上 下
25 / 114

第23話:接客業

しおりを挟む
「フ…フレイ」

「レイト…」


艶っぽい眼になったフレイが再び顔を近づけてきた
えっ…!またキスおかわり!?
ていうか『悪戯いたずら』って…
エルフ流のジョーク…なわけないよな

ど、どうしよう…
受け入れた方が良いだろうか?
考えている間にもどんどんフレイは近づいてくる

くちびるくちびるが触れる、あと1寸というところでバン!とドアが開いた


「曲者か!ここに忍び込むとは良い度きょ…
マミヤ殿!?フレイ殿!?」

「「え?」」


部屋の前に給仕服のナディアさんが突然あらわれた
やべぇ!
この体勢じゃ…!


「ほほぅ…
世の中この時間には働いている者が数多く居るなか、貴公らは秘密の逢瀬か?
随分と余裕があるのだな?」

ゴゴゴゴ!

ナディアさんはうっすら笑顔になり、『炎獣イフリート』の魔力マナを纏い始めた

ああああ!やっぱり誤解された!
なんでいつもこういう展開になんのよ!


「ち、違うわナディア!レイトは悪くないの!
これは私からキスを…ムグッ」


ちょぉぉぉ!?
余計なこと言うな!
俺は慌ててフレイの口を塞いでもう片手にエネルギーを集中させた


「あっ!待たないか2人とも!!」

ブン!

逃げるようにその場をあとにした
帰ってきたら絶対怒られるな…


☆☆☆


「ハア、ハア、危なかった…」

「まったく…
良いところで邪魔してくれたものだわ」


俺はフレイを連れて5区内の、以前セリーヌと待ち合わせに使った場所へ転移した
フレイは腕を組んで若干不機嫌そうに鼻を鳴らしている
誰のせいだと…


「あのなフレイ。
いくら悪戯いたずらつってもあれはやり過ぎだぞ?
この世界でもキ…キスって普通は恋人とか恋愛する時にやるもんじゃないのか?」

「あら、心外ね。
レイトだってルカとしてたじゃない」

「あ、あれはルカの『融解メルトロ』を発動するために必要なものだったみたいだし…」

「ふん、どうだか。
ルカはそれだけじゃなかったと思うけど」


フレイは俺の方へずいっと近づいた


「言っとくけど、私だって嫌いな男相手にキスなんてしないわよ?
それに、さっきのは私のファーストキス…
エルフの『初めて』はとても貴重なの。
光栄に思いなさい」


フレイは人差し指を俺のくちびるに当ててニィ、と歯を見せ不敵に笑った

ドクン

その表情に俺の心臓が跳ね上がった
や…やば、なんか今グラッと来たような…


「おーい!早く来てニャ~!」


聞き覚えのある声が後ろから聴こえてきた
セリーヌだ
ブルー・ベルの窓からブンブンと手を振っている


「ほら、何ボケっとしてんのよ?
行きましょう」

「あ、うん…」


☆☆☆


喫茶店に入ると、俺ら以外のメンバーは全員テーブルに着席して待っていた
マスターはカウンターに立っていて俺たちに紅茶を振る舞ってくれた

美味しい…


「シュバルツァー、先程はどうしたのだ?
大丈夫なのか?」

「ええ、もう大丈夫よ。心配かけたわね」


ルカがフレイに具合を訊くと、横からセリーヌがちょいちょいと指で小突いてきた


「レイト君、なんだか暗くないかニャ?
レイト君も調子悪くなったのニャ?」

「……今日帰ると鬼の総隊長殿が待ち構えてんだよ。
帰りたくねぇ…」

「???」


あ、嘘をついてしまった…
というより誤魔化してしまった
暗くなってるつもりではないが、さっきからフレイのあの表情が頭から離れない
くそ、これから仕事だってのに!


「さぁさぁ!
今日はアタシの依頼を受けてくれてありがとうね!
本当に助かるわぁ!」


マスターが俺たちのいるテーブルへ来て挨拶をした
よし、一旦気持ちを入れ替えよう!
お仕事モードになれ零人!


