七不思議をつくろう

真山マロウ

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第二の不思議

事情の真相

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「美味しいね。僕、こういうの初めて食べるよ」
「私もです。大変美味です」
「作りたてだと皮がパリパリだね」
「手間はかかっても、その価値はある」
「ここの店、どら焼きも美味えんだよ。次はそれにしてもらうか」

 理事長のさしいれを、みんなで囲む。本日は有名和菓子店のもなか。あんこと皮が別になっていて自分で作って食べる仕様だ。

 毎度いただくお菓子は、我が家では常備されないようなお高めのものばかり。これが食べられるだけでも集まりに参加する価値があると思ってしまうあたり、私もすっかり餌づけされてしまった。夏木くんのこと、どうこう言えないなぁ。

「私も食べてよかったんですか……?」
 私と義井くんに挟まれ、自己紹介をすませた彼女が遠慮がちな視線をよこす。一年の花岡はなおかさん。美術部所属。つまり、残りのもう一人だ。

「いいの、いいの。こういうのは、みんなで食べたほうが美味しいから」
「ありがとうございます」
 ふんわり、愛らしいほほえみ。だいぶ気分も落ちついたようだ。

「ごめんね。美術室の七不思議、部活の邪魔になるかな?」
 刺激しないよう、やんわりとした口調を心がける。花岡さんは伏し目がちになり、
「そういうわけじゃないですけど……」
「もし迷惑なら別のにするよ、全然」
 そうすれば私も絵のモデルしなくてすむし、願ったり叶ったりだ。

「もし、あのゴスロリさんが、絵のモデルを断ってくれるなら」
 か細い声。それは瞬く間、夏木くんにかき消される。
「無理だ。江藤は、その条件だけは絶対に譲らない。あいつの頑固さは俺よりもわかってんだろ」

 会話のとき、夏木くんは相手の目をまっすぐ捉える。慣れていないと、睨まれていると誤解しかねない。案の定、花岡さんは怯えて涙目だ。

「そもそも、なんで嫌なんだよ。宣伝もモデルも、美術部のプラスになるだろ」
「あの、それは、ええと……部長はずっと風景画を描いてきました。だから人物よりも、そっちのほうが絶対にいいと思って」
「なにを描くかは、江藤が決めることだろ。あいつがそうしたいって言うなら、させればいいじゃねえか」

 気炎をはく夏木くんに対し、それでも花岡さんは果敢に立ちむかう。
「だったら、せめてモデルを、ほかの人にしてもらうとか」

 なんて素敵な提案をしてくれるんだろう! 私は大賛成!
 さっそく応援にまわろうと決意。が、その矢先、夏木くんがさらりと、とんでもないことを口走った。
「もしかして花岡、江藤のこと好きなのか?」
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