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第二章 滅妖師編
第14話 危ない日々
しおりを挟む八雲たちと別れて、カラコンを買って、家に帰って来るなり、母からの最初の言葉は
「連絡はもっと早くしなさいっ!」
だった。
どうやらかなり心配していたようで、咲磨はすぐにごめんなさいと謝った。
「はぁー、まあいいわ。今回は颯くんに免じて許してあげる。」
どうして颯?と疑問に思ったが、スマホに通知が入っていた。
『おばさんから連絡があった。とりあえず、俺のところで泊まってるって言っといたからな。これは貸一つだぞ。後でちゃんと説明しろよ。』
とのこと。
持つべきものは親友である。
咲磨はそれに猛烈に感謝した。
それから数日が経つ。特に代わり映えのしない休みを過ごし、学校が始まった。
何ら変わらないいつもの日常。変わったのは咲磨だけだ。
家族にも秘密にしているこの瞳。コンタクトが取れたら面倒なことになる。
変に気張らずにいこう、大丈夫、めったに取れることなんてないのだから。
だがそうはいかない。そういうときに限って、危険はたくさんあるのだ。
体育があった。それ自体は問題ない。だが種目はまさかのドッジボール。咲磨はあまり得意ではないものだ。
「大丈夫、大丈夫だ。顔面にさえ当たらなければ問題ない。」
「おい、咲磨。どうした?怖いぞ…。」
ブツブツと唱えていると、颯から軽く引かれた。解せぬ。
ついにその時はやってきた。
「よぉーし!準備はいいか!男子共ーー!!」
「「「「おーー!」」」」
「ドッジボール大会開幕じゃあーー!」
ホイッスルが鳴る。
咲磨は色々考えたが、早々に当たりに行くのが一番だと思った。
「よっしゃー!おい咲磨、覚悟しやがれ!」
ボールを取ったのは相手チーム。そして颯。
これはまずい。
(俺は颯のボールを受けきれたことが一度もない。)
それなら当たるだけでいいのだが、いつも受けようとして顔面にいくのだ。
なら受けなければいいのではと思うのだが、それは咲磨のポリシーに反するのだ。
考えても仕方ない。こうなったら
「逃げる!!」
「あ!テメー逃げんな!」
そうこれは作戦。颯はムキになって咲磨を狙う。そうして、咲磨を当てに行く。咲磨は受けることなく当たり、自尊心も守られる。完璧だ。
だがこういうときに限ってうまくいかない。
なんと颯は手が滑ってしまったらしく、そのボールは運悪くも咲磨の顔面付近に投げられたのだった。
「嘘だろ!?」
ーーーーードカッ
颯の豪速球が顔面を直撃する。
「いったー」
くない。あれ?痛くない。
急いで床を見る。幸いコンタクトは取れてなさそうだ。
「良かったー。」
「良くねえわ!大丈夫か!?悪い!手が滑っちまって。」
「んん?ああなんともねえよ。こんくらい。」
咲磨はへろっと言った。
颯はなにか言いたげだったが、まあいいかという感じで去っていった。
(けどなんで痛くなかったんだ?鼻血くらいでてもおかしくなかったのに)
(本当に危ない日々だ。こんなんで俺大丈夫かな?)
これからの先行きが不安になる咲磨であった。
「はあー危なかった。」
念のためと顔を洗いに行った咲磨は、鏡でコンタクトが取れていないかを確認する。
「こんなんじゃ心臓いくつあっても足りないな。」
咲磨は苦笑いをこぼす。
「君、妖なんだね。」
突然後ろから声が聞こえた。
咲磨は一瞬何を言われたか理解できなかった。体が硬直する。自分が妖。それは間違っていない。だがそれを知っているのは、人間の中ではまだ誰もいないはず……。
しかもこの声には覚えがある。同じクラスだ。名前も知ってる。
咲磨は恐る恐る振り返る。
少し長い前髪に黒い眼鏡。その下は端整な顔立ちがのぞく。
綾峯大和
彼がそこにいた。
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