「水臭いニャ、マスター。
わざわざ依頼を出さなくても手伝ったニャ」

「うふふ、ありがとうねセリーヌちゃん。
でもそういう訳にはいかないわ。
ケジメってやつよ」

「へっ、あんた元傭兵なんだってな?
随分腕が立ちそうじゃねェか?」

「あなたはリックちゃん…だったかしら?
そして隣のあなたはシルヴィアちゃんね?
宜しくね2人とも」

「はい、こちらこそ宜しくお願いします。
本日は店番の依頼ということでしたか?」


リックとシルヴィアが挨拶を済ませると、マスターは頷いて依頼の概要の説明を始めた


「さっきリックちゃんが言っていた通りアタシは元『グリム・リーパー』の団長だったのよ。
今は引退したのだけれど、たまに応援を依頼されてね。
今回は『巨大鳥ロックバード』の討伐任務に助っ人として行くことになったのよ」


巨大鳥ロックバード』という名前にリックが反応を示した


「それだぜ!あいつ、食うと絶品なんだよ!」


リックは興奮気味に叫んだ
鳥の料理か
前にコカトリスの料理食べたけど、あれより美味しいのかな?


「ちょっとリック、後にしなさい。
それで、貴方がお店を留守にする間、私たちがスタッフとして働くということですか?」

「ええ、その通りよ。
本当は3人くらいでちょうど良かったんだけど、ここまで人数が集まってくれたなら役割分担を決めるべきね。
あなた達の中で接客業の経験ある人は?」


マスターの問いに俺、セリーヌ、シルヴィアが手を上げた


「それじゃあ、あなた達はウェイターをお願いするわね。
次はお料理係ね、経験のある人は?」


驚いた…リックが手を上げたぞ?
こいつ料理するのか?


「意外ね、あんた私と同じで生活魔法苦手だと思ってたけど?」

「一緒にすんじゃねェよ、デカキン。
これでも『竜の国ドライグ』の実家じゃあオレが炊事してたんだ」

「うふ、それなら安心して任せられるわね。
厨房はカウンターの後ろにあるわ。
ちっちゃいけど我慢してね♡」


マスターはリックに1冊のノートを手渡した
あれはレシピ本か?
字を読めなきゃ厨房はできねぇな


「さて、フレデリカちゃんとルカちゃんにはカウンターに立ってお茶を入れてもらうわ。
開店までまだ時間があるから制服に着替えた後、淹れ方の練習するわよ」

「了解だ」

「ええ…上手くできるかしら」


どうやらルカとフレイはバリスタをやるみたいだな
さすがにマスターの味を完コピするのは難しいだろうけど、お客さんが飲めれば良いことだ

がんばれ、2人とも

心の中でエールを送って、俺とリックは更衣室に向かった


☆☆☆


そして制服に着替えを終えると、軽くマスターからウェイターの説明を受け、すぐにルカとフレイの教育にかかった

ウェイターの俺たちがやることは、お客さんへの挨拶、席の案内、注文取り、テーブル席への配膳だ
うん、高校の時ファミレスでバイトしてた仕事内容と変わりないな

ウェイターとバリスタの制服は男女共通してマスターと同じデザインのようだ
ストレッチパンツにベストを組み合わせた、いわゆるソムリエスタイル

ちょいと動きにくいけど、闘うわけじゃないし別に良いか

リックの制服は衛生面に気を使ったデザインの服装で、一見ラーメン屋の店主と錯覚しそうな装いだった

変に貫禄あるなコイツ

開店まであと約1時間、そのあいだリックはレシピ本と在庫の食材を確認して、調理器具や食器の場所をセリーヌから教わっていた

ルカとフレイは今だにマスターの手ほどきを受けている
ルカはマスターから教わったとおりに紅茶を淹れているが、フレイはだいぶ苦戦してるようだ

大丈夫なのかな?

