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第三百五十一話 やっぱすげぇよミカは
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「五龍断」
そう呟くとロットは目を開けた。その目は黄金に輝いていたのだった。
「その目は神級スキルの真の力を得た証ですね。あなたが真の力に目覚めたという情報は無かった筈です」
「……王都の影から情報には無かっただろうな」
「やはりバレていましたか」
ロットの言葉を聞いても美香は顔色を変えない。影からの連絡が途絶えたことにより、捕まっていたと察していたのだろう。
「……俺の力は王都の外で手に入れたものだ。お前らが知らないのも当然だ」
「成程、つまり付け焼刃の力ですね。そんな力で私に勝てるのでしょうか?」
「……やってみれば分かるだろう」
ロットが斧を持つ手に力を込めると、斧の刃が青色の光る。
「……いくぞ!」
ロットが美香に向かって駆け出す。美香は後ろに跳んで斧を躱そうとするが、目測を見誤り頬に斧が掠った。
「威力も速度も先ほどと変わりませんね?見掛け倒しですか?」
美香の言葉に対して、ロットは何も答えない。そして、大斧の柄を短く持つと、返す刃で美香に切りかかった。
「……速断!」
美香はさっきよりも遠くに飛ぼうと足に力を込める。しかし、
「……え?」
美香は足が重くなったように感じ、さっきの半分も跳ぶことができなかった。
「……初めて表情が変わったな?」
驚いている美香の左腕にロットの斧がクリティカルヒットする。
「ぐはっ!?」
大斧を受けた美香は吹き飛んで気に叩きつけられる。
美香は苦し気な表情を浮かべながら立ち上がる。
「な、何が起こったんですか!?」
「……さっきの礼に教えよう。俺の力は斧に複数の能力を付与できる。青のが当たった奴の敏捷性を下げる効果を付与している」
「だから急に足が動かなくなった訳ですね」
そんな話をしながら、美香の傷口が徐々に治っていく。
「ですが、攻撃を当てても私は自動治癒能力がありますよ。あなたの不利には変わりありません」
「……速度を下げるだけだと思ったか?」
ロットが大斧を横に構える。すると、大斧が赤く光ってきた。
「……見断」
「くっ……」
ロットの攻撃を食らうと更にステータスにデバフが入るかもしれない。そう思った美香は何とか回避しようと下がろうとするが、速度が下がっており回避しきれそうにない。
(貰った!)
ロットが渾身の力で大斧を叩き込む。手ごたえを感じたロットは、大斧を振りかぶって追撃を試みる。
「……見断は一時的に視界を制限する。これでお前は目が見えない筈だ」
視界を奪った隙にロットは畳みかけようと、大斧を再び叩きつける。しかし、
「……な!?」
見えない筈の美香は大斧を左手で受け止めた。
「……なぜだ?見えていない筈だぞ?」
「ちゃんと見えていますよ」
「……くっ!」
受け止められた大斧を無理矢理アイテムボックスに仕舞う。
「おっと、そんな回避方法があったんですか」
「……どういうことだ」
再び大斧を取り出して構える。美香は眼鏡を直しながら口を開いた。
「あなたのデバフはダメージを受けた時に発生すると考えました。だから、敏捷性にあてていたバフを防御力に回しました。つまり、あなたの攻撃を防ぎきればその能力も無駄です」
「……ダメージを通せば良いんだな?」
ロットが大斧を肩に担いで美香に睨みつける。
「……龍断!」
大斧に光が集中していき、離れていても凄まじいエネルギーを感じる。だが、美香は表情を変えずにぎこちなくファイティングポーズを取る。
高密度のエネルギーが刃となり、美香に迫ってくる。美香は拳を固めて大斧を迎え撃つ。
ロットの大斧と美香の拳が衝突し、衝撃で周りの木々が吹き飛ばんばかりに揺れる。
ロットと美香は衝撃で後方に吹き飛び、地面に倒れる。ロットは地面に倒れる瞬間に受け身を取って、直ぐに立ち上がる。
「なるほど、その技なら私にダメージを与えることは可能ですね」
左腕から血を流しながら美香が立ち上がる。だが、その傷もすぐに塞がりダメージは残らなかった。
「ですが、龍断ではデバフを与えられないようですね」
美香の変わらない様子をみて、ロットは奥歯を噛みしめる。
「……龍断ではデバフを与えられないのか?」
「その様子だと知らなかったようですね?」
あと少しだけスキルの検証ができていれば、そう歯嚙みするロット。だが、これで美香への攻撃する手段が消えてしまった。
「そろそろ諦めてはいかがですか?降参するのであれば命までは取りませんよ?」
「……ここで俺が諦めては、妹やオダリムの皆の命が危ない。死んでも降参はできない」
「私達は抵抗しない者に危害は加えませんよ」
「……俺達は抵抗しないで街を明け渡すことはしない」
「ですよね。言ってみただけです」
ロットは大斧を構えるのを見て、美香がため息を吐く。
「ですが、あなたには私を倒すことができません。その神級スキルの真の力も長くは持たないでしょう。勝ち目はありませんよ」
美香の言葉をロットは黙って見ている。
美香の様子を見るに、命を取らないというのは本当だろう。それどころか街を襲いたくないという意思すらも感じる。
ロットにはどうにもオダリムを襲撃している人物とは結び付かなかった。
「……今考えることではないな」
ロットが大きく呼吸をする。ここで勝たないとオダリムのみならず、人国も危ない。ここで勝つしかない。
「……ならこの手だな」
ロットは目に写る金色の輝きを増していく。
「……防断」
大斧の刃が緑色に輝く。
(防断は長時間使えないし、体への負担も大きい。すぐに決める!)
ロットが今まで以上の速さで美香に接近する。
「……はぁ!」
ロットは振り上げた大斧を美香に振り下ろす。美香は余裕そうに両手を広げる。正面から受け止めて、ロットに諦めて貰おうという魂胆なんだろう。
大斧は美香にクリーンヒットしたが、弾き飛ばされた───
「うぐっ!?」
ということも無く、肩を切り裂いた。
「な、なんで……」
自身の肩を見て美香は目を見開く。
「……防断は相手の防御力を大幅に下げる攻撃だ」
「そ、そんなのがあったのですか……。ですが、防御力が下がっても私には超回復が───」
「……回断」
振り下ろした大斧の刃の光が赤に変わる。
それを見た美香は直感的に恐怖を覚える。この攻撃が当たったら終わる。そう思った瞬間、刃が美香に向かって迫ってくる。
「……はああああああ!」
「くっ!」
美香が刃から逃れようと身を反らそうとする。だが、敏捷性が下がった美香は完全に躱しきることが出来ずに鼻先が大斧の刃が掠る。
「うう……体から力が抜けていく……」
大斧を受けた美香は目を見開いて膝を付く。
「……回断は回復機能を断つ能力だ」
「ま、まさか!?」
「……ああ」
ロットは大斧を地面に落とし拳を握る。
「……これでお前にダメージが通るわけだ」
ロットはいつものように強い意志を感じる瞳で美香に迫る。その額には大粒の汗が滲んでいた。
ロットは防断と回断で体力を大きく消耗していた。今のロットを立てているのは気力だけだった。
その気力を持ってロットは拳を振り上げる。
「……これで終わりだ!」
ロットの拳が美香のお腹に命中する。美香は声を上げることも無く、意識を失ったのだった。
「……なんとかなったな」
意識を失った美香をロットは肩に担ぐ。
「……フランとの集合場所はどこだったかな」
疲労で倒れそうな顔を引きずって、ロットは森の中へと歩き出す。
こうして、オダリムを巡る戦いの1つは決着を迎えたのだった。
そう呟くとロットは目を開けた。その目は黄金に輝いていたのだった。
「その目は神級スキルの真の力を得た証ですね。あなたが真の力に目覚めたという情報は無かった筈です」
「……王都の影から情報には無かっただろうな」
「やはりバレていましたか」
ロットの言葉を聞いても美香は顔色を変えない。影からの連絡が途絶えたことにより、捕まっていたと察していたのだろう。
「……俺の力は王都の外で手に入れたものだ。お前らが知らないのも当然だ」
「成程、つまり付け焼刃の力ですね。そんな力で私に勝てるのでしょうか?」
「……やってみれば分かるだろう」
ロットが斧を持つ手に力を込めると、斧の刃が青色の光る。
「……いくぞ!」
ロットが美香に向かって駆け出す。美香は後ろに跳んで斧を躱そうとするが、目測を見誤り頬に斧が掠った。
「威力も速度も先ほどと変わりませんね?見掛け倒しですか?」
美香の言葉に対して、ロットは何も答えない。そして、大斧の柄を短く持つと、返す刃で美香に切りかかった。
「……速断!」
美香はさっきよりも遠くに飛ぼうと足に力を込める。しかし、
「……え?」
美香は足が重くなったように感じ、さっきの半分も跳ぶことができなかった。
「……初めて表情が変わったな?」
驚いている美香の左腕にロットの斧がクリティカルヒットする。
「ぐはっ!?」
大斧を受けた美香は吹き飛んで気に叩きつけられる。
美香は苦し気な表情を浮かべながら立ち上がる。
「な、何が起こったんですか!?」
「……さっきの礼に教えよう。俺の力は斧に複数の能力を付与できる。青のが当たった奴の敏捷性を下げる効果を付与している」
「だから急に足が動かなくなった訳ですね」
そんな話をしながら、美香の傷口が徐々に治っていく。
「ですが、攻撃を当てても私は自動治癒能力がありますよ。あなたの不利には変わりありません」
「……速度を下げるだけだと思ったか?」
ロットが大斧を横に構える。すると、大斧が赤く光ってきた。
「……見断」
「くっ……」
ロットの攻撃を食らうと更にステータスにデバフが入るかもしれない。そう思った美香は何とか回避しようと下がろうとするが、速度が下がっており回避しきれそうにない。
(貰った!)
