83 / 114
スプリット撃滅戦①
しおりを挟む相棒となる金色一葉の評価はあまり知らないというのが正直なところだ。イェーガーで改革するとかなんとか。
しかし目立った戦績は無く、イェーガーのただのレギオンの隊長といった印象だ。血反吐を吐いても仲間を救うと言うのは良いものの具体案はないだろう。だが、撤退するのに耐えられないだけだ。
「時雨様、わたくしはどうしたら良いでしょう?」
端末を使って時雨に連絡を取る。
『もう作戦は瓦解した。航空爆撃で根こそぎ破壊する。全衛士に撤退命令を出した。君達も早く撤退を』
「待って、ください。私の仲間が、まだ!」
『君だけしか残ってないよ。コピリコは全滅してるだろうし、イェーガーは同士討ち、助ける価値がない。風間くん、君が彼女を連れて帰ってくるように』
「わかりました」
「待ってください! まだ戦っています! だから増援を!」
『却下だ。撤退するように』
それで通信は途切れた。
「ああ、あああっ!」
「一葉さん、撤退しましょう」
「そんな、見捨てて逃げるなんて」
「悔しいですが、このままだとわたくし達まで爆撃に巻き込まれてしまいます」
「くっ」
わたくしは一葉さんを支えながら拠点まで撤退しました。その途中のことでした。爆撃機と思われる飛行機が通り過ぎていったのです。
そして爆弾を投下して、その衝撃に備えましたがそれはきませんでした。なんと爆撃機が爆発したのです。ラージ級デストロイヤーによるレーザー攻撃ではなく、まるで自爆したような、内部からの破壊でした。
一葉さんの仲間は助かりましたが、同時に恐怖が襲いました。今回の作戦は未知のことが多すぎます。千香留の狂乱、結城霧香の暴走、ルドピコの分断、これには一つ共通点がありますわ。
そう、全てGE.HE.NA.が関わっている、という事です。イェーガーは親GE.HE.NA.ですし、コピリコは先日の東京防衛構想会議で話された時は衛士訓練校が壊滅するのにGE.HE.NA.が関わってると明言と謝罪していたのは記憶に新しいですわ。
真昼様がGE.HE.NA.と深い関わりがある以上、酷いことをしないとは思っていましたが、これはGE.HE.NA.と認定しても違いないでしょう。
かといって眞晝様の意思と考えるとそれも違うと思います。旧GE.HE.NA.、過激派残党、そういった存在の暗躍があるのでは、と予想します。
夕立時雨様は……正直、何を考えているのかわからないところが大きいですわ。真昼様を愛しているのは間違い無いですが、理性的であり、狂気的な、執念、そう言ったものを感じます。
シノア様は可愛い。あのクールなところや、お姉さまに尽くす姿はなんとも初々しくて……。
なんというか、面倒な事態になってしまいましたわね。さて、このお方を拠点まで運んだ事ですし、レギオンの方々と合流をしなければ。
とそこで端末に召集命令が下さられる。
わたくしはそれに従って、部屋に集まります。そこには梅様、胡蝶さん、葉風さんがいました。
「よー風間、お前も呼ばれたのか?」
「はい、梅様。皆さんもですか?」
「うん、そう」
「いきなり撤退命令が来て」
「ふーみんさんやミリアムさんがいないのが気になりますが、ヴァルキリーズのメンバーですわね」
「その通り、揃ったね」
部屋の奥に座っていた時雨が上品に飲みながら言う。
「まずは状況を説明しよう。第一の作戦、デストロイヤー誘引して撃滅する作戦は失敗した。という事で次の作戦になる。航空爆撃で地表ごとデストロイヤーを吹き飛ばす方法だ。しかしこれも謎の爆発事故によって爆撃機が大破。飛んでいるものも予備のものも全て破壊された。明らかに敵は人間だ」
しかし、と、時雨は言う。
「妨害があろうと無かろうとデストロイヤーを倒すのがぼくたち衛士の役割だ。犯罪者の相手は防衛軍に任せれば良い。という事で第三の作戦、少数精鋭による突撃を行い、コピリコとイェーガーを救出してデストロイヤーを破壊する」
「我々だけで勝てる戦力なのでしょうか? 他に適任がいるんじゃ」
「適任はいないよ、正直君達にも手が余ると思っている。しかし君達しか駒がない。お台場は戦術機が壊れ、他の衛士訓練校はデストロイヤーの殲滅で疲労困憊だ」
「それでは具体的な作戦を教えてもらえますか?」
「コピリコからの最後の通信でスプリットはダメージを受けると小型のスプリットを吸収して強くなると情報を手に入れた。そして今、小型のスプリットは全て駆除した。回収できる子機がないスプリットは容易く屠れるだろう。問題はその後だ」
「問題、というのは?」
「イェーガー」
端的に時雨様は言った。
「結城霧香と霧ヶ谷明日那の同士討ち。これをボクはデストロイヤーによる幻覚や催眠によるものだと思っている。それを前提で話を続けていく」
時雨様は優雅にお茶を飲む。
飲んでる場合ですの!?
「端的に言おう、対処法はない。各員の臨機応変な対応に期待する」
「は、はぁ!? 本気ですか!?」
「仕方ない、状況が全くわからないんだ。何故同士討ちになったのか、何故、金色一葉だけ逃げられたのか、そもそも敵はデストロイヤーなのか」
「そんなところに行かせるなんて」
「君達ならできるさ。頑張るように。以上、解散。リーダー兼司令塔は風間くんにやってもらうからそのつもりで」
「わかりましたわ」
「では、風間特務隊。無事の帰還を期待する」
部屋を出て、胡蝶はため息をついた。
「最悪」
「同意しますわ」
「だが、やらないとな。東京を落とさせるわけには行かない」
「他の衛士訓練校の人たちも助けたいです」
この任務はかなり危険だ。だからといって引くわけにはいかない。自分達の肩には東京と衛士訓練校の人々の命が乗っているのだ。
それぞれが戦術機や物資、装備品のチェックをしているところでガラリと扉が開いた。
そこには全身に包帯を巻いて、片目を隠した金色一葉が立っていた。
「風間さん、話は聞きました。私も連れて行ってください」
「足手纏いですわ。全身ボロボロ、片目は封じられている。そんな衛士を連れていったらわたくし達が迷惑を被ります」
「だとしても、です。涙を笑顔に変えんがため、衛士は大志を抱くのです。宿業は重いが、しかしそれを誇りへ変えます。私は必ずこの選択が世界を拓くと信じています。人々の幸福を、希望を未来を輝きを――守り抜かんと願う限り、私は無敵です」
「そんな精神論で」
バッと包帯を引っ張る。するとしゅるしゅる、しゅるしゅると包帯が解けていく。そして片目のガーゼを引き剥がす。そこには無傷の体があった。
「もう傷は治りました。これで、連れて行ってくれますよね」
「わかりました。ただしわたくしの命令には絶対従ってくださいな」
「ええ! 勿論!」
そうして、風間特務隊はデストロイヤーが潜む戦場へ突入した
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる