




バンッッ!!!




机が激しく揺れる。

一人の男はガタガタ震えていた。

ああ、自分もクビになるんだ…そう思いながら。


「俺が何年待ってやってると思ってる?二年だぞ、二年!!」


ヒステリーのように叫びもう一人の男は机の上にあった書類を床に叩きつける。

勢いよく紙が床に散乱した。

はぁと息を吐き、男がソファに座り込む。

そして…呟く。


「………もういい、やめる…」


「え?」


「そんなに俺のこと失いたくないんだろ、この事務所…なぁ、笹原?」


どす黒い笑みを向けられる。

笹原と呼ばれた男は顔を青白くさせた。

これが世間でキラキラと注目を集めるあの男なのか?

何度も疑ったし、疑ってしまう。


「…すいません、実は上からなんとか誤魔化して貴方をここに止まらせるように言われていました…」


もうだめだ…絶望的になりなんとかこの場を凌ごうと言葉を紡ぐ。

ソファに座りかかっていた男はニヤッと微笑み、口を開いた。


「知ってるよ、お前がそう言うのを待ってたんだ」


「…え?」


思わず…といった様子で今にも泣き出しそうな男はパチクリと瞬きをする。


「あの要求に叶えられたら俺の経営する会社に入れてやる…ここよりも給料はいいぞ、だから…どんな手を使ってでも探せ」


ニコッ。

その笑みに体をこわばらせる。

頷くしない…そう直感で感じた。

それに…この男の要求を見事に叶えれば自分は叶ったり願ったりでとんでもない一流企業に就職できるのだ。



「わ、わかりました…」


「それでいい…、後、見つけたからってそうそう連れてきたりするなよ」


「な、なぜでしょうか?」


「なんでだと思う?」


質問を質問で返される。

なぜか…わからない。

首を傾げると男は笑って言った。





「好きだから…完璧なシナリオがいるんだよ」





あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 様々な形での応援ありがとうございます!

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」 学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。 生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。 静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。 しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。 「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」 玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。 それから十年後。 静は玲に復讐するために近づくが…

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

運命よりも先に、愛してしまった

AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。 しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、 2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。 その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。