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第一章 龍神誕生編
第3話 放課後に
しおりを挟むそんなこんなで午後の授業も終わり、あっという間に放課後になる。咲磨は野田先生に言われた通り、教室の掃除をしていた。
「いや~本当水宮がいてくれて助かったよ。最近教室が汚かったからさ。」
優しいことに野田先生は掃除を手伝ってくれた。
「いえ、元はと言えば俺の罰ですし。」
咲磨は苦笑気味に言う。感謝されるいわれはない。
「それでも、約束を守るというのは本当に大事なことなんだ。最近は口だけのやつが多いからさ。」
野田先生はそう言って少し笑った。
それから黙々と掃除をしていると、学年主任の岡崎先生が野田先生に用があるとかで掃除は終了となった。
咲磨は部活へ行くためにいそいそと体操服に着替える。
教室を出ようとしたとき、突然それは起こった。
((((キィーーーーーーーン))))
「っつ!?」
すごい音だ。耳をつんざくなんて生ぬるい。もっともっと鋭い痛みを伴って頭の中に直接響いてくるようなーーーー
立っていられなくなり、咲磨はその場で膝をつく。
朦朧とする頭の中で声が聞こえる。これは……夢で聞いた声と同じだ。
❲……やく、……ね……い❳
(誰だ、一体誰なんだ。)
❲見つ……て…、あ……たをず……と待っ…………❳
声が不快なのではない。不快なのは、この音だ。
(早く止め、声が聞こえないだろ、うるさいんだよっ!)
❲は……く、龍鳴山……へ。うば……れるま……に❳
「………………や」
(ああもう!最近の変な夢と繋がりあるのか?俺何か祟られるようなことしたか?)
「み……宮」
(大体こんなこと現実に起こるのか?普通ありえないだろ。)
「水宮!」
「っ……!」
顔をあげると、野田先生が心配そうに覗き込んでいた。
「せんせ……」
かすれて声が出ない。
「大丈夫か。呼んでも返事しないから心配したぞ。」
「……すみません。ちょっとふらついて。」
流石にさっきのことは説明できない。
「水宮、顔真っ青だぞ。今日は帰った方がいい。顧問の先生には私が話しておくから。」
「……はい。」
咲磨はお言葉に甘えることにした。もう頭がふらふらなのだ。もしこのまま部活に行ったら、ぶっ倒れているだろう。
(そういえばあの声、『龍鳴山』って言ってたな。あそこに行けば声の正体もわかるかもしれない。)
根拠はない。そう聞こえただけで本当は違うかもしれない。それでも咲磨はいま自分に起きている現象が正直言って、……怖い。
(確かめないと。)
咲磨は龍鳴山に行くことを決意した。
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