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次回予告「再会」
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花梨が死んだその日から、柳ことコウは、レイとマキが暮らす家に転がり込んだ。翌日からはマキの仕事に同行させられ、空いた時間には拳銃を撃つ訓練をさせられた。殺し屋としてのマキは非情で、相手が何を言おうが決して揺るがず、どんな言葉にも耳を貸さなかった。
「人は生きるためならどんなことだってするから。僕自身がそうだし」
自分が生きるために人を殺す。ターゲットはそれなりの悪事を働いてきた人間ばかりだったので、納得も出来た。
「この辺りから始めとかないね、元刑事さんには」
呼び方を聞いてきたくせに、マキは元刑事という肩書きで呼ぶことが多い。気まぐれにコウと呼んでくれたりもするけれど、それも仕方のないことだと思った。ここまできても尚、コウは人を殺めることに躊躇いがあったから。
それでも毎日は過ぎ去っていった。殺害現場にいることへの罪悪感も、血の臭いに酔うこともなければ、死体をみて動揺することもなくなっていった。
「だいぶ慣れてきたみたいだから、次のステップね」
そう言われて連れてこられたのは、マキとは違う殺し屋の現場だった。そこは控え目にいって地獄だった。密室の中に大量の血と事切れた人間が無造作に並べられている。
「前は掃除屋泣かせの酷い奴がいたんだよ。それに比べたら、全然マシだからさ」
マキはほぼ一発で仕留めていた。彼の技術がどれほど有能であるかを思い知らされた。
「今日はここで掃除の見学ね。僕もあんまり得意じゃないんだけど、元刑事さんのために、特別に付き合ってあげる」
殺せば終わりではないのだ。何もなかったかのように処理する人がいてこそ、仕事は成り立つ。そうでなければ、表の世界に知られてしまうから。
「そいつが噂の新入りクンか。マキが先生やってるって本当だったんだ」
やってきたのは、掃除屋と呼ばれる人達だ。マキに声をかけてきたのがリーダー的存在らしい。小柄だと思ったが、声色で女性だとわかり驚く。手袋とマスクとゴーグルで顔はよくわからないし、黒いビニール素材のつなぎの作業着のせいで体の線も隠されていたから。靴痕がつかないようにと、ビニールを被せるところだけは、刑事時代に経験があった。
「その子、譲ってよ。うちは人手不足なんだから」
「レイのお気に入りだから、あんまり絡まない方が身のためだよ」
「マジで!? レイのお気に入りなんてそうそういないじゃん。ますます萌える! 顔色真っ青で可愛いしー」
「うちも人手不足なのは変わりないって。それに、こいつの所属はまた別なんだよね」
そこに死体があることなど、彼らは気にも止めていない。平然と会話する様に違和感を覚えずにはいられない。
「そっか、残念。じゃあ、早速始めるかな」
その言葉を合図に、掃除屋が仕事を開始した。とても言い表せるものではなかった。あまりの衝撃に、コウの体は震え、すぐさま胃の内容物がせり上がってきた。口元を押さえ、目をそらそうとすれば、その手をマキに掴まれた。
「ここで吐いていいから、目をそらすな」
何度となく嘔吐した。体は震えっぱなしで涙も止まらなかった。何度も目をそらそうとしたが、その都度マキが止めた。
「掃除屋がいてこそ、僕達の仕事は成り立つ。自分は違うからなんて思うなよ。ハナムラの人間になった以上、人をバラすことは避けられないんだから」
無理だ、こんな世界で、俺は生きられない。
「死にたかったら死ねばいい。どっちにせよ、おまえはもう死んだ人間なんだから」
コウの心を読み取ってか、非情な宣告を告げるマキ。
そのまま最後まで見せられ、心をズタズタにされた。何もなかったかのような綺麗な部屋になったとき、それまでのことが悪夢だったのかという程の静けさに包まれた。
