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第二百二十八話 全弾命中…!「覚悟」してもらうぜ!
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とある朝、僕は遠出の準備をしていた。僕のトリシューラが残り1本しかなくなったから調達しに行くためだ。
前まではトリシューラなんてもったいなくて使えなかったけど、今は少ないと不安になる。
「贅沢なのかな?」
けど、僕はトリシューラが無いと他の人よりも攻撃力が足りない。どうにかして補充したいとホウリさんに相談したところ、既に調達する手はずを整えていると言われた。相変わらず準備が良い。
「こんなところかな?」
トリシューラの調達は他の領地で行うから、遠出をする準備をしている。短期間でこんなにも多くの遠出をするとは思わなかった。
矢や携帯食料、その他の雑貨などを揃え、最後にいつも使っている弓を確認する。
「この弓も年期が入って来たな~」
数年間、毎日使っていたからボロボロだ。すぐに壊れる事は無いとは思うけど、そろそろ買い換えたいなぁ。
「これで良し」
準備を終えて1回のリビングまで降りる。すると、ホウリさんとノエルちゃんが仲良くお話をしていた。
「じゃあ、今からトリシューラの為に他の領地に行くんだ」
「そうだ」
「いいなー」
「ホウリさん、準備出来ました」
僕が声を掛けると、ホウリさんが僕に気付いた。
「じゃあ行くか」
「そうですね」
「ねぇねぇ、ノエルも行きたい」
僕とホウリさんが出発しようとした時、ノエルちゃんが袖を引っ張ってきた。
「うーん、流石に準備も無しに遠出するのは無理じゃ───」
「良いぞ」
「やったー!」
「荷物は俺がまとめておいたぞ」
「ありがとー」
「流石に用意が良すぎませんか!?」
ホウリさんは僕の叫びを気にせずにノエルちゃんに荷物を渡す。
「ノエルも誘うつもりだしな。本人から言い出された訳だが」
「でも、ノエルちゃんは学校がありますよね?大丈夫なんですか?」
僕は遠征後の長期休暇だから問題ないけど、ノエルちゃんは普通に学校の筈だ。無断で休むのは不味いだろう。
「学校からの許可は取ってある。それに遠出中は俺が勉強を教えれば問題ない」
「根回しが早すぎますね」
ホウリさんなら僕が思いつくことくらいは想定しているか。言うだけ無駄だろう。
「まあ、ノエルちゃんがいるのは心強いし良いか」
「そう言う事だ。ノエル、準備はいいか?」
「おっけー」
「じゃあ今度こそ出発だな」
「しゅっぱーつ」
こうして僕たちは3人で遠出することになった。
☆ ☆ ☆ ☆
西門から王都を出る。空は澄み渡っており、気持ちいい風が吹いている。遠出をするには絶好の天気だ。
「歩いていくの?」
「流石に歩きだと時間がかかるからな。こいつを使う」
そう言ってホウリさんは3つの大きな機械を取り出す。
「これは?」
「バギーバイクだ。ミエルと遠出した時もこいつを使った」
「ミエルお姉ちゃんが話してたっけ。これがバギーバイクなんだ」
ノエルちゃんが興味深々にバギーバイクに触れる。よく見ると1つだけ一回り小さいバギーバイクがある。これがノエルちゃんのバギーバイクかな?
「ミエルさんが楽しかったって言ってましたっけ。まさか僕も乗れるとは思いませんでしたよ」
「ワクワクしてるか?」
「分かります?」
馬よりも早い機械で走れるなんてワクワクするしかない!早く乗ってみたい!
「乗っていいですか?」
「乗るだけなら良いぞ。走るのは説明を聞いてからな」
「やったー!」
バギーバイクに乗ってホウリさんからの説明を聞く。
「……説明は以上だ」
「完全に理解しました」
「そういう言葉は逆に不安になるな」
ノエルが居ればなんとかなるか、そう呟いてホウリさんはバギーバイクに跨る。
「じゃあいくぞー」
ホウリさんのやる気が0な掛け声で僕たちは発進する。聞いているこっちの力も抜けそうだ、
「緩いですね~?」
「こんなの気張るものでもないだろ。しばらくは街道を進むだけで事故が起こることも無いだろうしな」
「そんな物ですか」
確かに目的地まではかなりの距離があるし、最初から気を張ってては疲れてしまう。だったら、最初くらいはこのくらい緩い感じでいいのかもしれない。
「それにしても、このバギーバイクって良いですね。馬みたいに難しくないですが、馬よりも早いですよ」
バギーバイクは独特の機械音を上げながら、かなりの速さで街道を走る。自分が風になったような錯覚さえ起こしてしまう。
これは一度乗ったら癖になりそうだ。
「だろ?この世界に5台しかない特注品だ。壊すなよ?」
「善処します」
「でもさ、このくらいのスピードだったら魔装で走った方が早いよね?」
器用にホウリさんと並走しながら、ノエルちゃんが呟く。生身で走った方が早いのはノエルちゃんとフランさんくらいだと思う。
「魔装だと連続使用時間が限られるだろ?こいつなら魔装よりは長く持つから、結果的に早く目的地に着く」
「そういえば、今はどのくらいの時間、魔装が使えるの?」
「連続使用だと30分くらいかな。それ以上は休憩しないと無理かな」
30分間はバギーバイクよりも早く走れるんだ。そりゃ物足りなくなるはずだ。
「行く行くは1日中魔装できるようになって貰うからな」
「はーい」
「ノエルちゃんも大変だね」
「ロワも俺のワイヤー装置が使える位はMPのコントロールが出来るようになって貰うからな?ノエルよりも大変だって自覚持てよ?」
「そうでしたね……」
ホウリさんから課せられていた課題はMPのコントロール。狙った量のMPを寸分たがわず込められるようにならないといけない。
ホウリさんのワイヤー装置はコップの水を1滴の違いも無く注ぐくらい難しい。正直、毎日やってるけど出来る気がしない。
「出来なかったは通らないからな?絶対に出来るようになれ。詰まったら俺に相談しろ」
「はーい……」
この遠出中も練習しなくっちゃ。
「そういえばさ、今は何処に向かってるの?」
「今はハイファイに向かっている」
「ハイファイって発明とかが凄いんだっけ?」
「良く知ってるね?」
ハイファイという領地は別名『技術の地』と呼ばれている。鉱石も無ければ水産資源も取れない、特別な魔物が現れる訳でもない。そんな地だけど、技術だけは他の領地よりもずば抜けている。
細かい細工や、素材どうしの掛け合わせとか、何かを作り出すことに特化している訳だ。
トリシューラはブルーライトクリスタルの内部に特殊な模様を刻んで作る。ブルーライトクリスタルはかなり脆いし、MPを少しでも吸収すると使い物にならなくなってしまう。特殊な方法で加工しないといけないから、かなりの技術が要求される。
「そんな訳で、トリシューラはハイファイで加工されるって訳だ」
「でもさ、わざわざ直接行かなくても、王都に取り寄せたり出来ないの?」
「出来なくはないが、かなり時間がかかる。トリシューラはロワの主力だから本数は早めに揃えておきたい」
「だから直接買いにいくって訳さ」
それ以外の理由もあるけど、話すほどの事でもないか。ホウリさんにはバレてそうだけど。
そんな話をしていると、街道を曲がった向こうに何かの影が見えた。あれは、ゴブリン?
「ホウリさん、500m先にゴブリンがいます。止まりますか?」
「そのまま走って大丈夫だ。ノエル、近づいたら拳銃で狙え」
「はーい」
ノエルちゃんはハンドルを片手だけ離して拳銃を抜く。そして、ゴブリンに狙いをつけると引き金を引いた。
乾いた発砲音の後、ゴブリンの頭から鮮血が噴き出した。
ホウリさんは光の粒になっていくゴブリンに、ワイヤーを発射してドロップ品を回収する。
「ナイスショットだノエル。ゴブリン程度なら問題ないな」
「僕は両手が使えないといけませんからね」
「ノエルは片手さえ使えれば大丈夫だもんね。こういう時は任せてよ」
「ノエルちゃんがいて良かったよ」
ノエルちゃんが得意げに胸を張る。
「ふっふっふ、でしょ?」
「はいはい。あまり調子にのるなよ。お前らは調子に乗って痛い目に合いやすいんだからな?」
「はーい」
「あれ?僕にも飛び火しました?」
「特にロワだな」
「飛び火どころか、狙い撃ちにされましたけど!?」
ノエルちゃんに注意していた筈なんだけどな?手品師なみのすり替え速度だ。
「あ、あそこ!」
納得いかずに非難しようと思っていると、ノエルちゃんが何かを見つけたのか空を指さした。
指さされた先にはハーピィがこちらを狙って飛んでいた。
「ノエル、あれは狙えるか?」
「遠すぎて無理かな」
見た感じ、ハーピィまでの距離は約100m。止まってても拳銃で当てるのは無理じゃないかな?
「じゃあこれ使え」
そう思っていると、ホウリさんがノエルちゃんに拳銃を投げ渡した。
咄嗟の投げ渡しにも関わらずノエルちゃんは普通にキャッチする。
「なにこれ?いつもよりもバレルが長いね?」
「狙撃用の試作拳銃だ。3発撃ったら使えなくなるが、お試しには丁度いいだろ?」
「どのくらい届くの?」
「500mくらいだな」
「ハーピィまでは楽勝で届きますね」
でも、始めて使う拳銃で3発だけで当てられるのかな?
「外したら止まってロワに打ち抜いてもらう。だから気軽に撃て。あ、威力が高いから魔装して撃てよ?」
「はーい」
ノエルちゃんが魔装を使い、狙撃用の拳銃でハーピィを狙う。
ハーピィは四方八方に飛んでいるから狙いにくそうだ。大丈夫かな?
ノエルちゃんが引き金を引き、乾いた発砲音が響く。ハーピィは……健在だ。
「あー、はずしたー」
「あと2発あるよ。ファイト」
「むう、頑張る」
再び拳銃を構えて引き金を引く。けど、やっぱりハーピィには当たらない。
「ムッキー!なんで当たらないのー!」
「ムッキーって言う人、初めて見たよ」
「あと1発だ。当てられるかな?」
「絶対に当てる!」
ノエルちゃんはそう宣言して鼻息荒くハーピィを狙う。
「いっくよー!」
そう言って最後の引き金を引く。ハーピィは……
「元気みたいだね」
「あーあ。外しちゃった」
ノエルちゃんは落ち込んでホウリさんに拳銃を投げ返す。
「まだ長距離の狙撃は無理だったか」
「この前は弓で1㎞先を狙撃出来たらいけると思ったんだけどなー」
「あはは、後は僕に任せてよ」
僕はバギーバイクを止めて弓で狙撃する。矢はハーピィの進む先に飛んでいき、ハーピィの腹に命中した。
「終わりました」
「流石だな」
落下したハーピィからアイテムを回収して、僕らは再び出発する。
こんな感じで僕らはハイファイまでの道を突き進むのだった。
前まではトリシューラなんてもったいなくて使えなかったけど、今は少ないと不安になる。
「贅沢なのかな?」
けど、僕はトリシューラが無いと他の人よりも攻撃力が足りない。どうにかして補充したいとホウリさんに相談したところ、既に調達する手はずを整えていると言われた。相変わらず準備が良い。
「こんなところかな?」
トリシューラの調達は他の領地で行うから、遠出をする準備をしている。短期間でこんなにも多くの遠出をするとは思わなかった。
矢や携帯食料、その他の雑貨などを揃え、最後にいつも使っている弓を確認する。
「この弓も年期が入って来たな~」
数年間、毎日使っていたからボロボロだ。すぐに壊れる事は無いとは思うけど、そろそろ買い換えたいなぁ。
「これで良し」
準備を終えて1回のリビングまで降りる。すると、ホウリさんとノエルちゃんが仲良くお話をしていた。
「じゃあ、今からトリシューラの為に他の領地に行くんだ」
「そうだ」
「いいなー」
「ホウリさん、準備出来ました」
僕が声を掛けると、ホウリさんが僕に気付いた。
「じゃあ行くか」
「そうですね」
「ねぇねぇ、ノエルも行きたい」
僕とホウリさんが出発しようとした時、ノエルちゃんが袖を引っ張ってきた。
「うーん、流石に準備も無しに遠出するのは無理じゃ───」
「良いぞ」
「やったー!」
「荷物は俺がまとめておいたぞ」
「ありがとー」
「流石に用意が良すぎませんか!?」
ホウリさんは僕の叫びを気にせずにノエルちゃんに荷物を渡す。
「ノエルも誘うつもりだしな。本人から言い出された訳だが」
「でも、ノエルちゃんは学校がありますよね?大丈夫なんですか?」
僕は遠征後の長期休暇だから問題ないけど、ノエルちゃんは普通に学校の筈だ。無断で休むのは不味いだろう。
「学校からの許可は取ってある。それに遠出中は俺が勉強を教えれば問題ない」
「根回しが早すぎますね」
ホウリさんなら僕が思いつくことくらいは想定しているか。言うだけ無駄だろう。
「まあ、ノエルちゃんがいるのは心強いし良いか」
「そう言う事だ。ノエル、準備はいいか?」
「おっけー」
「じゃあ今度こそ出発だな」
「しゅっぱーつ」
こうして僕たちは3人で遠出することになった。
☆ ☆ ☆ ☆
西門から王都を出る。空は澄み渡っており、気持ちいい風が吹いている。遠出をするには絶好の天気だ。
「歩いていくの?」
「流石に歩きだと時間がかかるからな。こいつを使う」
そう言ってホウリさんは3つの大きな機械を取り出す。
「これは?」
「バギーバイクだ。ミエルと遠出した時もこいつを使った」
「ミエルお姉ちゃんが話してたっけ。これがバギーバイクなんだ」
ノエルちゃんが興味深々にバギーバイクに触れる。よく見ると1つだけ一回り小さいバギーバイクがある。これがノエルちゃんのバギーバイクかな?