そんな2人の様子を眺めていると、シルヴィアが話しかけてきた


「レイトさんは接客の経験がおありなんですよね。
元の世界では給仕として働いていたのですか?」

「いや、ファミレス…レストランでバイトしてたんだよ。
小遣い稼ぎしないと欲しいもの買えなかったしな」

「そうなんですね。
それは…とても幸せなことです」

「幸せ?どういう意味?」


俺が問うとシルヴィアは少し俯き、自嘲気味に笑った


「私の故郷…『聖の国グラーヴ』はとても信仰が厚く、光に溢れている素敵な国なんです。
けど数十年前、紅の魔王によって、『武の国スマッシュ』は滅ぼされました。
その結果、私たちの国も深刻な打撃を受けたのです」


なんで『武の国スマッシュ』が滅びると『聖の国グラーヴ』に影響するんだ?

俺が問う前にシルヴィアは解を言った


「元々『聖の国グラーヴ』の財政はとても厳しく、国民は豊かな生活を送ることが難しかったのです。
それ故に、他の国から援助を受ける必要がありました」

「…なるほど、『武の国スマッシュ』は『聖の国グラーヴ』のケツ持ちだったってことだな?」


シルヴィアはコクンと頷き肯定した


「私の国では回復魔法に長けたものがたくさん居ます。
そして『武の国スマッシュ』は多くの武人、軍人が在籍している国です。
聖の国グラーヴ』は資金面の援助を頂く代わりに、私たちは『武の国スマッシュ』へ『回復術士ヒーラー』として人材を提供するという契約を結びました」


けど『武の国スマッシュ』は滅んでしまった…『聖の国グラーヴ』は元の財政に戻っちまったってことか

そうなるとシルヴィアが冒険者やってるのって…


「シルヴィアは家族のために冒険者になったのか?」

「はい、私には幼い弟がいます。
今は修道院に預けて、面倒を見てもらっていますが、なにぶん、修道院の運営費もかなり厳しいので…私が仕送りをしなければ子供たちは飢えてしまうのです」


クイッと眼鏡をあげると、決意の込めた強い表情になった


「しかし、あなた達の目的を聞いて新しい理由ができました。
紅の魔王を倒さなければ、修道院どころか『聖の国グラーヴ』ごと滅ぼされてしまいます。
そんなことは…断じて容認できません」

「ああ、そうだな。
いつか『聖の国グラーヴ』へ行くことがあったら、その修道院に連れてってくれよ。
ガキンチョ共にお菓子たくさん持ってからよ!」

「レイトさん…はい!
子供達も喜んでくれると思います」


シルヴィアは優しく微笑んだ
……こういう顔もするんだな

シルヴィアは知的なメガネ女子なんて思ってたけど、案外母性溢れる性格なのかもしれない


☆☆☆


「それじゃあ、アタシ行ってくるわね。
みんな、お店のこと頼んだわよ!」

「ガッテンニャ!
マスターも気をつけてニャ!」

「『巨大鳥ロックバード』食えんの楽しみしてんだからな、くたばんじゃねェぞムキオカマ!」


マスターはうふふと笑って店を後にした
ったく、リックは食い意地しか張ってないな今日


「さて、そんじゃあオレはこれから仕込みに入るぜ。
注文が入ったらデケェ声でオーダーしなァ」


リックはのっしのっしとカウンターの後ろの厨房へ入っていった
なんだあいつ今日は随分頼りになるじゃねぇか


「シュバルツァー、先程のレクチャーは頭に入ってるか?
もし分からないことがあれば私かモービルに訊くのだぞ?」

「うぬぬ…
なんであんたは初見でなんでもできるのよ!
ずるいじゃない!」


どうやらバリスタの方はルカがちゃんと覚えれたようだ
フレイのフォローもしてくれるみたいだし

カランコロン

店のドアが開いた
さっそくお客さんだな
どれ、久しぶりにバイトモード零人くんになりますか!


