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第二章 滅妖師編
第17話 アルバム
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八雲への報告も終わり、家に帰った咲磨はある引っ掛かりを覚えていた。
それは綾峯大和のどこか必死そうな表情。
どこかで会ったような気がするのだ。そう、不思議と懐かしいような……
悶々と考えていたが、分からなかったのでとりあえずお風呂に入った。
風呂から上がり、部屋に行く途中、物置からガサガサと音が聞こえた。
覗いてみると、結子が何かを引っ張りでしている。錬もそこにいた 。
「母さんも錬も、何してるの?」
「あら?咲磨?アルバムの整理をしてるのよ。あなたと錬が小さかったときの。」
「僕はなんか手伝わされた。」
結子に見せられたのは、自分が保育園にいた頃の写真。運動会やお泊まり会に取られた写真が写っている。
懐かしいなと思いながら、パラパラとアルバムをめくっていく。
「じゃじゃーん!みてみて、咲磨が錬を抱っこしてる写真!」
「母さん流石にはずかしい、早く閉まって。」
錬はバッサリ言ったが結子は構わず咲磨にグリグリ押し付ける。
そこに写っていたのは緊張しながら、錬を抱いて笑っている自分の幼い頃の姿。
3歳差と言うことで自分一人では持てないので結子に支えられている。
この写真を取ったのは間違いなく父だ。
咲磨の家には父親がいない。咲磨が5歳の頃になくなった。原因は分からなかった。病気にもかかってなかったし、心臓発作が起きた様子もない。前日の夜までは元気だった。朝起きてくるのが遅いなと思って母が呼びに行ったら亡くなっていた。
結局死因は突然死となった。
結子はそれから女手一つで自分と錬を育てた。父が死んだとき、結子は25歳。たくさん苦労をかけた。錬はそんな母を見て、勉強を頑張った。高校は東京に行って、特待生で寮生活ができる、難関に進学する予定らしい。
それは3年後。咲磨は土地神になり、もう関わることができない。
……この期間は猶予期間。咲磨は一度心臓を射られて、死んだはずの存在だ。
本当なら咲磨がこうやって家族と一緒にいられること自体奇跡なのだ。
近いうちにまたこの家に重い空気が流れる。他ならぬ、自分のせいで。
やはり、家族には本当のことを伝えるべきだろうか。
黙りこくっていると、錬は訝しげに見ていたことに咲磨は気づかない。
シューッ
「ああ!いけない!やかんに火かけっぱなしだった!」
そういって結子はバタバタと階段を降りていった。
二人きりになって微妙な空気が流れる。
あまり錬と二人きりになることがなかった。大半錬は部屋にいて、勉強してるから。
「ねぇ兄さん。最近なにかあった?」
「へ?」
錬は静かな目をしていた。驚くほどに。
「雰囲気が変わった。思い詰めるようになった。急に黙ることが多くなった。」
驚いた。弟は自分のことを見ていないと思っていた。全然会わないから。
ちゃんと見ていたんだ。母のことも、自分のことも。
咲磨は泣きそうになった。この心の内を吐露したかった。一人で抱えたくない。
けれど、錬は信じるだろうか。現実主義者な錬はきっと妖の存在を信じない。まだ、伝えるべきではないのではないか。
「やっぱり、なにかあるんだね。」
沈黙を肯定ととったのか、錬は確信めいた声音だった。
「錬、これには深い理由がある。信じられないような現象が起こっているんだ。」
「そう。わかってるよ。まだ兄さんは話せる状態じゃなさそうだし、今は聞かない。けど、必ず教えてよ。………僕等は兄弟だからね。」
「………ん、ありがとう。錬。」
少なくとも今は錬の配慮に感謝した。
錬には伝えよう。ちゃんと……
「あらー?咲磨も錬もどうしたの?深刻そうな顔して。」
結子が帰ってきた。
「べーつにー?」
「そう?さあ再開しましょうか。」
それからは何もなかったかのように作業した。それほど多くない写真を見て、思い出を語る。幸せな空間だ。
最後のアルバムを開くと、5歳の頃のキャンプの写真があった。
保育園の行事で親も同伴する、一大イベントだった。父も参加していた。
そこで咲磨の手が止まる。
一つの写真から目が話せなかった。
それは、咲磨と男の子のツーショット写真。
その男の子はとても可愛らしい顔立ちで、涼やかな目をしていた。
ありえない、そんなわけないと思いながら、半ば確信を持って結子に尋ねる。
「母さん、この子って……」
「あら、その子は一時預かりだった子よ。咲磨に一番懐いていたじゃない。名前は……ほら、後ろに書いてあるわ。」
写真を裏返して、名前を見る。
ゆいづきやまと
綾峯ではない。しかし、これはあの綾峯大和だと確信する。
ならばどうして忘れているのか。咲磨はキャンプに行ったことはしっかり覚えている。しかし、大和のことは覚えていない。
普通ではありえないことなのだ。
疑問だけが咲磨の中に残った。
それは綾峯大和のどこか必死そうな表情。
どこかで会ったような気がするのだ。そう、不思議と懐かしいような……
悶々と考えていたが、分からなかったのでとりあえずお風呂に入った。
風呂から上がり、部屋に行く途中、物置からガサガサと音が聞こえた。
覗いてみると、結子が何かを引っ張りでしている。錬もそこにいた 。
「母さんも錬も、何してるの?」
「あら?咲磨?アルバムの整理をしてるのよ。あなたと錬が小さかったときの。」
「僕はなんか手伝わされた。」
結子に見せられたのは、自分が保育園にいた頃の写真。運動会やお泊まり会に取られた写真が写っている。
懐かしいなと思いながら、パラパラとアルバムをめくっていく。
「じゃじゃーん!みてみて、咲磨が錬を抱っこしてる写真!」
「母さん流石にはずかしい、早く閉まって。」
錬はバッサリ言ったが結子は構わず咲磨にグリグリ押し付ける。
そこに写っていたのは緊張しながら、錬を抱いて笑っている自分の幼い頃の姿。
3歳差と言うことで自分一人では持てないので結子に支えられている。
この写真を取ったのは間違いなく父だ。
咲磨の家には父親がいない。咲磨が5歳の頃になくなった。原因は分からなかった。病気にもかかってなかったし、心臓発作が起きた様子もない。前日の夜までは元気だった。朝起きてくるのが遅いなと思って母が呼びに行ったら亡くなっていた。
結局死因は突然死となった。
結子はそれから女手一つで自分と錬を育てた。父が死んだとき、結子は25歳。たくさん苦労をかけた。錬はそんな母を見て、勉強を頑張った。高校は東京に行って、特待生で寮生活ができる、難関に進学する予定らしい。
それは3年後。咲磨は土地神になり、もう関わることができない。
……この期間は猶予期間。咲磨は一度心臓を射られて、死んだはずの存在だ。
本当なら咲磨がこうやって家族と一緒にいられること自体奇跡なのだ。
近いうちにまたこの家に重い空気が流れる。他ならぬ、自分のせいで。
やはり、家族には本当のことを伝えるべきだろうか。
黙りこくっていると、錬は訝しげに見ていたことに咲磨は気づかない。
シューッ
「ああ!いけない!やかんに火かけっぱなしだった!」
そういって結子はバタバタと階段を降りていった。
二人きりになって微妙な空気が流れる。
あまり錬と二人きりになることがなかった。大半錬は部屋にいて、勉強してるから。
「ねぇ兄さん。最近なにかあった?」
「へ?」
錬は静かな目をしていた。驚くほどに。
「雰囲気が変わった。思い詰めるようになった。急に黙ることが多くなった。」
驚いた。弟は自分のことを見ていないと思っていた。全然会わないから。
ちゃんと見ていたんだ。母のことも、自分のことも。
咲磨は泣きそうになった。この心の内を吐露したかった。一人で抱えたくない。
けれど、錬は信じるだろうか。現実主義者な錬はきっと妖の存在を信じない。まだ、伝えるべきではないのではないか。
「やっぱり、なにかあるんだね。」
沈黙を肯定ととったのか、錬は確信めいた声音だった。
「錬、これには深い理由がある。信じられないような現象が起こっているんだ。」
「そう。わかってるよ。まだ兄さんは話せる状態じゃなさそうだし、今は聞かない。けど、必ず教えてよ。………僕等は兄弟だからね。」
「………ん、ありがとう。錬。」
少なくとも今は錬の配慮に感謝した。
錬には伝えよう。ちゃんと……
「あらー?咲磨も錬もどうしたの?深刻そうな顔して。」
結子が帰ってきた。
「べーつにー?」
「そう?さあ再開しましょうか。」
それからは何もなかったかのように作業した。それほど多くない写真を見て、思い出を語る。幸せな空間だ。
最後のアルバムを開くと、5歳の頃のキャンプの写真があった。
保育園の行事で親も同伴する、一大イベントだった。父も参加していた。
そこで咲磨の手が止まる。
一つの写真から目が話せなかった。
それは、咲磨と男の子のツーショット写真。
その男の子はとても可愛らしい顔立ちで、涼やかな目をしていた。
ありえない、そんなわけないと思いながら、半ば確信を持って結子に尋ねる。
「母さん、この子って……」
「あら、その子は一時預かりだった子よ。咲磨に一番懐いていたじゃない。名前は……ほら、後ろに書いてあるわ。」
写真を裏返して、名前を見る。
ゆいづきやまと
綾峯ではない。しかし、これはあの綾峯大和だと確信する。
ならばどうして忘れているのか。咲磨はキャンプに行ったことはしっかり覚えている。しかし、大和のことは覚えていない。
普通ではありえないことなのだ。
疑問だけが咲磨の中に残った。
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