112 / 472
第九十二話 しんでしまうとは なさけない
しおりを挟む
───神への通信───
紙への通信をする方法は複数ある。その中で、最も簡単な方法は専用の魔方陣を使用しての通信である。しかし、消費するMPが多いので、魔方陣があったとしても使用できる者は少ない。なお、この世界で使える者はフランとノエルぐらいである。────Maoupediaより抜粋
☆ ☆ ☆ ☆
俺は白い部屋の中に立っていた。それ以外に言いようがない程に部屋の中には何もない。家具も無ければ出入りできるような扉もない。1時間もいたら精神が壊れるほどに何もない部屋。そんな部屋に俺はいた。
ここは死んだ者が一時的に待機する部屋。あくまで生き返る可能性がある者が来る部屋であり、完全に死んだ者はここに来る事はない。
ここにいるって事は俺は死んだのか。この部屋に来るのも久しぶりだな。
「さて、この部屋にいるって事は……」
「ようホウリ」
俺は声がする方へ視線を向ける。そこには無精ひげを生やした親父の姿があった。
親父は笑いながら口を開く。
「死んでしまうなんて情けないな?」
「うるせえ。一時的だ。この後ちゃんと生き返る」
「だろうな。この程度で終わるほど温い旅してないからな。狙いは俺だろ?」
「まあな。聞きたいことがある」
「うーん、どうしよっかなー」
俺の言葉に乗り気でない様子の親父。理由は分かっている。
「……俺が不甲斐ないからか?」
「そうだな。あの程度の敵の動向も把握出来ずにやられてるんじゃな。どうせまたすぐに死ぬだろ?」
「死んでも生き返る手はある。今も完全に死んでない」
「だが死ぬつもりは無かった。違うか?」
確かに親父とのコンタクトは別の形で行う予定だった。こうして親父とコンタクトを取るのも不測の事態が起こったついでだ。
フランがいるとはいえ、一度死ぬというのは甦れないリスクが付いてくる。それに、死んでいる間は裁判にも参加できない。裁判も終盤でラビに託しているとはいえ、確実に勝ちに行くならば最後まで俺自身が参加するべきだろう。
つまり、俺が死んでしまうのはリスク以外の何物でもない訳だ。
「確かに俺が取った選択はベストじゃなかった。だが、まだ不正解だと決まったわけじゃない」
「結果的に勝てばいいと教えたのは俺だし、その意見は間違ってない。ただお前が最適の行動が出来なかったから、俺が失望したってだけだ」
「……次は上手くやる。今は情報が欲しい」
親父が言ってる事は正しい。結果的に上手くいったからといって次も上手くいくとは限らない。だからこそ常に最善手を打ち続けなくてはならない。親父が失望するのも無理はないだろう。
だが、今は親父の力が必要だ。そんな事は後で反省する。
親父も俺の考えを察したのかそれ以上は何も言わなかった。
「次は上手くやれよ。情報の代価は2週間の旅だがいいか?」
「ああ」
「おーけい、これがお前の質問の答えだ」
親父が取り出した紙を受け取り目を通す。
なんで親父は質問してないのに俺が聞きたいことが分かるのか?理由は親父だから。異世界の事の出来事も把握しているんだから、俺の聞きたい事くらいなら分かるだろう。
「よし、大体わかった」
「これからどうするつもりだ?」
「まだ裁判が終わってなかったらそれに集中して、終わってたら後始末だな。また何かあったら力を貸してくれないか?」
「いいぜ。失望したとはいえ俺の息子だしな」
「別に親父に認められる為に生きている訳じゃねえよ」
「それでいい、ここにはあまり来るなよ?」
親父は手を振りながら部屋から立ち去る。
親父がいなくなった事によりここにも用が無くなった。俺も立ち去るとするか。
☆ ☆ ☆ ☆
目を覚まして最初に目に映ったのは天井だった。どうやら宿に寝かされているようだ。
「ホウリさん!?」
俺が目を覚ましたのを見て傍にいたロワが声を上げる。
「よう、今帰ったぜ」
「ホウリさーん!」
ロワが俺に抱き着いて泣き始める。俺はロワを引きはがして、ベッドから立ち上がる。
「上の階の部屋の1つを貸し切る。全員を上の階に呼んでくれ」
「え?どういうことですか?」
「神に話したい事が出来た」
「わ、分かりました」
驚きながらもロワは言われた通りに部屋から出ていく。さてと、俺も準備を進めるとするか。
☆ ☆ ☆ ☆
「これでよしと……」
あの野郎と通信できる魔方陣を部屋の床に書く。これで通信する準備は整った。後は全員が集まるだけだ。
魔方陣を書いて数分、扉が開いてスターダストの面々が入って来た。ノエルは俺を見るなり全力で向かってきた。
「ホウリお兄ちゃーん!!」
俺は抱き着いてくるノエルを優しく抱きしめ頭をなでる。
「ただいま」
「おかえりなさーい!」
ノエルを抱きしめながらミエルやフランの方へと視線を向ける。
「遅いぞ。わしらがどれだけ苦労したと思っておる」