☆☆☆


「すみませーん!」

「はーい!ご注文は?」

「僕はハーブティーとオムライスで」

「私はヘルサティーとフワフワ卵サンドイッチをお願い」

「かしこまりしました!」


注文をメモ取り、ルカ達のいるカウンターへ移動する


「リック!
オムライス、フワフワ卵サンドイッチ一丁!」

「あいよォ!」

「こっちはハーブティーとヘルサティーだ。
頼んだぜ」

「了解。
シュバルツァー、次は君が淹れてみるか?」

「はぁ!?無理に決まってるでしょ!」


時刻は昼時、喫茶店ブルー・ベルはお腹を空かせたお客さんでいっぱいだ
最初は普通の一般のお客さんだけだったが、チラホラ冒険者の姿も見えるようになった

理由は言わずもがな、制服姿のルカがカウンターに立っているからだろう

オーダーを受けるとルカはテキパキとポットに絶妙な割合の茶葉を入れ、適度な温度の湯を注ぐ

そして、ドリップさせてティーカップに注ぐと、マスターが淹れたものと遜色ない一品を完成させていた


「ご注文の品だ。ゆっくりしていくと良い」

「は、はい!ありがとうございますっ」


極めつけはカウンターに座っていると直接ルカが出来上がった品を置いてくれるため、それを目当てにカウンター席は満席だ

意外にも女性客が多い

ソムリエスタイルのルカはかなりカッコよく、あのクールな接客に心を奪われる人は多いみたいだ

最初、バリスタチームは、手軽なティーパックを使用してお客さんに提供する予定だった

しかし、思いの外ルカの覚えが良く、マスターから教えられた事を全て覚えてしまったため、ルカは直接淹れることを許可された

フレイは『点火イグニ』で湯しか沸かしてないような…


「お待たせしましたニャ!
こちらエッグトーストとヘルサティー、『野菜人間マンカブー』のソテーとアイスミルクティーニャ!
ご注文は全部揃ったかニャ?」

「ありがとうセリーヌたん…ふぉぉぉ!
まさか今日、制服姿のセリーヌたんを拝めるとは!!」

「か、可愛い…
まさかこの店にこんな可愛いガトー族の子が働いてたなんて!」


そして、テーブル席の方はセリーヌが人気なようだ

天真爛漫にせっせと接客する姿は主に男性客が虜になっている
さすがここで働いた経験があると言っていただけあって、その動きに無駄がない
笑顔でキビキビと動きつつ、次々と客を捌いていく

……俺の世界の方のバイト先にセリーヌ紹介したら働かせてくれるかな…

久しぶりの冒険以外の仕事に馴染みを感じつつ、忙しくも充実した時間は過ぎていった


☆☆☆


そして、時刻は晩になり客足も徐々に落ち着いていった

テーブルとカウンター席を掃除したり皿洗いをしていると、フレイがぐったりとした様子でこちらへやってきた


「あの2人…
ルカとセリーヌなんであんなに動けるのよ…
普段の冒険より疲れたわ…」

「そうだな、でも俺はいちばん頑張ってたのはリックだと思う。
あいつ、ほぼ休みなしでオーダーされたもんぶっ続けて調理してたろ?
手際良すぎだぜ…」

「そう言われるとそうね…
ねぇ、レイトは元の世界に恋人いたことあるんでしょ?
その人は家庭的な女の子だったの?」


なんだ、いきなり話題変えてきたな
人の元カノなんて訊いてもつまんないだろうに


「うーん、別に家庭的じゃなかったけど…
なんでそんな事訊くんだ?」

「レイトの好みの子を知りたくなったのよ。
いけない?」

「へっ!?」


フレイは少し拗ねたような表情で俺をじっと捉えた
ま、まずい…朝のフレイとの1件を思い出してしまう


「おい、零人、何を遊んでいる?
さっきからモービルが呼んでいるぞ」


ルカの声でハッとする
そうだ今は仕事中だ


「じゃ、じゃあまた後でなフレイ!」

「あっ…レイト!もう…」


セリーヌが呼んだ場所へ移動する
ここは茶葉を保管している棚だ


「レイト君、ちょっと買い出し頼みたいんだけど良いかニャ?
明日の分の食材といくつか茶葉を補充したいのニャ」

「任せろ。どこに買いに行けば良いんだ?」

「あたしも一緒に行くニャ。
レイト君には荷物持ちと転移テレポートをお願いしたいニャ」

「おっけー。それじゃあ行こうか」


☆☆☆


暗くなった夜道を俺とセリーヌは歩いている
目的の店は2区にあるそうだ
前に『マミヤ邸』に引っ越した時にご飯を食べに行った地区だ
忙しさから解放されて少し微睡んで歩いていると、セリーヌが唐突に聞いてきた


