【完結】しろくまニアック!

佐橋 竜字

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【番外編】15.プロポーズ

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「えと・・・あの何処に驚いたの?」
「すいません。レディアンと初めて出会った時、ハレムだのという話があったじゃないすか」
「うん」
「だから、第一印象はエッチな王様なんだなって、それしか無くて。トドメにレン様も熊人の性欲は強烈だとか仰ってたので。レディアンをそういう目でしか見て無くて」
「・・・・・・う、うん」
「それに、人の寝てる間に、あんなことされたら、いくら元王様でも許せません」
「す! すまない! 本当にその・・・」
 あ、まぁるいふかふかの耳がしゅん、と垂れた。
「・・・ごめん」
 ぐっ、か、可愛い・・・くっ。
「で、でも! 今のお話を聞いて! 大分印象が変わって! 僕なんかじゃ、その、王様のお仕事の大変さは分からないけれど、でも、いろんなことを広い視野で、理解して、見ていらっしゃるのだと実感しました」
「・・・ま、まぁ、王様、だったしね。若い子の行く末をより良く考えるのがお仕事だし。まぁ、目の前の問題も解決しながらだったけど」
 その深いため息混じりの言葉は、凄く僕の計り知れない、種族を背負った大きなものだと感じた。
「・・・何だか」
「うん?」
「元、王様だけど」
「うん」
「・・・何だかまだ王様みたいですね」
「え」
「あっ! すいませんあの嫌味的な、引退したのにまだ王様気分が抜けきらないんだなっていう意味では無くて! 王様じゃ無くなったけど、仕事の意味でまだ裏で王様を続けていらっしゃるのだなと・・・」
 僕は昨晩、レディアンのことを何も知らずに、なんという不躾なことを言ってしまったのだろう。王の仮面? 甘えるな? 甘えているのは僕自身じゃないか。
「アーニャ?」
 きちんとレディアンに対峙して、その綺麗な琥珀色の瞳を見た。
「昨晩は、甘えるなどと、自分の立場を弁えず、失礼な発言をしたこと、本当にすいませんでした」
 深くお辞儀した。
「えっ!? いや別に私は」
「・・・なので、昨"夜"のことはこれでチャラにしませんか?」
「え?」
「無かったことにしましょう。僕はいつものライバーに戻り」
「ヤダ」
「え?」
「ヤダヤダヤダヤダ! 絶対にヤダ!」
 え? あれ?
「昨夜を忘れるなんて絶対に嫌だ! 最高の夜だったのに!」
 あれ? 目の前に大きな駄々っ子が?
 しかも若干・・・涙目?
「"ボク"は! 君と家族になりたいんだ! 君じゃなきゃ、ダメなんだ!」
「っ!?」
 ここここれって・・・。
「今はレンの改良型受胎の実がある。病院に通って、不妊治療すれば、未来が変わるかもしれない!」
「改良型・・・?」
「そう! 今回のはちゃんとしたものだ」
 今回のは? じゃぁ今までのは?
「レンも、その、事情があって、ディランとの子を諦めた時があったらしい」
「えっ!?」
「でも、彼らは諦めなかった。結果、エトを授かったんだ」
 ギュッと、僕の手を握られた。
「行動しなければ、今を変えないと未来は変えられないんだ、だから」
「レディア・・・」
「お願いだから、諦めないで」
 突然の熱い抱擁に、胸が高鳴った。
「ボクとの恋愛を拒まないで」
 彼の、本当の一人称は、"ボク"なんだ。ふふ、僕と、同じじゃないか。
 幸せなレン様にも、過去に色々事情があったんだ。
 レディアンとの、恋愛・・・。
「まずは、ね!? お付き合いから、お願いします!」
「え」
「いや、あの、やっぱり結婚前提で!」
「へ」
「あっ、その、聞いたと思うんだけど。ボク、もう君と出会ってからずっと発情してるので、その、責任取って頂けると」
「・・・はいっ!?」
「だ、だから、ね?」
 レディアンは、すっと片膝を立てて、僕の左手薬指にキスをした。
「今日から一緒に住もう」
 え、は、え。
「えええええええっ!?」
 突然の展開に、脳の処理が追い付かなくなった。
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