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50話:愛する人のぬくもりを
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宮川高城は夜の街を歩いていた。
GE.HE.NA.に誘拐され改造され、強化衛士となった後、他言無用を条件に解放されたのだ。
実験施設からホテルまで送られて、高城は夜の街を見る。そこにはキラキラと明かりがついている。人が生きている証拠だ。わたしたちの守るべきものだ。
強化衛士はGE.HE.NA.から解放されても衛士として戦う者が殆どだという。それは自身の能力によって未来を決められているからか、それとも衛士だから強化対象として選ばれたのか。
「復讐しようとは、思わないのかしら」
宮川高城はGE.HE.NA.に体を改造されて、デストロイヤー化するリスクを負わされたが、それでも憎むことはなかった。それは高城が底抜けに優しいからという理由ではなく、単純に都合が良かったからだ。
『今流星の隣にいる』
それが宮川高城の望みだ。自分が死ぬのも、流星が死ぬのも許さない。そしてもし流星に別の誰かが入ることがおれば、高城は全力で排除するだろう。それが流星に嫌われるとしても、自分以外の誰かが流星の隣にいるなんて考えられなかった。
「前は余裕があった気がするのだけれど」
世界情勢は悪化している。
デストロイヤー大戦が勃発して半世紀、人類は勢力圏を奪われ続けている。新しい戦術や戦術機も開発されているが、それはその場しのぎに過ぎないレベルだ。
世界からデストロイヤーを消し去るのは不可能だと思っている。そもそも魔力によって物質が変化する性質上、どこに逃げても魔力が無くならないとデストロイヤーは生まれるのだ。
人類は進化してデストロイヤーと戦い続ける未来しかない。だがその前に、地球の資源を食い尽くして人類は滅ぶだろう。
勝てない戦い。
無限の消耗戦。
ネストの破壊すらまだ一度しかない。
それだって、横浜衛士訓練校の特殊な方法だって聞いている。
世界は破滅する。
なら、少しくらい好きに生きても良いと思わないだろうか?
本気で世界を救う気で強化衛士を増産するGE.HE.NA.のように、私も自分の為に、自分の欲望のために動いたって良いはずだ。
衛士としての大義も、人としての論理も、私は超越している。なんせ人間ではなくデストロイヤーなのだから。
強化衛士のリジェネイターで上半身を吹き飛ばされて再生した私は本当に人間と呼べるのだろうか?
人間を超えた存在だ。だから人間の法や論理に縛られる必要はない。欲しいものは手に入れる。どうせみんな死ぬのだ。幸せを願って何が悪い。
部屋の扉にノックが響く。
鍵を開錠して、扉を開ける。そこには不安そうな顔の流星がいた。
「流星ちゃん、大丈夫!? 傷が開いて病院に運ばれたって聞いたけど」
そうか、そういう話になっているのか。流星は優しい笑顔を浮かべて高城を部屋に招き入れる。
「入って。お茶でも飲みながらゆっくり話しましょう」
高城は流星の好きなお茶を用意して、テーブルに置く。
「結論から言うと平気よ」
「そう、よかった。いきなりいなくなるからばっかりしたわよ」
「私も意識がなかったから、なんとも言えないけど、ごめんなさい」
「あっ、高城ちゃんが謝ることじゃないよね。私こそごめんね」
高城は端末を取り出して、流星に見せる。
「これ、私の今の体。最近の医療技術はすごいわ。過去の傷も治せるのだもの」
「えっ!?」
流星は端末で高城のステータスを見る。そこには魔力の保有量や人体の情報などが細かく記載されて、その医療方法までしっかりと残っていた。勿論これはGE.HE.NA.の偽装工作だ。
強くなった高城が怪しまれない様に医療技術の発達で過去の力を取り戻したとバックストーリーを使ったのだ。
「これ、本当?」
「そうみたい。まだ実戦で試してないからわからないけど」
「そっか。高城ちゃんの体が治って良かったわ!」
本当に嬉しそうに笑う流星に、高城は少し残念に思う。あの傷が流星を負い目に感じさせているとしても、それによって流星を意識するならそれでも良かったのだ。
流星が好き。
流星を愛している。
流星と話したい。
流星に抱きしめてもらいたい。
流星を抱きしめたい。
流星の中で大切な存在でいたい。
流星の隣にずっといたい。
愛している。
愛している。
愛している。
この世で一番、今流星を愛している。
「ねぇ、流星」
「なに? 高城ちゃん」
「流星は、私のこと好き?」
「いきなり何!? いつもの冗談!?」
顔を真っ赤する流星だが、高城は静かに返答を待った。
「す、好きよ。大好き。世界で一番大好き」
心が満たされる。
泣いてしまいそうになる。
世界の破滅は間近で。
衛士という死が隣にあってもなお幸せを感じる。
この幸せを永遠に感じていたい。
時よ、止まれ。
「私も、流星のこと大好きよ。誰よりも、何よりも。そして私の流星の一番でありたいとも思う。少し意地悪な質問をするわ。聞いてもらえる?」
「う、怖いけど何」
「強いデストロイヤーがいて、勝てないとする。民間人を囮にして二人で逃げるか、一人を囮にして一人逃げるか、二人で戦って死ぬか、そんな状況になったら流星はどうする?」
その質問に流星は即答した。
「私が囮になって、民間人と高城ちゃんを逃す」
高嶺は目を瞑る。
「そう言うと思ったわ。でもね、流星。私は民間人を囮にして、二人で逃げたいと思うの」
「……うん、気持ちはわかるよ。でも私達は衛士でしょ? なら最後まで人々の為に戦わないと」
「本当にそんな必要ある? 助けられる命は助ける。けど自分の命を天秤にかけて、他者の方が重いのは違うと思わない?」
「それが衛士になった私達の選んだ道じゃない」
流星の視線が少し失望の色を見せる。それに高城の胸は締め付けられるが、高嶺は言う。
「責任とか、使命とか、そんなのどうで良いわ。私は叶星と一緒にいたい。ずっと一緒にいたい。衛士じゃなくても良い。ずっと朝起きれば流星がいて、夜眠るときは流星の顔が見れる生活を続けたい。私にとって一番大切なのは流星なの。だから、流星も自分を優先して生きて欲しい。生きて、私と一緒に生きる選択をしてほしい」
震えるような声で流星の手を握る。
その様子に流星は心配そうに高城を見る。
「どうしたの高城ちゃん。いつもの様子が違うわ。ちょっと休んだ方が」
「流星は、私と一緒にいる以外に大切なことがある?」
「高城ちゃん……」
「お願い、私を一番大切に思って。私が好きなら、私を以外の人を選ばないで」
高城も自分の精神状態がおかしいのは自覚していた。GE.HE.NA.による強化改造の弊害かもしれない。それか突然のことが起きて頭がパニックを起こしているのか。
私をみて。
私を愛して。
私を見捨てないで。
私と一緒にいて。
お願い。
お願いします。
私のことを愛してください。
私のことを好きでいてください。
大好きな貴方に、『高城ちゃんは世界で何よりも大切』とそう言って欲しいの。
わがままなのはわかっている。
自己中心的なのはわかっている。
頭がおかしいのはわかってる。
でもこの溢れ出る気持ちが止まらないの。
愛している。だから、貴方の愛も欲しいの。
「高城ちゃん、落ち着いて」
高城はいつのまにか泣いていた。ポロポロと涙をこぼしていた。流星は優しく高城を抱きしめて、頭を撫でる。ゆっくりと。落ち着かせる様に。
高城は叶星に抱きついた。
その温もりが心の棘を壊してくれる。
「何があったかわかんないけど、私は高城ちゃんのことが大好きで、どんな時も味方で、自分の半身の様に思ってる。だから、高城ちゃんとはずっと一緒だよ」
欲しかった。
その言葉が。
これからGE.HE.NA.による過酷な人生が高城には待ち受けているだろう。だが、その言葉があれば、立ち向かえる勇気が湧いてきた。
