異世界転生したら顔面凶器の公爵に愛されました

牧野きうい

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満月の下でプロポーズ

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 その後、二人とも真っ赤になった顔をどうにかしてから屋敷に戻ってきた。
 湯に入れてもらい、ヘレナとマリーにマッサージもしてもらった。さすがに足が疲れていたみたい。

 夫婦の部屋に戻って、なんとなく風にあたりたくてバルコニーに出た。

 今夜は満月かしら。不思議ね。こちらにも向こうと変わらない月があるだなんて。もし両方の世界を同じ神が造ったのなら、どうにでもできるのかもしれないわね。

「アメリアは月の女神だったのか」

 後ろからルイス様に話しかけられた。いつの間にか部屋に戻って来ていたようだ。

「まあ。ルイス様でもそんなご冗談をおっしゃいますのね」
「いや、冗談ではない。本当に月に吸い込まれそうだった。私を置いて月に帰らないでくれないか」

 そっと私の両手を握ってそんなことを言う。ルイス様も湯を浴びたばかりの筈なのに、手は少し冷たかった。

「帰りませんわ。ずっとルイス様のお傍に」

 するとルイス様は私の前で片膝をついた。

「アメリアを初めて見たのは、アメリアがデビュタントの時だった。白いドレスを着た君は、まるで羽が生えているかのようなステップでダンスをしていて、くるくると回る姿は天使か妖精のようだった」

「恐らく少なくない男がアメリアに惚れただろう。私もその一人だった。居ても立ってもいられず、結婚を申し込んだ」

 私は静かにルイス様の話を聞いている。

「幸運にもアメリアは私のところに来てくれた。しかも同じ気持ちを返してくれた」

 ルイス様はどこからか小さなケースを取り出し、私に向かってふたを開けた。中には青い石のついた指輪が入っている。私はもうこの時点で既に涙が止まらなくなってしまっていた。でも最後までルイス様の言葉を聞かないと。必死に顔を上げていた。

「この石はグランディディエライトと言って、見てのとおり私の目の色だ。いつも私の色を身に着けていて欲しくてこの石を選んだ」

「そしてこれはもっと明るいところで見ると分かるのだが、グリーンも混ざっている。生涯、いや、この身が儚くなってもアメリアと共にありたい。改めて、私と結婚して欲しい」

 ルイス様のブルーと私のグリーン。それが混ざり合って素敵な色になる。この指輪を準備するのは容易ではなかったのは私でも分かる。その気持ちが嬉しく、ルイス様が真剣に私を愛していることが伝わってきた。私もルイス様が愛おしすぎて、抱きしめずにはいられなかった。

「はいっ。喜んで!」

 勢いよく抱きついたけどさすがの体躯、少しもブレなかった。
 しばらくして体を離す頃には、ルイス様の肩口が私の涙でぐしょぐしょになっていた。本当にごめんなさい。

 今夜のプロポーズは、一生忘れられない思い出になった。
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