23 / 38
【番外編】15.プロポーズ
しおりを挟む「えと・・・あの何処に驚いたの?」
「すいません。レディアンと初めて出会った時、ハレムだのという話があったじゃないすか」
「うん」
「だから、第一印象はエッチな王様なんだなって、それしか無くて。トドメにレン様も熊人の性欲は強烈だとか仰ってたので。レディアンをそういう目でしか見て無くて」
「・・・・・・う、うん」
「それに、人の寝てる間に、あんなことされたら、いくら元王様でも許せません」
「す! すまない! 本当にその・・・」
あ、まぁるいふかふかの耳がしゅん、と垂れた。
「・・・ごめん」
ぐっ、か、可愛い・・・くっ。
「で、でも! 今のお話を聞いて! 大分印象が変わって! 僕なんかじゃ、その、王様のお仕事の大変さは分からないけれど、でも、いろんなことを広い視野で、理解して、見ていらっしゃるのだと実感しました」
「・・・ま、まぁ、王様、だったしね。若い子の行く末をより良く考えるのがお仕事だし。まぁ、目の前の問題も解決しながらだったけど」
その深いため息混じりの言葉は、凄く僕の計り知れない、種族を背負った大きなものだと感じた。
「・・・何だか」
「うん?」
「元、王様だけど」
「うん」
「・・・何だかまだ王様みたいですね」
「え」
「あっ! すいませんあの嫌味的な、引退したのにまだ王様気分が抜けきらないんだなっていう意味では無くて! 王様じゃ無くなったけど、仕事の意味でまだ裏で王様を続けていらっしゃるのだなと・・・」
僕は昨晩、レディアンのことを何も知らずに、なんという不躾なことを言ってしまったのだろう。王の仮面? 甘えるな? 甘えているのは僕自身じゃないか。
「アーニャ?」
きちんとレディアンに対峙して、その綺麗な琥珀色の瞳を見た。
「昨晩は、甘えるなどと、自分の立場を弁えず、失礼な発言をしたこと、本当にすいませんでした」
深くお辞儀した。
「えっ!? いや別に私は」
「・・・なので、昨"夜"のことはこれでチャラにしませんか?」
「え?」
「無かったことにしましょう。僕はいつものライバーに戻り」
「ヤダ」
「え?」
「ヤダヤダヤダヤダ! 絶対にヤダ!」
え? あれ?
「昨夜を忘れるなんて絶対に嫌だ! 最高の夜だったのに!」
あれ? 目の前に大きな駄々っ子が?
しかも若干・・・涙目?
「"ボク"は! 君と家族になりたいんだ! 君じゃなきゃ、ダメなんだ!」
「っ!?」
ここここれって・・・。
「今はレンの改良型受胎の実がある。病院に通って、不妊治療すれば、未来が変わるかもしれない!」
「改良型・・・?」
「そう! 今回のはちゃんとしたものだ」
今回のは? じゃぁ今までのは?
「レンも、その、事情があって、ディランとの子を諦めた時があったらしい」
「えっ!?」
「でも、彼らは諦めなかった。結果、エトを授かったんだ」
ギュッと、僕の手を握られた。
「行動しなければ、今を変えないと未来は変えられないんだ、だから」
「レディア・・・」
「お願いだから、諦めないで」
突然の熱い抱擁に、胸が高鳴った。
「ボクとの恋愛を拒まないで」
彼の、本当の一人称は、"ボク"なんだ。ふふ、僕と、同じじゃないか。
幸せなレン様にも、過去に色々事情があったんだ。
レディアンとの、恋愛・・・。
「まずは、ね!? お付き合いから、お願いします!」
「え」
「いや、あの、やっぱり結婚前提で!」
「へ」
「あっ、その、聞いたと思うんだけど。ボク、もう君と出会ってからずっと発情してるので、その、責任取って頂けると」
「・・・はいっ!?」
「だ、だから、ね?」
レディアンは、すっと片膝を立てて、僕の左手薬指にキスをした。
「今日から一緒に住もう」
え、は、え。
「えええええええっ!?」
突然の展開に、脳の処理が追い付かなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
転生した新人獣医師オメガは獣人国王に愛される
こたま
BL
北の大地で牧場主の次男として産まれた陽翔。生き物がいる日常が当たり前の環境で育ち動物好きだ。兄が牧場を継ぐため自分は獣医師になろう。学業が実り獣医になったばかりのある日、厩舎に突然光が差し嵐が訪れた。気付くとそこは獣人王国。普段美形人型で獣型に変身出来るライオン獣人王アルファ×異世界転移してオメガになった美人日本人獣医師のハッピーエンドオメガバースです。
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
竜人息子の溺愛!
神谷レイン
BL
コールソン書店の店主レイ(三十七歳)は、十八歳になったばかりの育て子である超美形の竜人騎士であるルークに結婚を迫られていた。
勿論レイは必死に断るがルークは全然諦めてくれず……。
だが、そんな中で竜国から使者がやってくる。
そしてルークはある事実を知らされ、レイはそれに巻き込まれてしまうのだが……。
超美形竜人息子×自称おじさん
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる