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【番外編】17.行動早過ぎ問題
しおりを挟むまた、昨日と同じ光景が広がる。
僕達はディラン王とレン様の邸宅のチャイムを鳴らすとメイドさんが顔を出し、僕達を一瞥するとすぐに扉を閉められた。
「待っていよう。さっきのメールからすぐに行くとは伝えてあるから」
「は、はい」
邸宅の前で、普通に外で、待つこととなった。
確かに、言われてみると、レン様とゲームをした時、邸宅にお邪魔せずすぐにゲームの家に入ったっけ。普通なら玄関にすぐ通されて客間でお待ちを、だけど。ここは熊人の領土であり、ディラン王の私有地だ。
僕とレディアンは部外者であり、この邸宅に入れるのは、許されたメイドさんとレン様、そしてご子息のエト様だけ、か。
「なるほど・・・」
「ん?」
「いや、熊人さんのそういうテリトリーな話が分かって・・・」
「え?」
「あ、いえ、昨晩バートさんから、熊人さんは気に入った雌しか自分の家には入れないっていうのがあるって聞いて」
「・・・あぁ~うん」
「てっきりレディアンさんの家にはハレムさん達がいっぱいいるんだと思ってて」
「あー・・・ないないホントにない、無理」
即の否定。
「でもハレムでもさすがに一番目の子は入れたんじゃないですか? 百人いるんですよ、その内の一番だし」
「ない」
「きっぱりと言いますね」
「うん」
うう~ん・・・。
「一つ、お聞きしても?」
「うん?」
「ハレムさん達と、その、家に入れた僕の違い・・・というのは? 何なんでしょうか」
レディアンの目がぱちくりする。
「そんなの決まってるじゃないか」
「? 決まってる・・・?」
「うん。君を孕ませたいと思ったから」
「!? はらま・・・」
「うん。君だけなんだ、本気でそう思ったのは」
「そっ・・・」
「ハレムの子達は申し訳ないけど、ボクの性欲を満たす為の子達だ」
いや、これは、絶対に、確実に。
「・・・恨み、買いますよ」
「・・・分かってる。レンにくどくどハレムは増やすなと言われたことが、はぁ、ようやく身に染みてるんだ・・・」
「・・・僕、刺されないかな・・・」
本当に、いや本気で不安だ。
「だから、君はこれからボクの家で過ごすんだ。あそこなら護られるから」
あ、あぁそういう・・・。
「ちなみに・・・、ボクからも聞きたいことがあるんだけど・・・」
「はい?」
「・・・クロエ家って、本家と分家があるよね?」
「はい」
「君は分家・・・だよね?」
思い切り頷いた。
「お母さんがそれはもううちは分家だけど、本家に劣らない、"いい"血筋だって」
何が"いい"血筋なのか。
「ヒト族の"いい"血筋って、一体何でしょう? 僕はずっと不思議でした。・・・勘当される前は」
「・・・アーニャ」
"いい"子宮と、"悪い"子宮。その二極。
全く、笑える。
「レディアンも刺されないように。でも僕、一度家に帰って荷物とかやりたいことが」
「あぁ、もう手配済みだから。昨日中に君の住まいの荷物やらの手続きは済ませてあるからそこは大丈夫」
「え・・・」
昨日中? え?
「・・・行動、早過ぎませんか? 僕、まだ一緒に住むって一言も言ってないんですけども」
「いや、狙われる危険性があるって伝えるし、もう今伝えたけど、そうしたら嫌でもこっちに来るだろうし、言質は後で取ればいいかなって。ね? 住むだろう?」
「ななななななっ!?」
こっ、この熊人はっ!?
ガチャリと、ディラン王の邸宅の玄関の扉が開かれた。
「あ、ごめん遅くなっ・・・」
エト王子を抱いたレン様が目を瞬かせる。
「・・・・・・アーニャ?」
「・・・・・・はい」
「・・・どうかした・・・してそうだね?」
「・・・はい」
手も、行動も早過ぎる熊人に脅迫されてます。
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