「生き返って始めのセリフがそれかよ。少しくらいは心配しても良いんだぜ?」
「ノエルが治療した貴様が死ぬわけがないだろう。まあ、今回はおかえりなさいと言ってもいいがな」
「うむ、おつかれさまと労ってやってもよいのう」
「もう、お二人とも素直じゃないんですから」
全員が朗らかに話す様子を見て、裁判が既に終わったことを察する。ラビは上手くやってくれたみたいだな。
「して、目を覚まして早々にみっちゃんと通話するとは何があったんじゃ?」
「細かい事は後だ。今は何が起こったかを教えてくれ」
「わ、分かった」
戸惑いながらもフランが状況の説明を始める。
「───これがお主が寝ている間の出来事じゃ」
「ローブオが死んだか。少し手痛いかもな」
「すまぬ、わしが付いていながら……」
「ノエルもいたのに……」
「読み切れなかった俺の責任でもある。気にするな」
フランからの話を聞いて、嫌な予感が当たっていることを確信する。
「そろそろゴミと通信するか。フラン、準備はいいか?」
「勿論じゃ。早速始めるぞ」
フランが足を鳴らすと魔方陣が明るく輝き始める。そして、いつも通りコール音が鳴り始めてゴミ野郎が出た。
『やあ、まーちゃん。おひさー』
「よう、クズ。久しぶりだな」
『ホウリ君だ。ひさしぶりー。もしかして皆いるかんじ?』
「そうですね。今回は皆いますよ」
『へー、楽しくなりそうだね』
「今回は俺一人が喋ることになるだろうがな」
今は時間があまりないから全員でワイワイやる暇はない。現状の把握が最優先だ。
『それで?ホウリ君が焦っているなんて珍しいね?何があったの?』
「簡潔に説明するぞ。俺は死んで親父にあってきた。そこで色々と聞いてきた」
『何を聞いたのかな?』
「お前が敵か味方か」
『……へえ?』
神が興味深そうな声を上げて、周りの連中が驚いた表情になる。
「どういうことじゃホウリ?」
「こいつを信用できるかをこの世界で調べるのは難しい。だから親父に頼ることにした」
『それで結果は?』
「とりあえず裏はない。信用できると判断した」
『良かったよ。君に協力して貰えなかったら困るからね』
「で、もう一つ聞いた事がある」
『なんだい?』
「この世界にお前以外の神がいるかどうか」
『……どういう事だい?』
神の奴からふざけた雰囲気が無くなり、真剣な雰囲気に変わる。
「今回の裁判で敵が何者かにそそのかされていたことが分かった。敵はそいつの事を神と呼んでいたらしい」
『それで結果は?』
「確かにいたそうだ。敵に接触しているのは、ほぼ間違いないだろう」
『ホウリ君が焦るのも分かるね。これは早急に手を打たないと』
俺たちの会話を他の4人はぽかんと口を開きながら聞いている。こいつらには悪いが今は黙っていてくれると助かる。
「俺が確認したいことは2つある。1つは俺が何をするべきなのか」
『正直な事を言うと、色々と情報を集めてほしいね。けど、あまり関わらないで欲しいかな』
「理由は?」
『情報があれば調査がしやすいんだけど、本当に神だった場合は君達が本当に危険な目に合う恐れがある。だから、情報を集める分には構わないんだけど無理はしないでね』
「犯人に心当たりは?」
『ない事もないけど、君に伝えると危険になるだけだからね』
「分かった。次に2つ目、神がこの世界を作った目的を教えてほしい」
『なんで?』
「相手の目的を把握するのに役立つからだ。目的が分かれば調査もし易い」
『そういうものかな?』
「いいから教えろ」
『まあいけど。私たちの目的は祈りの力だよ』
「祈りの力?」
『うん、人々が私に祈りを捧げることで私の力になる訳なんだよ』
だから神殿とかがある訳か。合点がいった。
「相手の目的も祈りの力か?」
『多分ね』
「だとしたら、今回の国家転覆は信仰の対象を他の神にすることか」
『敵がこの世界を諦めてくれたらいいんだけど、諦めてない場合はもっと強引な手を使ってくるかもしれないね。何かあったら私に連絡するんだよ?』
「分かってる」
そう言って俺は通信を切る。すると、黙っていた4人が急に喋り始めた。
「今のはどういう事じゃ?」
「もう全部終わったんですよね?」
「残念ながらまだ終わってない。裏にいるのが神の可能性が出てきた」
「どういう事だ?」
「いつもの神と今回の黒幕である神は別にいるって事だ」
「神様って何人もいるの?」
「いるぞ。いつもの神も何人かの神の補佐を受けている」
無数の世界の管理を1人の神でやるのは現実的じゃない。親父にも神は複数いると確認している。
「えっと、これからどうするんですか?」
「じたばたしても仕方ない。今は神に関する情報も集めつつ、色々と準備を進めていくことになる。お前らは別に気にすることじゃない」
「神とは強いのか?」
「強いとかいう次元じゃない。攻撃してダメージを与えるとか、逃げるとかそういう事はまず無理と思え」