「高城ちゃん、愛してる」
「流星、私も愛している」
二人はお互いを抱きしめあって、唇が重なった。
GE.HE.NA.に誘拐され改造され、強化衛士となった後、他言無用を条件に解放されたのだ。
実験施設からホテルまで送られて、高城は夜の街を見る。そこにはキラキラと明かりがついている。人が生きている証拠だ。わたしたちの守るべきものだ。
強化衛士はGE.HE.NA.から解放されても衛士として戦う者が殆どだという。それは自身の能力によって未来を決められているからか、それとも衛士だから強化対象として選ばれたのか。
「復讐しようとは、思わないのかしら」
宮川高城はGE.HE.NA.に体を改造されて、デストロイヤー化するリスクを負わされたが、それでも憎むことはなかった。それは高城が底抜けに優しいからという理由ではなく、単純に都合が良かったからだ。
『今流星の隣にいる』
それが宮川高城の望みだ。自分が死ぬのも、流星が死ぬのも許さない。そしてもし流星に別の誰かが入ることがおれば、高城は全力で排除するだろう。それが流星に嫌われるとしても、自分以外の誰かが流星の隣にいるなんて考えられなかった。
「前は余裕があった気がするのだけれど」
世界情勢は悪化している。
デストロイヤー大戦が勃発して半世紀、人類は勢力圏を奪われ続けている。新しい戦術や戦術機も開発されているが、それはその場しのぎに過ぎないレベルだ。
世界からデストロイヤーを消し去るのは不可能だと思っている。そもそも魔力によって物質が変化する性質上、どこに逃げても魔力が無くならないとデストロイヤーは生まれるのだ。
人類は進化してデストロイヤーと戦い続ける未来しかない。だがその前に、地球の資源を食い尽くして人類は滅ぶだろう。
勝てない戦い。
無限の消耗戦。
ネストの破壊すらまだ一度しかない。
それだって、横浜衛士訓練校の特殊な方法だって聞いている。
世界は破滅する。
なら、少しくらい好きに生きても良いと思わないだろうか?
本気で世界を救う気で強化衛士を増産するGE.HE.NA.のように、私も自分の為に、自分の欲望のために動いたって良いはずだ。
衛士としての大義も、人としての論理も、私は超越している。なんせ人間ではなくデストロイヤーなのだから。
強化衛士のリジェネイターで上半身を吹き飛ばされて再生した私は本当に人間と呼べるのだろうか?
人間を超えた存在だ。だから人間の法や論理に縛られる必要はない。欲しいものは手に入れる。どうせみんな死ぬのだ。幸せを願って何が悪い。
部屋の扉にノックが響く。
鍵を開錠して、扉を開ける。そこには不安そうな顔の流星がいた。
「流星ちゃん、大丈夫!? 傷が開いて病院に運ばれたって聞いたけど」
そうか、そういう話になっているのか。流星は優しい笑顔を浮かべて高城を部屋に招き入れる。
「入って。お茶でも飲みながらゆっくり話しましょう」
高城は流星の好きなお茶を用意して、テーブルに置く。
「結論から言うと平気よ」
「そう、よかった。いきなりいなくなるからばっかりしたわよ」
「私も意識がなかったから、なんとも言えないけど、ごめんなさい」
「あっ、高城ちゃんが謝ることじゃないよね。私こそごめんね」
高城は端末を取り出して、流星に見せる。
「これ、私の今の体。最近の医療技術はすごいわ。過去の傷も治せるのだもの」
「えっ!?」
流星は端末で高城のステータスを見る。そこには魔力の保有量や人体の情報などが細かく記載されて、その医療方法までしっかりと残っていた。勿論これはGE.HE.NA.の偽装工作だ。
強くなった高城が怪しまれない様に医療技術の発達で過去の力を取り戻したとバックストーリーを使ったのだ。
「これ、本当?」
「そうみたい。まだ実戦で試してないからわからないけど」
「そっか。高城ちゃんの体が治って良かったわ!」
