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【#01】ゲート開錠
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わたくしがまず着目したのは、地球人の中で、最も生真面目で働き過ぎなニホンジンだ。
「おはようございます」
今日もそうにっこりと、とある植物に挨拶をするのが日課な女性がいる。彼女が大好きであろう植物、名をガジュ君。正式名称、ガジュマル、と呼ばれた植物だ。そのムキムキの鍛えられたふとましいごりっぱな、右往左往自由に成長するその幹には、彼女も頬を赤らめるほどに惚れている。
そんな彼女の名前は、高野由利亜、嬢。
高野は「たかの」と呼ばれるが、彼女の場合は「こうの」の方で呼ぶらしい。
真っ直ぐストレートな綺麗な長い黒髪は、まさにジャパニーズガールの特権であろう。
彼女のこの対宇宙人コロニー『オムニバス』の業務は、ゲートから来る宇宙人観光客の受付だ。
大概は地球入星リストに登録者顧客名簿があり、パスポートと参照し、本人確認をすることが業務である。そして、荷物検査班へバトンを渡すのだ。
なんだ、簡単じゃないか。
そう、思っただろう?
恐らく、この受付という業務が、最大にして一番の要であるのだ。
宇宙には沢山の、数えきれない種族がいる。そして、悪い奴なぞ五万といる。そんな奴らと、初めて対面するのが、受付係の彼女達なのだ。もし、もしも、だ。こんなか弱い地球人のニホンジン女性が襲われたりでもしたら。そう思うとわたくしは見ていられない。
だから、だからだ!
何故そんな業務に、彼女が、高野由利亜嬢がついているのか!
この目で、EYEで! 確かめようと思う。
と、由利亜嬢が、受付席に腰を下した。
「えっと、今日のお客様は・・・」
デスクのパソコンを起動し、カタカタとキーボードパネルを叩く。宙に表示されるモニターをふむふむと確認している。
彼女の右斜め前で、ムッキムキのガジュ助も高野由利亜嬢を見つめている。
「えっと・・・」
モニターを覗き見るに、きちんとまずは訪問人数と種族を確認しているようだ。
ちなみに宇宙人との言語難解消は、コロニー勤務者が耳に装着している言語翻訳機でお茶の子さいさいだ。コンピューターの顧客名簿もきちんと地球言語で変換されるので、業務には支障がない。
「高野さん」
由利亜嬢に声をかけるのは、彼女の先輩に当たる・・・先輩A(男)だ。
「おはようございます先輩」
「おはよう。今日も頑張ろうね」
「はい」
ふと先輩Aは自身の指同士を絡め、もじもじとする。
「あ、あのさ・・・」
「はい?」
「今日、仕事終わったら時間、空いてるかな?」
「いえ、すぐに買い物しないといけないので」
バッサリ切って行くぅ由利亜嬢! おまえは眼中にねぇんだぞとばかりの満面の笑みだ。こ、これは天然か!?
「そ、そうか分かった」
「はい」
由利亜嬢はまた視線をモニターに戻す。
先輩A氏、またもや玉砕。実はこの男、他の女性にも声をかけているのだ、結局誰でもいいのだ。だからそんな奴の名前を覚える必要はないのだ。
ーピンポンパンポン♪
コロニー内を泳ぐ、守護神珍魚金魚が、口をパクパクさせアナウンス。
『本日、西暦3021年11月1日月曜日。天気は晴れ、宇宙のお客様を快く歓迎致しましょう』
由利亜嬢は席を立ち、手を前で組む。
迎えの準備だ。
『ゲート、開錠~』
受付席は三つ、つまりはゲートも三つ。
その一つが彼女の席。
コロニーの一角、金魚のステンドグラスから、三つの金色の扉、ゲートが出現する。
『ガチャリ』
その扉が開かれた。
「おはようございます」
今日もそうにっこりと、とある植物に挨拶をするのが日課な女性がいる。彼女が大好きであろう植物、名をガジュ君。正式名称、ガジュマル、と呼ばれた植物だ。そのムキムキの鍛えられたふとましいごりっぱな、右往左往自由に成長するその幹には、彼女も頬を赤らめるほどに惚れている。
そんな彼女の名前は、高野由利亜、嬢。
高野は「たかの」と呼ばれるが、彼女の場合は「こうの」の方で呼ぶらしい。
真っ直ぐストレートな綺麗な長い黒髪は、まさにジャパニーズガールの特権であろう。
彼女のこの対宇宙人コロニー『オムニバス』の業務は、ゲートから来る宇宙人観光客の受付だ。
大概は地球入星リストに登録者顧客名簿があり、パスポートと参照し、本人確認をすることが業務である。そして、荷物検査班へバトンを渡すのだ。
なんだ、簡単じゃないか。
そう、思っただろう?
恐らく、この受付という業務が、最大にして一番の要であるのだ。
宇宙には沢山の、数えきれない種族がいる。そして、悪い奴なぞ五万といる。そんな奴らと、初めて対面するのが、受付係の彼女達なのだ。もし、もしも、だ。こんなか弱い地球人のニホンジン女性が襲われたりでもしたら。そう思うとわたくしは見ていられない。
だから、だからだ!
何故そんな業務に、彼女が、高野由利亜嬢がついているのか!
この目で、EYEで! 確かめようと思う。
と、由利亜嬢が、受付席に腰を下した。
「えっと、今日のお客様は・・・」
デスクのパソコンを起動し、カタカタとキーボードパネルを叩く。宙に表示されるモニターをふむふむと確認している。
彼女の右斜め前で、ムッキムキのガジュ助も高野由利亜嬢を見つめている。
「えっと・・・」
モニターを覗き見るに、きちんとまずは訪問人数と種族を確認しているようだ。
ちなみに宇宙人との言語難解消は、コロニー勤務者が耳に装着している言語翻訳機でお茶の子さいさいだ。コンピューターの顧客名簿もきちんと地球言語で変換されるので、業務には支障がない。
「高野さん」
由利亜嬢に声をかけるのは、彼女の先輩に当たる・・・先輩A(男)だ。
「おはようございます先輩」
「おはよう。今日も頑張ろうね」
「はい」
ふと先輩Aは自身の指同士を絡め、もじもじとする。
「あ、あのさ・・・」
「はい?」
「今日、仕事終わったら時間、空いてるかな?」
「いえ、すぐに買い物しないといけないので」
バッサリ切って行くぅ由利亜嬢! おまえは眼中にねぇんだぞとばかりの満面の笑みだ。こ、これは天然か!?
「そ、そうか分かった」
「はい」
由利亜嬢はまた視線をモニターに戻す。
先輩A氏、またもや玉砕。実はこの男、他の女性にも声をかけているのだ、結局誰でもいいのだ。だからそんな奴の名前を覚える必要はないのだ。
ーピンポンパンポン♪
コロニー内を泳ぐ、守護神珍魚金魚が、口をパクパクさせアナウンス。
『本日、西暦3021年11月1日月曜日。天気は晴れ、宇宙のお客様を快く歓迎致しましょう』
由利亜嬢は席を立ち、手を前で組む。
迎えの準備だ。
『ゲート、開錠~』
受付席は三つ、つまりはゲートも三つ。
その一つが彼女の席。
コロニーの一角、金魚のステンドグラスから、三つの金色の扉、ゲートが出現する。
『ガチャリ』
その扉が開かれた。
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