「じゃあ、今日の仕事はこれで終わり」
マキの声で緊張が解け、コウはその場に倒れた。
「逃げなかったことだけは、褒めてあげる。ゆっくり休みな、コウ」
嫌味でもなんでもなく、とても優しい声だった。
「人は生きるためならどんなことだってするから。僕自身がそうだし」
自分が生きるために人を殺す。ターゲットはそれなりの悪事を働いてきた人間ばかりだったので、納得も出来た。
「この辺りから始めとかないね、元刑事さんには」
呼び方を聞いてきたくせに、マキは元刑事という肩書きで呼ぶことが多い。気まぐれにコウと呼んでくれたりもするけれど、それも仕方のないことだと思った。ここまできても尚、コウは人を殺めることに躊躇いがあったから。
それでも毎日は過ぎ去っていった。殺害現場にいることへの罪悪感も、血の臭いに酔うこともなければ、死体をみて動揺することもなくなっていった。
「だいぶ慣れてきたみたいだから、次のステップね」
そう言われて連れてこられたのは、マキとは違う殺し屋の現場だった。そこは控え目にいって地獄だった。密室の中に大量の血と事切れた人間が無造作に並べられている。
「前は掃除屋泣かせの酷い奴がいたんだよ。それに比べたら、全然マシだからさ」
マキはほぼ一発で仕留めていた。彼の技術がどれほど有能であるかを思い知らされた。
「今日はここで掃除の見学ね。僕もあんまり得意じゃないんだけど、元刑事さんのために、特別に付き合ってあげる」
殺せば終わりではないのだ。何もなかったかのように処理する人がいてこそ、仕事は成り立つ。そうでなければ、表の世界に知られてしまうから。
「そいつが噂の新入りクンか。マキが先生やってるって本当だったんだ」
やってきたのは、掃除屋と呼ばれる人達だ。マキに声をかけてきたのがリーダー的存在らしい。小柄だと思ったが、声色で女性だとわかり驚く。手袋とマスクとゴーグルで顔はよくわからないし、黒いビニール素材のつなぎの作業着のせいで体の線も隠されていたから。靴痕がつかないようにと、ビニールを被せるところだけは、刑事時代に経験があった。
「その子、譲ってよ。うちは人手不足なんだから」
「レイのお気に入りだから、あんまり絡まない方が身のためだよ」
「マジで!? レイのお気に入りなんてそうそういないじゃん。ますます萌える! 顔色真っ青で可愛いしー」
「うちも人手不足なのは変わりないって。それに、こいつの所属はまた別なんだよね」
そこに死体があることなど、彼らは気にも止めていない。平然と会話する様に違和感を覚えずにはいられない。
「そっか、残念。じゃあ、早速始めるかな」
その言葉を合図に、掃除屋が仕事を開始した。とても言い表せるものではなかった。あまりの衝撃に、コウの体は震え、すぐさま胃の内容物がせり上がってきた。口元を押さえ、目をそらそうとすれば、その手をマキに掴まれた。
「ここで吐いていいから、目をそらすな」
何度となく嘔吐した。体は震えっぱなしで涙も止まらなかった。何度も目をそらそうとしたが、その都度マキが止めた。
「掃除屋がいてこそ、僕達の仕事は成り立つ。自分は違うからなんて思うなよ。ハナムラの人間になった以上、人をバラすことは避けられないんだから」
無理だ、こんな世界で、俺は生きられない。
「死にたかったら死ねばいい。どっちにせよ、おまえはもう死んだ人間なんだから」
コウの心を読み取ってか、非情な宣告を告げるマキ。
そのまま最後まで見せられ、心をズタズタにされた。何もなかったかのような綺麗な部屋になったとき、それまでのことが悪夢だったのかという程の静けさに包まれた。
「じゃあ、今日の仕事はこれで終わり」
マキの声で緊張が解け、コウはその場に倒れた。
「逃げなかったことだけは、褒めてあげる。ゆっくり休みな、コウ」
嫌味でもなんでもなく、とても優しい声だった。
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