本当に嬉しそうに笑う流星に、高城は少し残念に思う。あの傷が流星を負い目に感じさせているとしても、それによって流星を意識するならそれでも良かったのだ。
流星が好き。
流星を愛している。
流星と話したい。
流星に抱きしめてもらいたい。
流星を抱きしめたい。
流星の中で大切な存在でいたい。
流星の隣にずっといたい。
愛している。
愛している。
愛している。
この世で一番、今流星を愛している。
「ねぇ、流星」
「なに? 高城ちゃん」
「流星は、私のこと好き?」
「いきなり何!? いつもの冗談!?」
顔を真っ赤する流星だが、高城は静かに返答を待った。
「す、好きよ。大好き。世界で一番大好き」
心が満たされる。
泣いてしまいそうになる。
世界の破滅は間近で。
衛士という死が隣にあってもなお幸せを感じる。
この幸せを永遠に感じていたい。
時よ、止まれ。
「私も、流星のこと大好きよ。誰よりも、何よりも。そして私の流星の一番でありたいとも思う。少し意地悪な質問をするわ。聞いてもらえる?」
「う、怖いけど何」
「強いデストロイヤーがいて、勝てないとする。民間人を囮にして二人で逃げるか、一人を囮にして一人逃げるか、二人で戦って死ぬか、そんな状況になったら流星はどうする?」
その質問に流星は即答した。
「私が囮になって、民間人と高城ちゃんを逃す」
高嶺は目を瞑る。
「そう言うと思ったわ。でもね、流星。私は民間人を囮にして、二人で逃げたいと思うの」
「……うん、気持ちはわかるよ。でも私達は衛士でしょ? なら最後まで人々の為に戦わないと」
「本当にそんな必要ある? 助けられる命は助ける。けど自分の命を天秤にかけて、他者の方が重いのは違うと思わない?」
「それが衛士になった私達の選んだ道じゃない」
流星の視線が少し失望の色を見せる。それに高城の胸は締め付けられるが、高嶺は言う。
「責任とか、使命とか、そんなのどうで良いわ。私は叶星と一緒にいたい。ずっと一緒にいたい。衛士じゃなくても良い。ずっと朝起きれば流星がいて、夜眠るときは流星の顔が見れる生活を続けたい。私にとって一番大切なのは流星なの。だから、流星も自分を優先して生きて欲しい。生きて、私と一緒に生きる選択をしてほしい」
震えるような声で流星の手を握る。
その様子に流星は心配そうに高城を見る。
「どうしたの高城ちゃん。いつもの様子が違うわ。ちょっと休んだ方が」
「流星は、私と一緒にいる以外に大切なことがある?」
「高城ちゃん……」
「お願い、私を一番大切に思って。私が好きなら、私を以外の人を選ばないで」
高城も自分の精神状態がおかしいのは自覚していた。GE.HE.NA.による強化改造の弊害かもしれない。それか突然のことが起きて頭がパニックを起こしているのか。
私をみて。
私を愛して。
私を見捨てないで。
私と一緒にいて。
お願い。
お願いします。
私のことを愛してください。
私のことを好きでいてください。
大好きな貴方に、『高城ちゃんは世界で何よりも大切』とそう言って欲しいの。
わがままなのはわかっている。
自己中心的なのはわかっている。
頭がおかしいのはわかってる。
でもこの溢れ出る気持ちが止まらないの。
愛している。だから、貴方の愛も欲しいの。
「高城ちゃん、落ち着いて」
高城はいつのまにか泣いていた。ポロポロと涙をこぼしていた。流星は優しく高城を抱きしめて、頭を撫でる。ゆっくりと。落ち着かせる様に。
高城は叶星に抱きついた。
その温もりが心の棘を壊してくれる。
「何があったかわかんないけど、私は高城ちゃんのことが大好きで、どんな時も味方で、自分の半身の様に思ってる。だから、高城ちゃんとはずっと一緒だよ」
欲しかった。
その言葉が。
これからGE.HE.NA.による過酷な人生が高城には待ち受けているだろう。だが、その言葉があれば、立ち向かえる勇気が湧いてきた。
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