七不思議をつくろう

真山マロウ

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第一の不思議

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「すごいね、七不思議」
「ありがと。今のところトラブルとかもなくて助かってるよ」
 動画投稿から一週間ほどたった昼休み。スマホと向きあう響子を安堵のうちに眺める。

「誰にも見られず願いごとしながら学校のトイレを綺麗にすると金運あがるらしい、か」
「内容が明るめだから別の部分でダーク要素だすっていう折衷案になって」
「いいんじゃない? あたし好きだけど」

 結論からいえば福谷さん一押しのトイレ開運案は、ひとまずの成功をおさめた。

 投稿当初はさほど注目されず、コメント欄も冷やかしめいたものばかり。けれど、そのうち『バイトの時給アップした』や『臨時収入あった』などが目につきだしてからは、再生回数が増えるほど各階のトイレがピカピカになり、美化委員会のみならず教師陣にも好評となっている。

「にしても、うまいことやったね」
 スマホをこちらに向け、響子が声をひそめる。画面の中の〈もう一人の自分〉に苦笑い。

 あの日、私が提示した条件は「素性がバレないようにできるなら」
 それを聞いた夏木くんは「俺に考えがある」と不敵に笑い、てきぱきと段取りをつけ、あっという間に私を〈七不思議を紹介するゴスロリさん〉に仕立てあげた。

「福谷、母ちゃんがゴスロリで、こないだ双子コーデしたんだろ? メイクとかできるか?」
 数日前の雑談でそれを知ったらしい夏木くんは彼女に衣装とヘアメイクを担当させ、続いて、

「小論文、得意だっけ。中垣が喋るやつ短くてわかりやすいの頼む」
「そういやUFO撮る用のカメラ買ったって言ってたよな」

 と義井くんに原稿、志倉くんに撮影と編集を割りあてるというリーダーシップを発揮した。なんとも頼もしいかぎりだったが、そこまでしておきながらリーダー代わってくれないのは解せないよ。

「この調子で頑張れ、あと六個」
「六個……」
 脱力していると、教室の端から暇を持てあました男子たちのヤジが届く。
「中垣、動画バズってんじゃん」
「あのゴスロリちゃん知りあい? 今度紹介してくれよ」

 素性がバレてないのはなによりだけど、
「変人集団に染まりすぎんなよー」
 ってのは、なんかむかつく。たとえ悪気なく言ったんだとしても。

「よし。つくるよ、あと六個!」
 揶揄は無視。息まいて響子に宣言。
「じゃあ応援がてら、いいね押しとくわ」

 ハートマークが色づくと、心の真ん中が弾むようにむずついて、じっとしていられなくなった。
 どうしてそうなるのかは、まだわからないまま。
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