16 / 19
第二章 滅妖師編
第14話 危ない日々
しおりを挟む八雲たちと別れて、カラコンを買って、家に帰って来るなり、母からの最初の言葉は
「連絡はもっと早くしなさいっ!」
だった。
どうやらかなり心配していたようで、咲磨はすぐにごめんなさいと謝った。
「はぁー、まあいいわ。今回は颯くんに免じて許してあげる。」
どうして颯?と疑問に思ったが、スマホに通知が入っていた。
『おばさんから連絡があった。とりあえず、俺のところで泊まってるって言っといたからな。これは貸一つだぞ。後でちゃんと説明しろよ。』
とのこと。
持つべきものは親友である。
咲磨はそれに猛烈に感謝した。
それから数日が経つ。特に代わり映えのしない休みを過ごし、学校が始まった。
何ら変わらないいつもの日常。変わったのは咲磨だけだ。
家族にも秘密にしているこの瞳。コンタクトが取れたら面倒なことになる。
変に気張らずにいこう、大丈夫、めったに取れることなんてないのだから。
だがそうはいかない。そういうときに限って、危険はたくさんあるのだ。
体育があった。それ自体は問題ない。だが種目はまさかのドッジボール。咲磨はあまり得意ではないものだ。
「大丈夫、大丈夫だ。顔面にさえ当たらなければ問題ない。」
「おい、咲磨。どうした?怖いぞ…。」
ブツブツと唱えていると、颯から軽く引かれた。解せぬ。
ついにその時はやってきた。
「よぉーし!準備はいいか!男子共ーー!!」
「「「「おーー!」」」」
「ドッジボール大会開幕じゃあーー!」
ホイッスルが鳴る。
咲磨は色々考えたが、早々に当たりに行くのが一番だと思った。
「よっしゃー!おい咲磨、覚悟しやがれ!」
ボールを取ったのは相手チーム。そして颯。
これはまずい。
(俺は颯のボールを受けきれたことが一度もない。)
それなら当たるだけでいいのだが、いつも受けようとして顔面にいくのだ。
なら受けなければいいのではと思うのだが、それは咲磨のポリシーに反するのだ。
考えても仕方ない。こうなったら
「逃げる!!」
「あ!テメー逃げんな!」
そうこれは作戦。颯はムキになって咲磨を狙う。そうして、咲磨を当てに行く。咲磨は受けることなく当たり、自尊心も守られる。完璧だ。
だがこういうときに限ってうまくいかない。
なんと颯は手が滑ってしまったらしく、そのボールは運悪くも咲磨の顔面付近に投げられたのだった。
「嘘だろ!?」
ーーーーードカッ
颯の豪速球が顔面を直撃する。
「いったー」
くない。あれ?痛くない。
急いで床を見る。幸いコンタクトは取れてなさそうだ。
「良かったー。」
「良くねえわ!大丈夫か!?悪い!手が滑っちまって。」
「んん?ああなんともねえよ。こんくらい。」
咲磨はへろっと言った。
颯はなにか言いたげだったが、まあいいかという感じで去っていった。
(けどなんで痛くなかったんだ?鼻血くらいでてもおかしくなかったのに)
(本当に危ない日々だ。こんなんで俺大丈夫かな?)
これからの先行きが不安になる咲磨であった。
「はあー危なかった。」
念のためと顔を洗いに行った咲磨は、鏡でコンタクトが取れていないかを確認する。
「こんなんじゃ心臓いくつあっても足りないな。」
咲磨は苦笑いをこぼす。
「君、妖なんだね。」
突然後ろから声が聞こえた。
咲磨は一瞬何を言われたか理解できなかった。体が硬直する。自分が妖。それは間違っていない。だがそれを知っているのは、人間の中ではまだ誰もいないはず……。
しかもこの声には覚えがある。同じクラスだ。名前も知ってる。
咲磨は恐る恐る振り返る。
少し長い前髪に黒い眼鏡。その下は端整な顔立ちがのぞく。
綾峯大和
彼がそこにいた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
月弥総合病院
僕君・御月様
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる