僕は何で消しゴムなんだ!?

とももん

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逃げてみせる!

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 冷たい箱は空かない。暗くて思わず眠くなってしまうが、もし今寝てしまったらと考えると眠気が少し覚めた。
 どのくらいの時間が経ったのかは分からない。もしや一生この箱の中なのではと考えるとゾッとしてしまう。

 ずいぶんと長い時間が経った。ずっとこれからの事を考えていたらいきなり激しく揺れ始めた。体が箱にガツンガツンと当たって痛い。
(痛い、誰か助けてくれ!)
時々体が浮いたり、力で箱にベッタリとくっ付いたりもした。地震なのか分からないけどこの箱に入っているせいで確認出来ない。

 やっと揺れが収まった。もう体のあちこちがとてつもなく痛くてぐったりしてしまった。
(くそっ!やっぱりあの生物のせいだ!あの生物のおかげでこんなにも不自由なんだ!)
あの生物を強く恨んだ。そして殺意が込み上げてきた。復讐してやりたくなった。
(この箱から僕を出したのが最後だと思えよ!開けられた瞬間に反撃してやる!)
この声もきっと奴らには聞こえないと思うとなんだか虚しくて悲しくなる。でも本当に奴らが恨めしい。

 少しの時が過ぎて、箱がやっと開けられた。僕は直ぐに飛びかかろうとしたが、飛ぼうとした瞬間にまた箱が閉まってしまった。
(もしかして僕を恐れて監禁しているのか?そして監視をするためだけに一瞬だけ箱を開けたのか?)
もしそうならその一瞬に復讐したらいいんだ。さぁ、いつでも箱を開けろ!

 箱は思った以上に早く開いた。生物目掛けて飛びかかった。しかしふわりと掴まれて体を挟むように持たれて逆さまにされた。頭に血が昇ってしまいそうだ。
(やめろ!離してくれ!苦しいじゃないか!)
そんなふうに声を出しても聞こえていないのかやめなかった。そしてあろう事か僕の頭を紙の上に擦り付ける。ズリズリと音が立つ。辺りを見渡すと黒くなった僕の頭の皮が散っていた。
(この生物は僕の事をこんなに酷く使うのか。情なんてない生物なのか…可哀想に)
声に出したが力強く擦り付けられる。熱くて痛くてどうにかなりそうだった。

 ようやく擦り付けるのを辞めた。そしてまた箱に戻された。熱い頭に冷たい箱の感触が有難く感じてしまった。これからもこんなふうに擦り付けられていくのかと考えてしまう。考えたくはないが、きっとそうなのだろう。目なんて物はないけれど泣きたくなった。
(あぁ、僕は利用されるだけの道具なんだな)
そう考えて声に出すと余計に泣きたくなる。まだ生まれたばかりの筈なのに死ぬ事を考えさせられるこの世界は僕にとっては悪の世界のようにしか思えなかった。

 再び箱が開いた。体が条件反射で震えてしまう。そして案の定再び頭を擦り付けられる。熱くて痛くて今度は掴まれる力が強いから苦しさもあった。
 この時間は苦痛で仕方がない。やっと終わったと思ったら今度は箱に入れられなかった。その代わりに独特な匂いがする茶色い所に置かれた。模様から木の物なんだろう。
(ここは一体?)
 まさか拷問所なのかもしれないと思ったが、恐る恐る周囲を見渡した。

 すると僕によく似た者が擦り付けられている。なんという事だ。僕以外にも拷問を受けて使われていた者が居たなんて。この生物の無情さに嫌気がさす。
(おい!やめてあげろ!お前らがそいつの代わりに頭を擦ってみろ!)
自分の中で1番大きな声を出したつもりだったがやはりこの生物には全く聞こえないらしい。

それでも声を上げ続けた。1人でも多くの仲間(?)に痛い思いをさせたくなかった。こんな生物に屈したりなんてしないと自分に誓った。
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