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プロローグ
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「おじいちゃん、すごいね、これ」
「ゆっくり回してごらん。少しずつ変わっていくよ」
内部に鏡を張った筒を覗き込んで回し、着色されたビーズ等を見やる。それは万華鏡と呼ばれる代物だった。喜ぶ少女を側で見つめる彼女の祖父。少し距離を置いた場所で、当時八歳だった俺は、本を片手に窓から空をみつめていた。
ここは少女の祖父の研究室。祖父は研究者で、自身の開発で会社を立ち上げ一代で財を成した。現在も会長という肩書きで、研究に没頭していた。
「最初に覗いたとき、赤い光がみえたよ、あれってなに?」
「なんだろうね。大人になればわかるかもしれないね」
「今はわからないの? 変なの。でも、これはとてもキレイ」
やがて、少女の視線がこちらに向かってきた。咄嗟に俺は気づかないふりをした。関わるのが嫌だったから。
「キレイだよ、これ」
まもなく少女が万華鏡を差し出した。中を見ろということらしい。こんなものをみてどうなるのだと思いながら、彼女の祖父に視線を向けるも、彼は穏やかに微笑むだけだった。
無視するのもどうかと思い、受け取る。少女は反応を待っていた。期待を込めた眼差しが突き刺さり、仕方なく覗き込む。
赤い光が一瞬駆け抜けた後、着色された物体が移動し、さまざまな色や模様を描いていく。ただ回しているだけなのに、意外にも美しい図形が出来上がり、形を変え、消えていく。
「ね、面白いでしょ?」
俺は頷いた。誰かに意思表示をしたのは、とても久しぶりのことだった。
「ゆっくり回してごらん。少しずつ変わっていくよ」
内部に鏡を張った筒を覗き込んで回し、着色されたビーズ等を見やる。それは万華鏡と呼ばれる代物だった。喜ぶ少女を側で見つめる彼女の祖父。少し距離を置いた場所で、当時八歳だった俺は、本を片手に窓から空をみつめていた。
ここは少女の祖父の研究室。祖父は研究者で、自身の開発で会社を立ち上げ一代で財を成した。現在も会長という肩書きで、研究に没頭していた。
「最初に覗いたとき、赤い光がみえたよ、あれってなに?」
「なんだろうね。大人になればわかるかもしれないね」
「今はわからないの? 変なの。でも、これはとてもキレイ」
やがて、少女の視線がこちらに向かってきた。咄嗟に俺は気づかないふりをした。関わるのが嫌だったから。
「キレイだよ、これ」
まもなく少女が万華鏡を差し出した。中を見ろということらしい。こんなものをみてどうなるのだと思いながら、彼女の祖父に視線を向けるも、彼は穏やかに微笑むだけだった。
無視するのもどうかと思い、受け取る。少女は反応を待っていた。期待を込めた眼差しが突き刺さり、仕方なく覗き込む。
赤い光が一瞬駆け抜けた後、着色された物体が移動し、さまざまな色や模様を描いていく。ただ回しているだけなのに、意外にも美しい図形が出来上がり、形を変え、消えていく。
「ね、面白いでしょ?」
俺は頷いた。誰かに意思表示をしたのは、とても久しぶりのことだった。
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