【休止】天の声、実況、す。

佐橋 竜字

文字の大きさ
34 / 34
NUMBER’S CONSCIOUSNESS

【#高野由利亜】11

しおりを挟む


「……というわけで」
 食堂に戻られたワン様と喜多さんに、大量のチキンを食べ続けるフードファイター(宇宙人)達を見せて、事情を説明した。
「…凄いね? 君は秘密のキーボックスまでも手懐けてしまうなんて…」
「美味しそう。由利亜ちゃん、うちも食べてもいい?」
「え、あ、どうぞ」
 喜多さんも由利亜のチキンを手に取って食べた。
「あっ、美味しい。ワン様も食べれたら良かったのに…んぐ、ストロベリーシェイク、飲みたくなったな。飲む人ー?」
「「「はーい!」」」
 二匹と勿論、由利亜も手を挙げた。
 ワン様はお肉を召し上がれない、ということは。
「ワン様はベジタリアンなの?」
 ワン様は苦笑を浮かべる。
「僕は電流の流れてる、生きた機械が好きなんだ」


「……」


 いっけなぁい☆ 思考が止まっちゃった☆


 えーと…ん? 急にSFの話?
 由利亜、今の流れだと食べ物の話してるつもりだけど違った?
 ストロベリーシェイクをちょうど持ってきてくれた喜多さんに目線を送ってみる。
「あ~えぇ~っと、ワン様は地球産宇宙人なのよ。でもワン様は外見だけが人間の形に生まれたこそすれ、中身は全くの別物なんだ」
 ワン様が笑っている。
「僕は人間のガワを被った機械喰いのこわ~い宇宙人なのさ」
「ほぅー……」
 中身が気になる。あの白い歯で機械を貪るのか…、見てみたいかも。
「ま、僕の話は置いておいて。さっき連絡があって、君と京子さんは正式にコロニー12オムニバスの管理化になった。悪いけど、君達が義務教育を終えたら、すぐにオムニバスで働いて貰うことになる」
「! それって!」
 京子に背中を叩かれた。
「やったやん、あたしら永久就職先ゲットだよ。受験しなくてもいいんだよ」
「…やったわ、やっと…」
 イエスッ! パパが人間じゃなくて、宇宙人とのお見合いをセッティングしてくれるかも!
「喜んでるとこ悪いけど、試験はあるから」
「ぶほっ! げほっおほっ」
 噴き出す京子の背中を摩ってあげた。
「京子、これ飲んで」
 シェイクを渡すと、ズゴゴゴゴゴゴと物凄い吸引力で吸った。そうよなぁ、京子は本当にテストが大嫌いだもんね。
「といっても何が適任かのテストだけどね」
「わっ」
 がしっと京子に抱きつかれた。
「あああああたしは由利亜と同じじゃなきゃ嫌!」
「…京子…」
 さみしがり屋さんだなぁ本当に。なぁんてまぁチキンがすぐに食べたいだけだろうけど。
「うん、そこでだ」
 にっこりとワン様は微笑む。
「ラムラである京子さんは、由利亜さんを『食べない』唯一無二にした。それはラムラ界隈ではツガイ、言わばの契りと同じだ」
 あらま。
「ブホッ! ゲッホホエッ!」
 また京子は涙目になって噴き出す。
「ふふふふふううううふふふっ!?」
「ラムラ族は自分とツガイ以外は『喰らうもの』だという認識化にある。つまりは、自分以外の他者を『食べない』認定するのはツガイ、それ以外ない」
 おやまぁ。
 京子がみるみる顔を真っ赤にしていく。
「由利亜! ち、違うの! あたし知らなかったの! ほんとだよ!?」
「もともとラムラ族は雌雄はないし、どう繁殖するかは謎だけど。京子さんが何にせよ由利亜さんを『食べない』と決めたのなら、……由利亜さん」
 ワン様はまじまじと由利亜を見てくる。あぁカッコいい。だけど機械が食事。
「京子さんと『共鳴シンクロ』すれば、君は【人間のまま】、宇宙人に成れる」
「…それって……」
 京子にさっき言われた言葉が反芻する。

ーあたしが由利亜を宇宙人にしてあげる

 京子を見やると、にこっと笑った。
「やっぱそうだよね。人間の身じゃコロニーじゃ危険だもんね」
「ご名答。安全に徹しているとはいえ、何が起きたら地球人の身ではまず無理だろう。そこでだ、京子さんは寄生型だ、初めてそこで真価を得ると以前言ったように、由利亜さんは別の意味で進化できる」
「…【人間のまま】ってことね」
「でも由利亜ちゃん、よく考えて。それでも地球の理から外れるということに」
 十二分に考えている。
 由利亜自身が、ずっと望んでいたことだもの。
「由利亜はずっと人間じゃ無くなりたかった。ワン様は輪廻転生って言葉、知ってるよね?」
「あぁ、簡単に言えば『魂とは生まれ変わる』ということだよね? 前世の人間が、今世で全く違う自分になっても、その根底にある魂が今世でも後世でも同じ意志を持って人生を繰り返す」
「そう、魂はずっと繋がってるの。由利亜は生まれた時から、この狭い世界で生きていくことが嫌だった。世界は、宇宙はもっと広いことを知ってたんだ、だから」
 由利亜はこの時を待っていた。
 きっと、由利亜の前世のもっともっともっとの前世も、この広い宇宙を見てきたんだ。だから由利亜の魂は知ってる。世界は地球だけじゃないことを。
「由利亜は京子とするよ!」
「ぶほぁっ!」
 何故か隣で鼻血を噴き出す京子がいた。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

処理中です...