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【番外編】26.ガチ勢
しおりを挟む「・・・ついに、ついに来た礼拝堂」
どうやらこの礼拝堂こそが、最終決戦らしい。
『お姉ちゃんを助けて』
自分の姉であり、この学園の理事長でもあるサリーの、蘇りの儀式を止めて欲しい。それが、現パーティで有力なバフかけ、回復役担当の、妹サーシャの望みだった。何だったら、彼女が主人公のレベルより遥かに上で、レン様の愛着を感じるほどの強いキャラに育っていた。
「俺は、サーシャの願いを叶えるんだ」
「そうですねレン様。どうやら初見殺しなるものがあるらしいので、一回ではクリアは難しいかもしれま」
「なにぃっ!? さすがはゲーマーバルド氏、よく分かってるじゃあないかぁ! あはははは!」
本当に、楽しそうで何よりです。・・・最後まで言わせて。
「レン様、最終武器と防具と道具、パーティメンバーの調整、大丈夫そうですか?」
「うん、まず様子見で死にに行こうと思ってるから、お気に入りのセットで行こうと思う」
レン様のお気に入り武器は・・・あっ。
「スッポン?」
「そうだよ~。正式名称はラバーカップっていうらしいよ」
「へぇ! その・・・スッポンって、あの、トイレの詰まりを解消するやつですよね?」
「そう! 属性が水で、これバフがかかってて、攻撃すると、敵が水濡れ状態になって命中率が下がる上に、敵の攻撃、防御、素早さ、特攻値を下げてくれるんだ。しかも攻撃する度に! 武器の詳細画面でさ、効果が物凄い異臭って書いてあって、攻撃力はそこまで高くないけどレア度が高くてさ、多分、最強かもしれん」
「うわぁ、強い武器よりなんか・・・たちが悪い武器ですね・・・」
デザインもリアルで汚くて何より臭そう。
「俺のパーティの構成は、メイン特攻部隊にこのハサミ女レイナ。攻撃受けると自身のステータスを上げるメンヘラ女で、目を離すと勝手にバーサーカーモードに入るから、回復役のサーシャを追尾で付けさせる」
「なるほど」
「肉壁はドMのロビン。壁のくせに裸が最強なの。防具なしね」
「え?」
「まず攻撃を受けて、HPを1にして、そこからようやく彼のドMの真価が問われる。スキル究極のドMは、攻撃を受けると自己回復する能力だ。『もっとだ! もっとバッチコーイ!』って攻撃のヘイトを稼いでくれる。ヘイトが高いと狙われやすくなるだろ? だから攻撃がきやすくなって、こっちは攻撃を受ける度にHPが回復するようになる。その頃にはまたスキルが回復してるからエンドレスにできる。最高の肉壁だ」
「な、なるほど」
「あとね、配信外で、ダウンロードコンテンツをやったんだけど」
「うえっ!?」
「あ、動画としては録画してあるから、編集してアップするからさ」
「はぁ~、それなら良かった・・・」
コメントも僕と同じ反応だ。
「それで仲間にしたこの孤高の人狼君ジョン」
「もはや人ではないんですね」
「うん、でも強くてねぇ。まぁ孤高だから、一人で勝手に戦わせることに意味があって、一切補助魔法やどんなにピンチでも回復魔法をかけない、補助しないんだ。するとスキル孤高のプライドが発動して、翼が生えてエレメンタルウルフに進化、後は無双」
もはや別ゲー。
「あのね、このジョンのストーリーが泣けるの! でもすっごく攻略が難しい。でもね、やりがいがあるし、パーティーに加わった後のメインが物凄くやりやすくなるんだ。この中で誰と結婚する? ってなったらジョン一択間違いなし。声優さんも有名で声にも惚れる、うん。だから、皆もダウンロードするように!」
さすがはレン様、しっかり宣伝。
「え~っと、主人公、レイナ、ロビン、ジョンときて、最後のメンバーがこのお方! ヤンキー属性のシュウ!」
「やんきー?」
「なんかね、もう廃れたらしいんだけど、ヤンキーっていう十代の荒れた学生がいて、口癖が『おまえドコ中?』で、口が悪くて喧嘩が強く暴力的な若者なんだ」
「ほぅほぅ。あぁ~なるほど、学ランで、柄が悪そうな少年ですね」
「うんうん。この子も強くてねぇ! スキル飢えた獣は、自分があまり攻撃されないと発動してね、『俺を見ろ!』って暴れ回るんだ。でもただ暴れるんじゃなくて、相手の攻撃を見交わし、徐々に回避率を上げて、ようは戦闘する度に強くなる精神的に強いキャラで自分の正義を貫いて、その拳で一網打尽にするんだ。だからドMのロビンと相性が良くて、敵のヘイトがロビンとシュウに交互に行って、主人公への攻撃が少ない、いやもはや来ないから、安心して攻撃できるんだよ」
「な、なるほど・・・」
コメントは『ガチ勢過ぎる』の一色。僕もそう思う。
「レン様」
「うん?」
「これ、多分、一回でクリアしちゃいますよ?」
「・・・えっ!?」
僕を含め、リスナーの誰もがそうコメントで告げていた。
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