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ピピピッ…。
枕元から目覚まし他の音が聞こえる。
朝だ。
起きなきゃ。
起きてセイ君にとびっきり美味しいご飯を作ってあげるんだ。
「やーまとっ♡」
「んんぅ…」
耳元で大好きな人の声が聞こえる。
まだ眠たい目をうっすら開けて視界がクリアになるのを待つ。
「へっ…!?」
「ん?」
「せ、セイくんっ!?」
「ふふふっ、おはよう大和♡」
今日もお星様みたいに眩しいセイくんが目を細めている。
「あ、ぼ、僕、朝ごはん…」
セイくんより早く起きてセイくんのためにご飯作らなきゃだったのに。
「今日は俺が作ったんだ、昨日は、ね?無理させちゃったし」
「昨日…?」
ふっと頭を掠めた記憶に顔がぼんっと赤くなる。
そうだった。
昨日は久しぶりにセイくんと…。
「あ、あぅ」
「体辛いならここでご飯食べさせてあげるからね」
「う、ううんっ!だ、大丈夫だよ!」
た、確かに激しかったけど…。
歩けないほどではないはず!
体を起こして立ちあがろうとしてみる。
「うわっ!」
「大和!」
ガクガクと生まれたての子鹿のように震える足ではうまく立てなかった。
セイ君が慌てて支えてくれたから転けずに済んだけど、だ、大丈夫かな…。
「今日はベッドの上にいなきゃだね」
「で、でも!セイ君に迷惑かかっちゃうから…」
「大丈夫!気にしないでゆっくりしててね」
ちゅ。
おでこに唇が落とされた。
「ふぇっ!?」
「俺、すごい幸せなんだよ…、大和との誤解が解けて、ようやく大和が俺だけの大和になったって感じがする…」
「ぼ、僕も!幸せっ!」
慌てて声を張り上げて言う。
セイ君が復讐なんて考えてなくて本当に僕を好いてくれてるってこと。
本当に嬉しい。
「でも…」
「ん?」
「セイ君と再会した時、その、この部屋に置いてあった、その、写真…」
「そういえば、大和にあの写真よく見せてあげてなかったね」
そう。
あの日以外、例の写真は見れてない。
誰が、映ってたの…?
セイ君は「まっててね」と言って机の引き出しから写真を取り出して僕に手渡してくれた。
「ほら、可愛いでしょ」
「……………え?」
思わず口を開けて固まる。
う、嘘でしょ…!?
「こ、ここここここれって…」
「うん!大和がお弁当頬張ってるところ!ほんっとうに可愛い…」
口元を緩ませてそう言うセイ君に唖然とする。
いや、この写真の僕、豚にしか見えない…。
「せ、セイ君…、そ、その写真、あの」
飾られるのは嫌かなーって。
そう言おうと思った、のに…。
「この写真、高校の時の数少ない大事な写真なんだ」
セイ君が大事そうに抱えるものだから何も言えなくなる。
僕だってセイ君からもらったピアスがなかったら別れる前は耐えられなかったし、そのピアスは今も大事にとってある。
「そっ、そっか」
「うん、この頃の大和は黒髪で初々しい感じがするよね」
そういえばそうだなあっとしみじみと自分の髪を触る。
「茶髪に勢いでしちゃったけどもうだいぶ色落ちしてるし…このまま黒髪に戻しちゃおうかな?」
「そうだね!黒髪似合うもん、大和は素が一番可愛い」
セイ君に向けられた笑顔で決意する。
黒髪に明日にでも戻しに行こう。
「えへへへっ、じゃあ黒髪にするね」
「うん、あっ、今日の朝ごはんは大和好きなココアと目玉焼きパンだよ」
「本当?僕の好物だぁ!セイ君よく知ってるね!僕、目玉焼きパン好きになったの結構最近なのに」
「ふふっ、大和のことならなんでも知ってるよ」
その言葉に嬉しさを覚える。
セイ君は、僕のことを、好き。
その事実が身体中に染み渡る。
「僕もっ!セイ君のこといっぱい知ってるよ」
「本当に大和は可愛いなぁ」
セイ君は僕をギュッと胸に引き寄せる。
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて少しくすぐったい。
「えへへ」
「大和…、あぁ、俺のせいでこの傷もできたんだよね…、本当に俺のこと大好きなんだから」
「あ、で、でもこれは僕の不注意で…」
あれ?
この二の腕の傷のこと、僕、セイ君に言ってたっけ??
「違うよ、俺が好きって気持ちを認められなくてフラフラしてたからあんな奴に傷つけられたんだ…、これからはもうお前しかみないから、だから、ずっと一緒にいて?出て行かないで…」
今にも泣きそうなその声に慌てて考えていたことを頭から振り払った。
「う、うん!セイ君の方が嫌じゃなければ…、これからずっと一緒にいたい」
「大和…」
本当に嬉しそうに微笑むセイ君に僕もこれ以上ないくらい幸せな笑顔を向ける。
「愛してるよ、セイ君」
「俺も愛してる」
枕元から目覚まし他の音が聞こえる。
朝だ。
起きなきゃ。
起きてセイ君にとびっきり美味しいご飯を作ってあげるんだ。
「やーまとっ♡」
「んんぅ…」
耳元で大好きな人の声が聞こえる。
まだ眠たい目をうっすら開けて視界がクリアになるのを待つ。
「へっ…!?」
「ん?」
「せ、セイくんっ!?」
「ふふふっ、おはよう大和♡」
今日もお星様みたいに眩しいセイくんが目を細めている。
「あ、ぼ、僕、朝ごはん…」
セイくんより早く起きてセイくんのためにご飯作らなきゃだったのに。
「今日は俺が作ったんだ、昨日は、ね?無理させちゃったし」
「昨日…?」
ふっと頭を掠めた記憶に顔がぼんっと赤くなる。
そうだった。
昨日は久しぶりにセイくんと…。
「あ、あぅ」
「体辛いならここでご飯食べさせてあげるからね」
「う、ううんっ!だ、大丈夫だよ!」
た、確かに激しかったけど…。
歩けないほどではないはず!
体を起こして立ちあがろうとしてみる。
「うわっ!」
「大和!」
ガクガクと生まれたての子鹿のように震える足ではうまく立てなかった。
セイ君が慌てて支えてくれたから転けずに済んだけど、だ、大丈夫かな…。
「今日はベッドの上にいなきゃだね」
「で、でも!セイ君に迷惑かかっちゃうから…」
「大丈夫!気にしないでゆっくりしててね」
ちゅ。
おでこに唇が落とされた。
「ふぇっ!?」
「俺、すごい幸せなんだよ…、大和との誤解が解けて、ようやく大和が俺だけの大和になったって感じがする…」
「ぼ、僕も!幸せっ!」
慌てて声を張り上げて言う。
セイ君が復讐なんて考えてなくて本当に僕を好いてくれてるってこと。
本当に嬉しい。
「でも…」
「ん?」
「セイ君と再会した時、その、この部屋に置いてあった、その、写真…」
「そういえば、大和にあの写真よく見せてあげてなかったね」
そう。
あの日以外、例の写真は見れてない。
誰が、映ってたの…?
セイ君は「まっててね」と言って机の引き出しから写真を取り出して僕に手渡してくれた。
「ほら、可愛いでしょ」
「……………え?」
思わず口を開けて固まる。
う、嘘でしょ…!?
「こ、ここここここれって…」
「うん!大和がお弁当頬張ってるところ!ほんっとうに可愛い…」
口元を緩ませてそう言うセイ君に唖然とする。
いや、この写真の僕、豚にしか見えない…。
「せ、セイ君…、そ、その写真、あの」
飾られるのは嫌かなーって。
そう言おうと思った、のに…。
「この写真、高校の時の数少ない大事な写真なんだ」
セイ君が大事そうに抱えるものだから何も言えなくなる。
僕だってセイ君からもらったピアスがなかったら別れる前は耐えられなかったし、そのピアスは今も大事にとってある。
「そっ、そっか」
「うん、この頃の大和は黒髪で初々しい感じがするよね」
そういえばそうだなあっとしみじみと自分の髪を触る。
「茶髪に勢いでしちゃったけどもうだいぶ色落ちしてるし…このまま黒髪に戻しちゃおうかな?」
「そうだね!黒髪似合うもん、大和は素が一番可愛い」
セイ君に向けられた笑顔で決意する。
黒髪に明日にでも戻しに行こう。
「えへへへっ、じゃあ黒髪にするね」
「うん、あっ、今日の朝ごはんは大和好きなココアと目玉焼きパンだよ」
「本当?僕の好物だぁ!セイ君よく知ってるね!僕、目玉焼きパン好きになったの結構最近なのに」
「ふふっ、大和のことならなんでも知ってるよ」
その言葉に嬉しさを覚える。
セイ君は、僕のことを、好き。
その事実が身体中に染み渡る。
「僕もっ!セイ君のこといっぱい知ってるよ」
「本当に大和は可愛いなぁ」
セイ君は僕をギュッと胸に引き寄せる。
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて少しくすぐったい。
「えへへ」
「大和…、あぁ、俺のせいでこの傷もできたんだよね…、本当に俺のこと大好きなんだから」
「あ、で、でもこれは僕の不注意で…」
あれ?
この二の腕の傷のこと、僕、セイ君に言ってたっけ??
「違うよ、俺が好きって気持ちを認められなくてフラフラしてたからあんな奴に傷つけられたんだ…、これからはもうお前しかみないから、だから、ずっと一緒にいて?出て行かないで…」
今にも泣きそうなその声に慌てて考えていたことを頭から振り払った。
「う、うん!セイ君の方が嫌じゃなければ…、これからずっと一緒にいたい」
「大和…」
本当に嬉しそうに微笑むセイ君に僕もこれ以上ないくらい幸せな笑顔を向ける。
「愛してるよ、セイ君」
「俺も愛してる」
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