七不思議をつくろう

真山マロウ

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第一の不思議

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「それで原因なに? 七不思議のやつ」
 翌日の昼休み。一足先にお弁当を食べおえた響子が尋ねてきた。
「栞里って、途中で投げだすタイプにも見えないんだよね」

 意志の強さを宿す、一途なまなざしの前にあっては隠しごともままならない。観念して打ちあける。響子は瞳を軟化させて笑った。

「やってみれば。楽しそうじゃん」
「やだよ。悪い未来しか見えない」
「そう? 少なくとも私は、それで栞里のことバカにしたり嫌ったりしないけど」

 嘘をついているようには見えないのに、まるっきり信じることができない。そんな自分の臆病が、うしろめたくて情けない。

 放課後。理事長室に行くのは昨日会いそびれたからだけじゃなく、担任経由で呼びだされたせいだ。

「しおちゃん、七不思議やめたい?」
 夏木くんから事情を聞いたらしい理事長が、お茶をふるまい単刀直入。答えあぐねる私を安心させるべく、柔らかく表情をくずす。

「やめていいよ。無理しないで。でも、この機会に夏と友達になってくれると嬉しいな。ちょっと目つきがキツイだけで、とても素直ないい子なんだよ」
「もしかして、それが今回の本当の目的だったりしますか」
「それもある、けど」
 手の中の湯のみに視線を落とし、理事長が続ける。

「高校卒業すると、なんか急に大人みたいになるんだよね、みんな。だから、今のうちに学生っぽい思い出づくりしてほしかったんだ。あ、そうじゃなくても七不思議は我が校にあればいいと思ったんだけどね。おもしろそうだし」

 いつもどおりの笑顔なのに、どこか寂しさがにじむ。
「僕の独りよがりだったのかなぁ」

 落とされた呟きが耳に残り、帰路につくはずだった足が方向転換、例の教室にむく。ちょっと遠目に様子を。……のつもりが、あまりの状態に見いってしまう。四人ともがそっぽを向き、暗い顔で沈黙。陰惨な空気が教室中にたちこめていた。

「なにやってんだよ」
 動けずにいた私に気づき、不意に夏木くんが声をかけてきた。正気づいた三人がこちらをふり向く。迷子にでもなったかのような心細い瞳。それらと視線がかちあった瞬間、響子の励ましや理事長の弱音、さまざまなものが胸にせまった。

 予定していた投稿動画は映像プラットフォーム用ので、ものの一分。
 人生のうちの、わずか一分。
 けれども、今後を左右しうる、大切な一分。

「もしも……」
 考えるよりも先に口が動く。
 たった一人、動じていなかった夏木くんの目に、きらりと光がほのめいて見えた。
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