「フランさんでも勝てないんですか?」
「お前は紙に書いたキャラクターに負けるのか?」
「そんな次元の話なんですか……」
「そうだ。だからこそ、関わらないという事に全力を尽くせ」
「そういう事なら仕方ないのう」
意外だ、フランだったら勝って見せるとか言うと思っていたが。
「みっちゃんの力をこの目で見ておるからのう。勝てるとは思わん」
「だったらいいんだ。皆も肝に銘じておいてくれ」
「はーい」
話が終わった後、部屋の中の空気が重くなる。まだ事件が終わってなかった事を聞いたんだから当たり前か。
俺は皆に向かって重い空気を払拭するように明るい声を出す。
「よし、じゃあ行くか」
「どこにだ?」
「決まってるだろ?せっかく勝利したんだ。今夜はパーっと行くぜ!」
「わーい!ノエル、ハンバーグ食べたい!」
「僕もお肉が食べたいです!」
「よし!わしも今日は限界まで食べるぞ!」
「私も今日は付き合うとしよう」
「そうと決まれば行くぞ!」
「「「「おー!」」」」
紙への通信をする方法は複数ある。その中で、最も簡単な方法は専用の魔方陣を使用しての通信である。しかし、消費するMPが多いので、魔方陣があったとしても使用できる者は少ない。なお、この世界で使える者はフランとノエルぐらいである。────Maoupediaより抜粋
☆ ☆ ☆ ☆
俺は白い部屋の中に立っていた。それ以外に言いようがない程に部屋の中には何もない。家具も無ければ出入りできるような扉もない。1時間もいたら精神が壊れるほどに何もない部屋。そんな部屋に俺はいた。
ここは死んだ者が一時的に待機する部屋。あくまで生き返る可能性がある者が来る部屋であり、完全に死んだ者はここに来る事はない。
ここにいるって事は俺は死んだのか。この部屋に来るのも久しぶりだな。
「さて、この部屋にいるって事は……」
「ようホウリ」
俺は声がする方へ視線を向ける。そこには無精ひげを生やした親父の姿があった。
親父は笑いながら口を開く。
「死んでしまうなんて情けないな?」
「うるせえ。一時的だ。この後ちゃんと生き返る」
「だろうな。この程度で終わるほど温い旅してないからな。狙いは俺だろ?」
「まあな。聞きたいことがある」
「うーん、どうしよっかなー」
俺の言葉に乗り気でない様子の親父。理由は分かっている。
「……俺が不甲斐ないからか?」
「そうだな。あの程度の敵の動向も把握出来ずにやられてるんじゃな。どうせまたすぐに死ぬだろ?」
「死んでも生き返る手はある。今も完全に死んでない」
「だが死ぬつもりは無かった。違うか?」
確かに親父とのコンタクトは別の形で行う予定だった。こうして親父とコンタクトを取るのも不測の事態が起こったついでだ。
フランがいるとはいえ、一度死ぬというのは甦れないリスクが付いてくる。それに、死んでいる間は裁判にも参加できない。裁判も終盤でラビに託しているとはいえ、確実に勝ちに行くならば最後まで俺自身が参加するべきだろう。
つまり、俺が死んでしまうのはリスク以外の何物でもない訳だ。
「確かに俺が取った選択はベストじゃなかった。だが、まだ不正解だと決まったわけじゃない」
「結果的に勝てばいいと教えたのは俺だし、その意見は間違ってない。ただお前が最適の行動が出来なかったから、俺が失望したってだけだ」
「……次は上手くやる。今は情報が欲しい」
親父が言ってる事は正しい。結果的に上手くいったからといって次も上手くいくとは限らない。だからこそ常に最善手を打ち続けなくてはならない。親父が失望するのも無理はないだろう。
だが、今は親父の力が必要だ。そんな事は後で反省する。
親父も俺の考えを察したのかそれ以上は何も言わなかった。
「次は上手くやれよ。情報の代価は2週間の旅だがいいか?」
「ああ」
「おーけい、これがお前の質問の答えだ」
親父が取り出した紙を受け取り目を通す。
なんで親父は質問してないのに俺が聞きたいことが分かるのか?理由は親父だから。異世界の事の出来事も把握しているんだから、俺の聞きたい事くらいなら分かるだろう。
「よし、大体わかった」
「これからどうするつもりだ?」
「まだ裁判が終わってなかったらそれに集中して、終わってたら後始末だな。また何かあったら力を貸してくれないか?」
「いいぜ。失望したとはいえ俺の息子だしな」
「別に親父に認められる為に生きている訳じゃねえよ」
「それでいい、ここにはあまり来るなよ?」
親父は手を振りながら部屋から立ち去る。
親父がいなくなった事によりここにも用が無くなった。俺も立ち去るとするか。
☆ ☆ ☆ ☆
目を覚まして最初に目に映ったのは天井だった。どうやら宿に寝かされているようだ。
「ホウリさん!?」
俺が目を覚ましたのを見て傍にいたロワが声を上げる。
「よう、今帰ったぜ」
「ホウリさーん!」
ロワが俺に抱き着いて泣き始める。俺はロワを引きはがして、ベッドから立ち上がる。
「上の階の部屋の1つを貸し切る。全員を上の階に呼んでくれ」
「え?どういうことですか?」
「神に話したい事が出来た」
「わ、分かりました」
驚きながらもロワは言われた通りに部屋から出ていく。さてと、俺も準備を進めるとするか。
☆ ☆ ☆ ☆
「これでよしと……」
あの野郎と通信できる魔方陣を部屋の床に書く。これで通信する準備は整った。後は全員が集まるだけだ。
魔方陣を書いて数分、扉が開いてスターダストの面々が入って来た。ノエルは俺を見るなり全力で向かってきた。
「ホウリお兄ちゃーん!!」
俺は抱き着いてくるノエルを優しく抱きしめ頭をなでる。
「ただいま」
「おかえりなさーい!」
ノエルを抱きしめながらミエルやフランの方へと視線を向ける。
「遅いぞ。わしらがどれだけ苦労したと思っておる」
「生き返って始めのセリフがそれかよ。少しくらいは心配しても良いんだぜ?」
「ノエルが治療した貴様が死ぬわけがないだろう。まあ、今回はおかえりなさいと言ってもいいがな」
「うむ、おつかれさまと労ってやってもよいのう」
「もう、お二人とも素直じゃないんですから」
全員が朗らかに話す様子を見て、裁判が既に終わったことを察する。ラビは上手くやってくれたみたいだな。
「して、目を覚まして早々にみっちゃんと通話するとは何があったんじゃ?」
「細かい事は後だ。今は何が起こったかを教えてくれ」
「わ、分かった」
戸惑いながらもフランが状況の説明を始める。
「───これがお主が寝ている間の出来事じゃ」
「ローブオが死んだか。少し手痛いかもな」
「すまぬ、わしが付いていながら……」
「ノエルもいたのに……」
「読み切れなかった俺の責任でもある。気にするな」
フランからの話を聞いて、嫌な予感が当たっていることを確信する。
「そろそろゴミと通信するか。フラン、準備はいいか?」
「勿論じゃ。早速始めるぞ」
フランが足を鳴らすと魔方陣が明るく輝き始める。そして、いつも通りコール音が鳴り始めてゴミ野郎が出た。
『やあ、まーちゃん。おひさー』
「よう、クズ。久しぶりだな」
『ホウリ君だ。ひさしぶりー。もしかして皆いるかんじ?』
「そうですね。今回は皆いますよ」
『へー、楽しくなりそうだね』
「今回は俺一人が喋ることになるだろうがな」
今は時間があまりないから全員でワイワイやる暇はない。現状の把握が最優先だ。
『それで?ホウリ君が焦っているなんて珍しいね?何があったの?』
「簡潔に説明するぞ。俺は死んで親父にあってきた。そこで色々と聞いてきた」
『何を聞いたのかな?』
「お前が敵か味方か」
『……へえ?』
神が興味深そうな声を上げて、周りの連中が驚いた表情になる。
「どういうことじゃホウリ?」
「こいつを信用できるかをこの世界で調べるのは難しい。だから親父に頼ることにした」
『それで結果は?』
「とりあえず裏はない。信用できると判断した」
『良かったよ。君に協力して貰えなかったら困るからね』
「で、もう一つ聞いた事がある」
『なんだい?』
「この世界にお前以外の神がいるかどうか」
『……どういう事だい?』
神の奴からふざけた雰囲気が無くなり、真剣な雰囲気に変わる。
「今回の裁判で敵が何者かにそそのかされていたことが分かった。敵はそいつの事を神と呼んでいたらしい」
『それで結果は?』
「確かにいたそうだ。敵に接触しているのは、ほぼ間違いないだろう」
『ホウリ君が焦るのも分かるね。これは早急に手を打たないと』
俺たちの会話を他の4人はぽかんと口を開きながら聞いている。こいつらには悪いが今は黙っていてくれると助かる。
「俺が確認したいことは2つある。1つは俺が何をするべきなのか」
『正直な事を言うと、色々と情報を集めてほしいね。けど、あまり関わらないで欲しいかな』
「理由は?」
『情報があれば調査がしやすいんだけど、本当に神だった場合は君達が本当に危険な目に合う恐れがある。だから、情報を集める分には構わないんだけど無理はしないでね』
「犯人に心当たりは?」
『ない事もないけど、君に伝えると危険になるだけだからね』
「分かった。次に2つ目、神がこの世界を作った目的を教えてほしい」
『なんで?』
「相手の目的を把握するのに役立つからだ。目的が分かれば調査もし易い」
『そういうものかな?』
「いいから教えろ」
『まあいけど。私たちの目的は祈りの力だよ』
「祈りの力?」
『うん、人々が私に祈りを捧げることで私の力になる訳なんだよ』
だから神殿とかがある訳か。合点がいった。
「相手の目的も祈りの力か?」
『多分ね』
「だとしたら、今回の国家転覆は信仰の対象を他の神にすることか」
『敵がこの世界を諦めてくれたらいいんだけど、諦めてない場合はもっと強引な手を使ってくるかもしれないね。何かあったら私に連絡するんだよ?』
