禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)

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「嫌だったのか?」

劣情に蓋をして、涙を拭いながら聞けば、アメデアは首を横にふり否定した。

「奥がっ、奥が疼いて。それなのにリュアオスさまは……その、あの……い、れてくださらなくて。魅力がないのかとか、やっぱり挿入は男の僕とでは嫌なのかとか」

「嫌なのではない。できるならそなたの中に俺をいれたい。だが……っ!?」

言葉がを言い終わる前にアメデアはリュアオスのまだ萎えていない男根を掴んだ。


「そ、それなら、いれてください。あなたの手で開かれた場所です。摘み取ってください」

アメデアはリュアオスに抱きつき腰を擦り付ける。

「どこでそんなことを覚えたのだ……ッ!」

アメデアはリュアオスと交際して見聞を広め耳年増となっていた。


リュアオスはアメデアを抱き上げた。

アメデアは浮いた状態になったが、尻にある男根に気付き腰を下ろしていく。

「ああ……はいって…っく」

「何を言っている、まだ先端しかはいっていないぞ」


リュアオスはアメデアの腰を持っておろした。

「ああっ——!!」

はじめての挿入にこの巨根は負担が大きく、裂けてしまうのではないのかと思う衝撃が走った。

なのに不思議と痛みよりも快感が勝る。


「きついな。なれるまでこのままでいるか?」

アメデアはリュアオスの首に抱きつきながら返事ができずにいた。

太く雄々しいものが腹を満たす。その充足感にはえも言えぬ多幸感を覚える。


「少し動くぞ」

「はいっ」

優しさからゆっくりと動かれているのに、焦らされているような焦燥感がわく。

思わず自分から尻をふると、リュアオスから驚いたような声がした。

「まったく、そなたはっ!」

リュアオスは笑って中のものを引きずり出してから、勢いよくさしこんだ。

「ああんっ!……やっ、はげしっ」


チカチカと火花がちる。

小さな孔を押し広げる痛みと中の疼きを解消する快楽が同時に押し寄せる。

「あっ……ああぅ。……はぁんッ、大きい……」

「煽り文句を覚えるとは。その可愛らしい口は塞いでおかねばな」

「ぅんんっ……ん……ッ!」

唇をあわせて舌を絡ませる。

嬌声はくぐもり、奥が切なくぎゅっとしまる。

「んん——―ッ!!」

アメデアが果てたのと同時に、中に温かな液がそそがれる。その異物感が心地よく溶けてしまいそうだった。


「どうだ、処女をちらした感想は」

リュアオスは自身を引き抜いて、力尽きたアメデアを抱き寄せる。

その瞬間、自分がリュアオスの服の上に精液をこぼしたことをしった。


「も、申し訳ありません。リュアオスさまに、あの、粗相をしてしまって」

服についた精液は冷たく青臭い。

頭が真っ白になった。

自分がはしたないお願いをして、彼の服を汚してしまったのだ。


「気にするな。服などただの飾りだ。普段は像のようなキトンを着ているしな」

リュアオスはアメデアの頬に口付けをして、一瞬にして姿を変えた。

その姿は村の小さな神殿にある神像のような装いになっていた。

その神々しさはこの世のものではなく、まさしく神そのものであった。


「それより、そなたがあんな可愛らしいおねだりをして、些細なことで涙を流すとは思わなかった。なんとも愛らしいことだ」

「あの、それは……」

アメデアは耳まで真っ赤になった。

まわりが「年長者」による指導がどのようなものであるかを話していることを側耳をたてて聞いていたのだ。だから、自分たちが少し違っていることが気になっていた。


「以前、そなたは権能はいらぬと言っただろう」

「え? ああ、はい」

突然、話題がかわり、アメデアはワンテンポ返事が遅れる。


「私がはじめて愛したのは神である貴方ではなく、リュアオスさまですから。超越した力ではなく、リュアオスさまの側にいたいです」

「それが嬉しくもあり、そなたを苦しめた」

なんの事だとリュアオスを見つめて首をかしげると、リュアオスは手の甲を指差した。

アメデアの右手の甲には不思議な痣のようなものができていた。

「これは?」

「俺の聖痕だ。これでも神であるからな、恩寵を受けた証ができてしまう。俺を愛するがゆえに権能を断ったと言うのに、そなたに与えてしまった」

すまないと謝るリュアオスをみて、きょとんとする。

特記して謝ることでもないだろう。恩寵を得て不利益を被るわけでもない。それに無理にお願いして抱いてもらったのはアメデアの方である。


「謝らないでください。貴方との繋がりが目に見える形になって嬉しいですよ」

リュアオスの頬に手を添えて、にこやかに笑った。

「だが、そなたは後天的に神聖力を手にしてしまった。体はそれを受け入れる器がないから、常に神聖力を使用せねばならない。しかも与えられたのが、俺の力ならば強大なものだ」


神聖力は先天的に宿っているものであり、神聖力の持ち主は神官などになるのが一般的だ。

アメデアは神聖力など持ってうまれていない。それが後から植え付けられた弊害がどのようなものなのかわかっていない。


「つまりどういうことですか?」

「そなたは意識しても無意識でもその力を使ってしまうだろう。それは時の英雄であったり、聖女などと呼ばれる存在になってしまう恐れがあるということだ」

そういわれてもアメデアにはさっぱりわからなかった。

この片田舎から出たこともなく、羊飼い以外の選択などなかったのだ。それが英雄だとか言われても実感もわかない。


「もてはやされるのならいいが、異端の力だと迫害されたり、他の神の目についたりするかもしれない。俺はそれの方がおそろしい」

「ならば、あなたの神官になればいいのでは。神官ならば異端者ではないですし、英雄となっても離れることはありませんし。もとより、貴方にこの身の全てを捧げたのですから」

アメデアはリュアオスの手を取って指先にキスをした。


そうして神聖力に目覚めたアメデアは片田舎の神殿に所属して、すぐさま類いまれなる能力によってすぐに中央神殿へと移った。

両親は不気味なほどすんなりと送り出してくれた。

こうしてアメデアは若くしてリュアオス神殿の最高峰である神官長になった。

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