悪役王女は料理がしたい!

ミカぽん

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本編

貴族としての

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馬の嘶きと共に馬車が止まる。

「到着致しました。」

その言葉と共に馬車の扉が開かれる。
馬車の扉の向こうを見るとそこには貴族の子息女等が通う、フオマンデンブルグ学園の前庭が広がっていた。
その前提を1度無感情に見渡してから運転していた騎士にエスコートされ、馬車を降りる。
そこに1人の令嬢が優雅な足取りで歩み寄ってきた。

「アスライル様。ご機嫌麗しゅう。」

どうやら挨拶をしに来たようだ。
だが、アスライルはそれに対して冷たくあしらう。

「私の許可なく話しかけてこないでくださる?
それに私の事を名前呼びだなんて、、、
私の知らない間に私と貴女は随分と仲良くなったようね?
貴族としての振る舞いもできないのならこちらの貴族専用の入口ではなく平民専用の入口から入ったらどうかしら?」

アスライルのキツイ物言いに泣きそうになる令嬢。
だが、周りは哀れみの視線を向けるだけで助けようとはしない。
理由は簡単。
アスライルがこの場の最高権力者であることと、アスライルの言っていることは間違っていないからである。

「ッ!申し訳、御座いません…ッ!」

令嬢はビクビクと脅え、体を震わせながらも謝罪し、友人と思わしき令嬢の元へと戻って行った。
この世界では目上の者に許可無く話し掛けるのはタブーだ。
許可されてもいないのにファーストネームで呼ぶなど以ての外。
その為こう言うを得ないのだが、やはりあまりよく思われて居ないせいであろう。
アスライルを貫く様な刺々しい視線を送る者もちらほらいる。
アスライルは随分失礼な事。と、思ったが口には出さない。

「彼奴ら…お嬢様に不快な思いをさせるなんて…!
やはり処分した方が良いのかしら?」

密かな殺意が耳に入ったような気もするがアスライルはそれをスルーし、辺りをもう一度軽く見渡す。

瞬間。

アスライルは見慣れた緑色の頭を見つけた。

「御機嫌よう。ハルトムート。」

アスライルは優雅な足取りでその者に近づくと、そんな挨拶と共に声を掛ける。

「これはこれは。ご機嫌麗しゅう、第1王女様。」

ハルトムートはそう返すとふわりと微笑んだ。
その返事にアスライルは涼しい声で返す。

「あら、私の事をファーストネームで呼ぶ許可を与えたと思っていたのだけれど?」

名前を呼ぶというのはその者に近しい存在である事を示す。
1部の親しい友人や婚約者等がそれに当てはまる。
つまり派閥に入るようなものなのだ。
もちろん例外もあるが。

ともかく以前の私も現在の私も味方が少ない。
その為、前々からせめて中立であるハルトムートをこちら側に引きずり込もうと思い行動しているのだが、中々にガードが固く難しい。
アスライルが笑顔の仮面の下でどう味方につけようか算段をつけていると後ろからハルトムートに声が掛かる。

「ご、御機嫌ようッ!ハルトムート様ッ!」

アイーシャである。
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