「分かってる」
そう言って俺は通信を切る。すると、黙っていた4人が急に喋り始めた。
「今のはどういう事じゃ?」
「もう全部終わったんですよね?」
「残念ながらまだ終わってない。裏にいるのが神の可能性が出てきた」
「どういう事だ?」
「いつもの神と今回の黒幕である神は別にいるって事だ」
「神様って何人もいるの?」
「いるぞ。いつもの神も何人かの神の補佐を受けている」
無数の世界の管理を1人の神でやるのは現実的じゃない。親父にも神は複数いると確認している。
「えっと、これからどうするんですか?」
「じたばたしても仕方ない。今は神に関する情報も集めつつ、色々と準備を進めていくことになる。お前らは別に気にすることじゃない」
「神とは強いのか?」
「強いとかいう次元じゃない。攻撃してダメージを与えるとか、逃げるとかそういう事はまず無理と思え」
「フランさんでも勝てないんですか?」
「お前は紙に書いたキャラクターに負けるのか?」
「そんな次元の話なんですか……」
「そうだ。だからこそ、関わらないという事に全力を尽くせ」
「そういう事なら仕方ないのう」
意外だ、フランだったら勝って見せるとか言うと思っていたが。
「みっちゃんの力をこの目で見ておるからのう。勝てるとは思わん」
「だったらいいんだ。皆も肝に銘じておいてくれ」
「はーい」
話が終わった後、部屋の中の空気が重くなる。まだ事件が終わってなかった事を聞いたんだから当たり前か。
俺は皆に向かって重い空気を払拭するように明るい声を出す。
「よし、じゃあ行くか」
「どこにだ?」
「決まってるだろ?せっかく勝利したんだ。今夜はパーっと行くぜ!」
「わーい!ノエル、ハンバーグ食べたい!」
「僕もお肉が食べたいです!」
「よし!わしも今日は限界まで食べるぞ!」
「私も今日は付き合うとしよう」
「そうと決まれば行くぞ!」
「「「「おー!」」」」
0
あなたにおすすめの小説
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~
めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。
しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。
そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。
その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。
(スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)
社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。
本条蒼依
ファンタジー
山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、
残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして
遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。
そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を
拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、
町から逃げ出すところから始まる。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
不死身のボッカ
暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。
小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。
逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。
割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。
※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。
※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。
※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。
※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる