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最終章
エピローグ
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「暁人サン、とても綺麗ですね」
「男に綺麗って表現するのはおかしいんじゃないか……?」
身も心も結ばれてから数ヶ月が経ち、翌年のゴールデンウィークになった。
今日、俺たちは挙式を挙げることになっている。
咲良と初めて出会った、あのホテルで。
あれから色々とあったなぁ、と回想を巡らせる。
咲良は晴海家の跡取りであることが判明したため、まずは俺の披露会をやり、なんとか挙式までいくことができた。
俺の要望により、身内だけの挙式である。
「お兄ちゃん、綺麗だね!」
今年5歳になる弟の海斗が声を上げた。
初めての挙式な所為か、昨日からテンションが高くて困る。
「おめでとう、兄さん」
姿を現したのは、もうひとりの弟である夕陽だ。今年で14歳になる。
「ありがとう。海斗、夕陽」
「泣くのはまだ早いって。咲良さん、兄のことを宜しくお願い致します」
「君の兄さんのことを絶対に幸せにしてみせるよ」
父や母が遅れて到着し、あとは咲良のお祖父さんと真冬さんだけになった。
「ふたりともおめでとう」
真冬さんがグラサン姿で現れた。
そのサングラスを取ると、海斗が目を輝かせる。
「もしかして、マスカレッド!?」
マスカレッドって、確か今年の2月に終了した戦隊ものの人物だったよな。
……あ。初めて会ったとき感じたのは、そういうことなのか。海斗に付き合って一緒に見ていたから覚えがあったのだ。
マスカレッドのポーズを決めている海斗の姿を微笑ましく見つめる。
「いやあ、自分が演じた役のことが好きだって言ってくれる子がいるって、嬉しいな」
真冬さんがぽつりと溢す。その頬は心なしか赤く染まっているような気がした。
*
その後、遅れて到着した咲良の両親との挨拶を済ませると、挙式を開始する時間になった。
タキシード姿で、新郎入場となる。
父親に連れられて扉を潜ると、こちらの方を向いた咲良の姿があった。
ドキリ、とする。
タキシード姿の咲良はあまりにもカッコよくて、今すぐ襲いそうになってしまう。が、なんとか堪えて、胸を張って歩く。
咲良の手を取り、みんなの方へと向く。
お父さん、お母さん、海斗、夕陽。咲良の両親に、お祖父さん。この中の誰一人欠けても挙式を挙げることが出来なかった。
そう思うと、泣きそうになる。スタッフさんが一生懸命メイクしてくれたから泣けないけどな。
そして、挙式は進んでいき……。
指輪交換の時間となった。咲良の手を取り、指輪を嵌めていく。咲良はくすぐったいのか、僅かに揺れている。
咲良も俺の手を取り、指輪を嵌めてもらう。
お互い顔を見合わせ、微笑み合う。
*
「誓いのキスの時間に移らせていただきます」
神父が現れて、俺たちの中間に立つ。
「相良暁人は ここにいる晴海咲良を 病めるときも 健やかなる時も 富める時も 貧しき時も これを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか」
「はい、誓います」
「では、誓いのキスを」
俺の頬に咲良の手が添えられる。
咲良との距離が近くなり、キスをする。
ふたりの指には指輪が光っていた。
fin.
「男に綺麗って表現するのはおかしいんじゃないか……?」
身も心も結ばれてから数ヶ月が経ち、翌年のゴールデンウィークになった。
今日、俺たちは挙式を挙げることになっている。
咲良と初めて出会った、あのホテルで。
あれから色々とあったなぁ、と回想を巡らせる。
咲良は晴海家の跡取りであることが判明したため、まずは俺の披露会をやり、なんとか挙式までいくことができた。
俺の要望により、身内だけの挙式である。
「お兄ちゃん、綺麗だね!」
今年5歳になる弟の海斗が声を上げた。
初めての挙式な所為か、昨日からテンションが高くて困る。
「おめでとう、兄さん」
姿を現したのは、もうひとりの弟である夕陽だ。今年で14歳になる。
「ありがとう。海斗、夕陽」
「泣くのはまだ早いって。咲良さん、兄のことを宜しくお願い致します」
「君の兄さんのことを絶対に幸せにしてみせるよ」
父や母が遅れて到着し、あとは咲良のお祖父さんと真冬さんだけになった。
「ふたりともおめでとう」
真冬さんがグラサン姿で現れた。
そのサングラスを取ると、海斗が目を輝かせる。
「もしかして、マスカレッド!?」
マスカレッドって、確か今年の2月に終了した戦隊ものの人物だったよな。
……あ。初めて会ったとき感じたのは、そういうことなのか。海斗に付き合って一緒に見ていたから覚えがあったのだ。
マスカレッドのポーズを決めている海斗の姿を微笑ましく見つめる。
「いやあ、自分が演じた役のことが好きだって言ってくれる子がいるって、嬉しいな」
真冬さんがぽつりと溢す。その頬は心なしか赤く染まっているような気がした。
*
その後、遅れて到着した咲良の両親との挨拶を済ませると、挙式を開始する時間になった。
タキシード姿で、新郎入場となる。
父親に連れられて扉を潜ると、こちらの方を向いた咲良の姿があった。
ドキリ、とする。
タキシード姿の咲良はあまりにもカッコよくて、今すぐ襲いそうになってしまう。が、なんとか堪えて、胸を張って歩く。
咲良の手を取り、みんなの方へと向く。
お父さん、お母さん、海斗、夕陽。咲良の両親に、お祖父さん。この中の誰一人欠けても挙式を挙げることが出来なかった。
そう思うと、泣きそうになる。スタッフさんが一生懸命メイクしてくれたから泣けないけどな。
そして、挙式は進んでいき……。
指輪交換の時間となった。咲良の手を取り、指輪を嵌めていく。咲良はくすぐったいのか、僅かに揺れている。
咲良も俺の手を取り、指輪を嵌めてもらう。
お互い顔を見合わせ、微笑み合う。
*
「誓いのキスの時間に移らせていただきます」
神父が現れて、俺たちの中間に立つ。
「相良暁人は ここにいる晴海咲良を 病めるときも 健やかなる時も 富める時も 貧しき時も これを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか」
「はい、誓います」
「では、誓いのキスを」
俺の頬に咲良の手が添えられる。
咲良との距離が近くなり、キスをする。
ふたりの指には指輪が光っていた。
fin.
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