【完結】しろくまニアック!

佐橋 竜字

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【番外編】14.会話の中で

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 美味しいそれはもう美味しい朝食を終え、満足気に僕はさも当然のように与えられた客間に戻っていることに気が付く。
 まぁ、戻って待っててと言われたのでそうしたのだけれど、逃げれることもできたはずだ。でも、逃げるのも、何か・・・。まぁ一応、成人だし子供ではないので。好意を持たれていることは分かっているので、きちんと話し合うのも大人の礼儀だろうとは思ってはいる。例え一方的な性的行為を受けたとしても。
 そう言えば、素面になっての、謝罪は?
 何か、おかしいよね? 寝てる間に勝手に致されていたんだ。
 これは、元王として、いかがなものだろうか。
 コンコン。
 ドアがノックされる。
「はい」
 返事をすると、白いシャツにグレーのパンツの、会社員のような格好のレディアンが入室した。
 バーチャルライバーあるあるだと思うけど、曜日の感覚が無くなる。今日って、そうか、平日だったっけ。
「レディアン、仕事?」
「あぁ、元王だから、何をすればいいか分かってるから。ディラン王の裏方業務だ」
「・・・そう、ですか」
「暇で取り得のない私と違って、あいつはクリエイターの気質もあるからね。あっちの仕事が忙しそうで、こっそりと手伝っているんだ。仕事はしないといけないからね」 
 ウインクをしてくる元王。・・・意外と真面目なんだ。あ。これは失言か。
「君はバーチャルライバーだっけ」
「はい、最近評価されてきましたけど、どうでしょう・・・。事務所に所属してない個人勢なので、まぁ、孤独な仕事? です」
 定職に付かずフラフラと・・・と言われるだろう。僕的には芸人と似たような、エンターテイナーの部類だと思うのだけれど。
「新しい職業だよね、私はそういう業界を知らなかったから、身近にそう言う子がいて世界が広がったよ」
「え」
 予想外の台詞。
「昨今はいろんな分野の専門大学が出来て、今の子は将来に選択肢が広がって羨ましいよね。まぁ、当事者はその選択に悩むだろうけど、でも大学が全てじゃないし、若いなりに自分のやりたいことを自分で考えて悩むことが、凄く大事だと思うんだ」
 あれ? あれれ?
「はは、私は家柄に流されて、自分のやりたいことを考えも悩みもしなかった。結果、王の影武者。今自由になった身で実感したら、はは、びっくりだ」
「ふふ、で、でしょうね? そんな職業こそ経験できませんよ?」
「あぁ、全くだ」
 あ、笑った。
 にかっと、綺麗な歯が見えた。
 テレビで見た厳格な元王様は、こうやって笑うのか。
「レンも君の仕事に興味津々だし。一種の情報発信者だよね? それに一発本番の生配信も凄いし、動画編集っていうの? 凄く時間がかかるって、うちの知り合いのテレビ編集担当者が言っていてね? テロップがあると分かりやすくて見て貰える、サムネイルも瞬時に興味を持ってクリックして貰えるようの工夫がいるだの、動画編集のプロ達も素人なはずのライバー達の頑張りには、結構一目を置いているんだ」
 圧巻。口がポカンと開く。
「あっと、ごめん、喋り過ぎた」
 レディアンが心配そうに僕の顔を覗き込む。
「アーニャ? 大丈夫か?」
「あ、だだ、大丈夫です」
「いや、そう言う顔には見えないけど」
 一体僕はどういう顔をしているのか。
「いえ、その、驚いて・・・」
「? 驚く?」
「はい」
 レディアンは怪訝な表情を浮かべ、頬をポリポリと掻く。
「えと、何処に驚いた?」
 そして、苦笑。本当に分からないとばかりの。
「ふふ」
 思わずそのあどけない可愛い表情に笑ってしまった。
 段々彼の表情が分かってきた気がする。
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