「ミエルさんが楽しかったって言ってましたっけ。まさか僕も乗れるとは思いませんでしたよ」
「ワクワクしてるか?」
「分かります?」
馬よりも早い機械で走れるなんてワクワクするしかない!早く乗ってみたい!
「乗っていいですか?」
「乗るだけなら良いぞ。走るのは説明を聞いてからな」
「やったー!」
バギーバイクに乗ってホウリさんからの説明を聞く。
「……説明は以上だ」
「完全に理解しました」
「そういう言葉は逆に不安になるな」
ノエルが居ればなんとかなるか、そう呟いてホウリさんはバギーバイクに跨る。
「じゃあいくぞー」
ホウリさんのやる気が0な掛け声で僕たちは発進する。聞いているこっちの力も抜けそうだ、
「緩いですね~?」
「こんなの気張るものでもないだろ。しばらくは街道を進むだけで事故が起こることも無いだろうしな」
「そんな物ですか」
確かに目的地まではかなりの距離があるし、最初から気を張ってては疲れてしまう。だったら、最初くらいはこのくらい緩い感じでいいのかもしれない。
「それにしても、このバギーバイクって良いですね。馬みたいに難しくないですが、馬よりも早いですよ」
バギーバイクは独特の機械音を上げながら、かなりの速さで街道を走る。自分が風になったような錯覚さえ起こしてしまう。
これは一度乗ったら癖になりそうだ。
「だろ?この世界に5台しかない特注品だ。壊すなよ?」
「善処します」
「でもさ、このくらいのスピードだったら魔装で走った方が早いよね?」
器用にホウリさんと並走しながら、ノエルちゃんが呟く。生身で走った方が早いのはノエルちゃんとフランさんくらいだと思う。
「魔装だと連続使用時間が限られるだろ?こいつなら魔装よりは長く持つから、結果的に早く目的地に着く」
「そういえば、今はどのくらいの時間、魔装が使えるの?」
「連続使用だと30分くらいかな。それ以上は休憩しないと無理かな」
30分間はバギーバイクよりも早く走れるんだ。そりゃ物足りなくなるはずだ。
「行く行くは1日中魔装できるようになって貰うからな」
「はーい」
「ノエルちゃんも大変だね」
「ロワも俺のワイヤー装置が使える位はMPのコントロールが出来るようになって貰うからな?ノエルよりも大変だって自覚持てよ?」
「そうでしたね……」
ホウリさんから課せられていた課題はMPのコントロール。狙った量のMPを寸分たがわず込められるようにならないといけない。
ホウリさんのワイヤー装置はコップの水を1滴の違いも無く注ぐくらい難しい。正直、毎日やってるけど出来る気がしない。
「出来なかったは通らないからな?絶対に出来るようになれ。詰まったら俺に相談しろ」
「はーい……」
この遠出中も練習しなくっちゃ。
「そういえばさ、今は何処に向かってるの?」
「今はハイファイに向かっている」
「ハイファイって発明とかが凄いんだっけ?」
「良く知ってるね?」
ハイファイという領地は別名『技術の地』と呼ばれている。鉱石も無ければ水産資源も取れない、特別な魔物が現れる訳でもない。そんな地だけど、技術だけは他の領地よりもずば抜けている。
細かい細工や、素材どうしの掛け合わせとか、何かを作り出すことに特化している訳だ。
トリシューラはブルーライトクリスタルの内部に特殊な模様を刻んで作る。ブルーライトクリスタルはかなり脆いし、MPを少しでも吸収すると使い物にならなくなってしまう。特殊な方法で加工しないといけないから、かなりの技術が要求される。
「そんな訳で、トリシューラはハイファイで加工されるって訳だ」
「でもさ、わざわざ直接行かなくても、王都に取り寄せたり出来ないの?」
「出来なくはないが、かなり時間がかかる。トリシューラはロワの主力だから本数は早めに揃えておきたい」
「だから直接買いにいくって訳さ」
それ以外の理由もあるけど、話すほどの事でもないか。ホウリさんにはバレてそうだけど。
そんな話をしていると、街道を曲がった向こうに何かの影が見えた。あれは、ゴブリン?
「ホウリさん、500m先にゴブリンがいます。止まりますか?」
「そのまま走って大丈夫だ。ノエル、近づいたら拳銃で狙え」
「はーい」
ノエルちゃんはハンドルを片手だけ離して拳銃を抜く。そして、ゴブリンに狙いをつけると引き金を引いた。
乾いた発砲音の後、ゴブリンの頭から鮮血が噴き出した。
ホウリさんは光の粒になっていくゴブリンに、ワイヤーを発射してドロップ品を回収する。
「ナイスショットだノエル。ゴブリン程度なら問題ないな」
「僕は両手が使えないといけませんからね」
「ノエルは片手さえ使えれば大丈夫だもんね。こういう時は任せてよ」
「ノエルちゃんがいて良かったよ」
ノエルちゃんが得意げに胸を張る。
「ふっふっふ、でしょ?」
「はいはい。あまり調子にのるなよ。お前らは調子に乗って痛い目に合いやすいんだからな?」
「はーい」
「あれ?僕にも飛び火しました?」
「特にロワだな」
「飛び火どころか、狙い撃ちにされましたけど!?」
ノエルちゃんに注意していた筈なんだけどな?手品師なみのすり替え速度だ。
「あ、あそこ!」
納得いかずに非難しようと思っていると、ノエルちゃんが何かを見つけたのか空を指さした。
指さされた先にはハーピィがこちらを狙って飛んでいた。
「ノエル、あれは狙えるか?」
「遠すぎて無理かな」
見た感じ、ハーピィまでの距離は約100m。止まってても拳銃で当てるのは無理じゃないかな?
「じゃあこれ使え」
そう思っていると、ホウリさんがノエルちゃんに拳銃を投げ渡した。
咄嗟の投げ渡しにも関わらずノエルちゃんは普通にキャッチする。
「なにこれ?いつもよりもバレルが長いね?」
「狙撃用の試作拳銃だ。3発撃ったら使えなくなるが、お試しには丁度いいだろ?」
「どのくらい届くの?」
「500mくらいだな」
「ハーピィまでは楽勝で届きますね」
でも、始めて使う拳銃で3発だけで当てられるのかな?
「外したら止まってロワに打ち抜いてもらう。だから気軽に撃て。あ、威力が高いから魔装して撃てよ?」
「はーい」
ノエルちゃんが魔装を使い、狙撃用の拳銃でハーピィを狙う。
ハーピィは四方八方に飛んでいるから狙いにくそうだ。大丈夫かな?
ノエルちゃんが引き金を引き、乾いた発砲音が響く。ハーピィは……健在だ。
「あー、はずしたー」
「あと2発あるよ。ファイト」
「むう、頑張る」
再び拳銃を構えて引き金を引く。けど、やっぱりハーピィには当たらない。
「ムッキー!なんで当たらないのー!」
「ムッキーって言う人、初めて見たよ」
「あと1発だ。当てられるかな?」
「絶対に当てる!」
ノエルちゃんはそう宣言して鼻息荒くハーピィを狙う。
「いっくよー!」
そう言って最後の引き金を引く。ハーピィは……
「元気みたいだね」
「あーあ。外しちゃった」
ノエルちゃんは落ち込んでホウリさんに拳銃を投げ返す。
「まだ長距離の狙撃は無理だったか」
「この前は弓で1㎞先を狙撃出来たらいけると思ったんだけどなー」
「あはは、後は僕に任せてよ」
僕はバギーバイクを止めて弓で狙撃する。矢はハーピィの進む先に飛んでいき、ハーピィの腹に命中した。
「終わりました」
「流石だな」
落下したハーピィからアイテムを回収して、僕らは再び出発する。
こんな感じで僕らはハイファイまでの道を突き進むのだった。
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