七不思議をつくろう

真山マロウ

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第二の不思議

思いもよらない流れ

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 あられもなく狼狽してしまい、全員の注目をあびる。ゴスロリの正体を知らない江藤くんには、とりわけ不自然に映ったのだろう。心の奥まで暴かれそうなほど、じいっ見つめられる。

「えっと、それは今日じゃなくても無理じゃないかな。彼女的に事情がありそうだし……」

 強引かつ曖昧な言い訳。聞くなり、江藤くんは、
「どういうことだ、大丈夫だって言ってたのは嘘だったのか!」

 憤然と詰めよられるも、夏木くんは焦りもしない。
「たぶんって言ったろ」
「そんなあやふやな!」

 そこに、すかさず福谷さんが、
「ほかの子じゃダメですか? ゴスロリ嬢の知りあい何人かいます。そのなかから選んでみてはどうでしょう」

「だめだ、彼女以外は考えられない! あの独特の空気感、画面越しにも伝わる心の闇、彼女だからこそ創作意欲をかきたてられるんだ!」

 心の闇……。私、そんなもの出してたのか。画面の向こうに届くほど。

 無意識のやらかしに落ちこむそば、今度は志倉くんが説得にかかる。
「熱意はわかった。が、なにぶん本人に話がとおっていない。協力してもらう側なのにこんなこと言うのは申し訳ないが、明日まで返事を待ってもらえないだろうか」

「それは構わないけど」
「ただし、モデルの確約はできない。彼女は善意で俺たちに協力してくれている。本人の意思を尊重したい。その場合、こちらも美術室の七不思議からは潔く手をひく」

「……わかった。俺も、むちゃを言いにきたわけじゃない。でも、中途半端な気持ちで頼んでいるわけじゃないのを、くれぐれも伝えてほしい。よろしく頼む」
 深々と頭をさげ、江藤くんが去る。静けさをとり戻したところで、志倉くんが夏木くんに、

「動いてもらったのに悪いが、別の案に変更しないか。モデルの件は言わずもがな、部の宣伝も、やったとしても入部希望者が増えるとは限らない」
「じゃあ、美術部が潰れるの黙って見てんのかよ」

 ぴきん、空気が張りつめる。このまま喧嘩に突入されるのは勘弁してほしい、と誰もがハラハラしていたところ、背後から「すみません」と声がかかった。

 ふり返ると、出入口にいたのは見慣れない女子生徒が。
「あの、七不思議をつくってる先輩方ですよね」
「そうだけど、なんの用だ」

 夏木くんに見すえられ、彼女の小柄な体がびくっと震える。それから「あの、あの……」と何度も言いためらったのち、
「美術室の七不思議、やめてください!」
 言い終えたとたん、わっと泣きだしてしまった。
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