天使と死神は恋をする(追憶のquiet特別番外編)

makikasuga

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奇跡の結末③

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 仕事に没頭していれば、余計な事を考えずに済む。書類の山があっという間に片づいていく。やはり他人に任せるより、自分でやった方が早い。

「どういうことだよ」
 桜井のところへ行ったはずのシラサカが、レイの側で仁王立ちになる。
「おかえり。終わったんなら、もう好きにしていいぞ」
「桜ちゃん、おまえにフラれたって言ってたぞ」
 この様子では、シラサカは桜と話をしたようである。レイは何もなかったかのように、パソコンに向かう。
「おまえはハナムラの情報屋のリーダーだろ」
「そうだ。だからこそ、これ以上、関わらせるわけには──」
「おまえは八年前と同じ、無力なガキのままなのか?」
 キーボードを叩く手が止まった。たまらずレイはシラサカを見た。
「それなりの地位も信頼も築いている。ボスでさえ、おまえには一目置いてんだぞ」
「何が言いたい」
 レイは苛立った。胸がジクジクと傷んで、溜まっていた膿が流れ出してくる。
「今のおまえには力がある。あのときのようなことにはならない」
 レイは立ち上がり、逃げようとしたが、行く手を塞いだのはマキだった。
「マキ、そこをどけ」
「桜ちゃんと過ごした時間、無かったことに出来るのか?」
 シラサカに問われ、レイは記憶を無くしていた三日間のことを思い起こした。自分が何者かわからず、不安で仕方なかった。そんなレイに手を差し伸べて笑ってくれたのは桜だった。
「最初は、彼女に優衣ちゃんを重ねていたかもしれない。だが、最後は違ったはずだ」
「うるさい、黙れ」
 レイは俯き、唇を噛みしめ、心の奥で叫んだ。

 もう二度とあんな目に遭いたくない。これ以上、傷つきたくねえんだよ。
 
「いつまで引きずってんのさ、らしくもない」
 両手がレイの両頬を叩く。衝撃に顔を上げれば、マキがまっすぐ自分を見つめていた。
「傷つくのが嫌なら、そうならないよう、護ればいいだけじゃん!」
 心を見透かされたことに、レイは動揺した。いや、こうなることがわかっていたから、マキには話せなかった。弱い自分を見せたくなかったから。
「ナオは帰ったけど、レイが来るまでひとりで待ってるって。早く行ってあげなよ」

 なんで来てんだよ、バカじゃねえの。

 苛立ちと嬉しさが入り混じって、レイはすぐさま駆け出した。
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