世界をとめて

makikasuga

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さよなら全回転

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 同じ頃、某所にて。

「そこまでして柳を生かしたいってか。健気なお嬢様だね、全く」
 浅田家に密かに取り付けた盗聴器によって、レイは麻百合と花梨の会話を聞いていた。
「おまえも大概悪趣味だな。そのお嬢様とやらは、今日明日の命なんだろ。そっとしといてやれよ」
 レイの向かいに佇む男は、長身でくっきりとした目鼻立ちをしていた。髪は茶色で瞳の色は青、年の頃は三十代半ば位。本人曰わくクォーターだという話だった。
「今日明日の命だから、てめえを呼んだんだよ、シラサカ」
「俺が言うのもなんだけどさ、これはマキの仕事じゃねえのかよ」
「マキは柳と鉢合わせたら絶対バラすって言ってんだよ。だから、仕方なくおまえを呼んだんだよ」
 仕方なくのところに、わざとアクセントをつけるレイ。
「ふーん、仕方なくねえ。おまえが誰かに執着するなんて初めてじゃねえ? けど、相手は男だろ」
 シラサカと呼ばれた男はからかうように言って、笑った。
「妙な誤解すんじゃねえ。おまえの耳にも入ってんだろ、これはボス直々の依頼で極秘案件だ。使えるものはなんでも使えと言われている。今回は金は一円も払わねえからな」
「人を金の亡者みたいに言うなよ。現状マキが使えないんなら仕方ねえか。特別に手を貸してやるよ」
「勝手に動くなよ。俺の指示に従え。それから、遅刻は一切認めねえからな。二十四時間待機で頼む」
「はいはい。レイ君の言うとおりにしますよ」
 シラサカは口笛を吹きながら、軽やかな足取りで去っていった。

「後はおまえが使い物になるかだぞ、柳。さっさとポンコツから卒業しろよな」
 パソコンが何台か置かれた机の横に、一枚の写真がピンで留められていた。そこに映っているのは学生姿で仏頂面の柳だった。
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