ロットが渾身の力で大斧を叩き込む。手ごたえを感じたロットは、大斧を振りかぶって追撃を試みる。
「……見断は一時的に視界を制限する。これでお前は目が見えない筈だ」
視界を奪った隙にロットは畳みかけようと、大斧を再び叩きつける。しかし、
「……な!?」
見えない筈の美香は大斧を左手で受け止めた。
「……なぜだ?見えていない筈だぞ?」
「ちゃんと見えていますよ」
「……くっ!」
受け止められた大斧を無理矢理アイテムボックスに仕舞う。
「おっと、そんな回避方法があったんですか」
「……どういうことだ」
再び大斧を取り出して構える。美香は眼鏡を直しながら口を開いた。
「あなたのデバフはダメージを受けた時に発生すると考えました。だから、敏捷性にあてていたバフを防御力に回しました。つまり、あなたの攻撃を防ぎきればその能力も無駄です」
「……ダメージを通せば良いんだな?」
ロットが大斧を肩に担いで美香に睨みつける。
「……龍断!」
大斧に光が集中していき、離れていても凄まじいエネルギーを感じる。だが、美香は表情を変えずにぎこちなくファイティングポーズを取る。
高密度のエネルギーが刃となり、美香に迫ってくる。美香は拳を固めて大斧を迎え撃つ。
ロットの大斧と美香の拳が衝突し、衝撃で周りの木々が吹き飛ばんばかりに揺れる。
ロットと美香は衝撃で後方に吹き飛び、地面に倒れる。ロットは地面に倒れる瞬間に受け身を取って、直ぐに立ち上がる。
「なるほど、その技なら私にダメージを与えることは可能ですね」
左腕から血を流しながら美香が立ち上がる。だが、その傷もすぐに塞がりダメージは残らなかった。
「ですが、龍断ではデバフを与えられないようですね」
美香の変わらない様子をみて、ロットは奥歯を噛みしめる。
「……龍断ではデバフを与えられないのか?」
「その様子だと知らなかったようですね?」
あと少しだけスキルの検証ができていれば、そう歯嚙みするロット。だが、これで美香への攻撃する手段が消えてしまった。
「そろそろ諦めてはいかがですか?降参するのであれば命までは取りませんよ?」
「……ここで俺が諦めては、妹やオダリムの皆の命が危ない。死んでも降参はできない」
「私達は抵抗しない者に危害は加えませんよ」
「……俺達は抵抗しないで街を明け渡すことはしない」
「ですよね。言ってみただけです」
ロットは大斧を構えるのを見て、美香がため息を吐く。
「ですが、あなたには私を倒すことができません。その神級スキルの真の力も長くは持たないでしょう。勝ち目はありませんよ」
美香の言葉をロットは黙って見ている。
美香の様子を見るに、命を取らないというのは本当だろう。それどころか街を襲いたくないという意思すらも感じる。
ロットにはどうにもオダリムを襲撃している人物とは結び付かなかった。
「……今考えることではないな」
ロットが大きく呼吸をする。ここで勝たないとオダリムのみならず、人国も危ない。ここで勝つしかない。
「……ならこの手だな」
ロットは目に写る金色の輝きを増していく。
「……防断」
大斧の刃が緑色に輝く。
(防断は長時間使えないし、体への負担も大きい。すぐに決める!)
ロットが今まで以上の速さで美香に接近する。
「……はぁ!」
ロットは振り上げた大斧を美香に振り下ろす。美香は余裕そうに両手を広げる。正面から受け止めて、ロットに諦めて貰おうという魂胆なんだろう。
大斧は美香にクリーンヒットしたが、弾き飛ばされた───
「うぐっ!?」
ということも無く、肩を切り裂いた。
「な、なんで……」
自身の肩を見て美香は目を見開く。
「……防断は相手の防御力を大幅に下げる攻撃だ」
「そ、そんなのがあったのですか……。ですが、防御力が下がっても私には超回復が───」
「……回断」
振り下ろした大斧の刃の光が赤に変わる。
それを見た美香は直感的に恐怖を覚える。この攻撃が当たったら終わる。そう思った瞬間、刃が美香に向かって迫ってくる。
「……はああああああ!」
「くっ!」
美香が刃から逃れようと身を反らそうとする。だが、敏捷性が下がった美香は完全に躱しきることが出来ずに鼻先が大斧の刃が掠る。
「うう……体から力が抜けていく……」
大斧を受けた美香は目を見開いて膝を付く。
「……回断は回復機能を断つ能力だ」
「ま、まさか!?」
「……ああ」
ロットは大斧を地面に落とし拳を握る。
「……これでお前にダメージが通るわけだ」
ロットはいつものように強い意志を感じる瞳で美香に迫る。その額には大粒の汗が滲んでいた。
ロットは防断と回断で体力を大きく消耗していた。今のロットを立てているのは気力だけだった。
その気力を持ってロットは拳を振り上げる。
「……これで終わりだ!」
ロットの拳が美香のお腹に命中する。美香は声を上げることも無く、意識を失ったのだった。
「……なんとかなったな」
意識を失った美香をロットは肩に担ぐ。
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