「ねぇ、レイト君。
フレイちゃんと何かあったのニャ?」

「うぇっ!?な、何もないが?」

「嘘ニャ。あたし、人間が嘘ついていると直感で分かるニャ」

「はあぁ!?」


マジかよ!
なに、これからセリーヌの前じゃ隠し事できないってこと!?
迂闊なこと喋れなくなったじゃねぇか…


「まぁ、それは冗談ニャ。
それで何があったのニャ?
お姉さんに話してみるニャ」


…ブラフか!
クソっ、嵌められた
俺は観念して今朝あったことをセリーヌに伝えた


「ほへ~。
意外とフレイちゃんって大胆なのニャ」

「ああ…
あいつのアプローチがとにかく凄くてさ。
別に告白されたわけじゃないから、どう対応したら良いのか分からないんだ」

「うーん、人間の恋愛は理屈だらけで難しいのニャ。
だから、『妖精猫ケット・シー』のあたしがアドバイスするとしたら、これしかないニャ」


セリーヌはトトトと俺の前に来て指を差した
その先は…俺の下半身、つうか股間だった


「男なら本能に従え!ニャ」

「それただのクズだろ!?」


俺が突っ込むと、セリーヌはニャハハと笑った


「恋愛なんてものは所詮、人間が子作りするための過程に過ぎないのニャ。
男はできるだけ子孫を残すために多くの女を口説く。
女は優秀な子種を得るために男を吟味する。
フレイちゃんはきっと本能的に、レイト君の事を優秀な子種の持ち主と判断したのニャ。
だから、レイト君も己の欲望に忠実に生きるのは何も恥ずかしいことじゃないのニャ」


セリーヌ!?
妙に説得力あるな!
魔物ゆえの理屈なんだろうか…


「だけどなぁ…ん?『子作り』?」

「レイト君?」


なんだ?
なにか今思いつきそうな…
その時俺の脳裏にルカとの会話が思い出された


-契約者の種族によって形態は変わる-

イザベラ戦が終わった後、人間形態になったルカに色々質問した

「でもなんで契約者によって姿が変わるんだ…?」

「分からないのか?」

「え?う、うん」

「本当に?」


分からないと言うとルカはちょっと怒ったような様子になった

まさか…宝石スフィアが契約者と同じ種族になる理由って…!


「わ、分かった!!分かったぞセリーヌ!」

「???よ、良かったのニャ?」


セリーヌのおかげで、フレイとはまったく別件の謎が判明してしまった
俺の考えが当たっていれば衝撃の事実だ


「ありがとなセリーヌ!
お陰でスッキリしたぜ!」

「ま、まさか今夜いきなりフレイちゃんと子作りする気なのニャ!?
さすがにそれは急すぎるニャ!」


セリーヌは大慌てで俺にしがみついた
な、なんでそうなる!?

ギャーギャーと騒いでいると目の前に外套を被った人が歩いてきた
いかんいかん、他の人に迷惑だ


「ほら、ロリバ…セリーヌ。
人が来てる危ないぞ」

「今あたしのことロリババアって言いかけたニャ!?」


さらに暴れようとしたセリーヌを脇に抱えて道を空けた
するとフードの人物は俺の横を通り過ぎ…ずに、ピタッと歩みを止めた


「あの…?何か?」

「………キミがマミヤ・レイト君かい?」


女の人の声だ
どうやら俺を知ってるみたいだな


「はい。あなたは?」


俺が問うと、バサッと女はフードを外した

深緑色のパーマがかったヘアスタイルが露わになった


「ボクはモネ・ラミレス。
キミに逢えるのを心待ちにしていたよマミヤ君」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄であなたの人生狂わせますわ!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,519pt お気に入り:49

突然の契約結婚は……楽、でした。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:86,600pt お気に入り:2,474

ヒヨクレンリ

恋愛 / 完結 24h.ポイント:440pt お気に入り:884

悪役令嬢の慟哭

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:468pt お気に入り:188

【R18】【続編】彼の精力が凄すぎて、ついていけません!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:15,756pt お気に入り:298

ちょっと復讐してきます。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:234pt お気に入り:33

転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7,582pt お気に入り:23,936

処理中です...