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第三の不思議
本音は
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「私が暴走したら、なにがなんでも止めてね」
放課後。響子のアドバイスどおり、みんなにお願いする。
「必要があれば」「任せてください」「でも中垣さんなら心配ないと思うよ」「だよな」「ですよね」
志倉くん、福谷さん、義井くん、三人とも私に甘すぎる。なぜ。しかも期待できそうな夏木くんは気のない相槌で、おやつに夢中。私の真剣な訴えより、焼きドーナツのほうが大事なのか。
不安と不満のいりまじるなか、呼びだしに応じてくれた実森さんが到着。きっかり時間どおり。すっぽかしたりしないのは、根がまじめな証拠だろう。
「七不思議の件はキャンセルをお願いしたはずですが」
入室するなり、とげとげしいセリフ。福谷さんが迎えうつ。
「随分な言い草ですね!」
「でしたら『この度は大変申し訳ございませんでした』……これで気がすみましたか」
「なんですか、その態度は!」
「おい、やめとけ」
志倉くんが制した隙、今度は夏木くんが。
「卒業まで何か月っすか」
いつも突然、話題を変える。しかも謎な方向に。
「あと九か月くらいですね」
実森さんは不審がるでもなく素直に答えた。じき梅雨入り。今日も小雨がぱらついて教室内は薄暗い。
「部活の引退はもっと早いっすよね。夏くらいすか」
「ですね」
「焦ってんすか。なんにもないから」
「……どういう意味ですか」
「学生生活。なんもないっすよね。友だちも思い出も」
二人が黙ると、すべての音が消える。汗がじっとり背中ににじむのは湿気だけのせいじゃない。
「そんなの、言われなくてもわかってる」
息苦しい静寂を実森さんが破った。
「僕は他人とうまく関われない。努力したって、から回る。これ以上どうしろっていうんだよ」
言葉づかいが、がらりと変わる。こっちのほうが素の実森さんなのかもしれない。
「共感しかない!」
誰もが言葉を返さずにいたなか、義井くんが声をあげた。
「ほんとに、どうすればいいんだろうって思います、人と仲くなる方法。いろいろ調べて実践してみても全然うまくいかないし」
熱っぽい語りと裏腹、聞く側の実森さんの表情は冷ややかだ。
「どこが。こうして仲間もいる。猶予期間もある。なにもかも僕とは違う。もうほっといてくれ」
ひりつく空気。なげやりに吐きすて出ていこうとした背中を、夏木くんが呼びとめる。
「それでもまだ諦めてないんなら、そのつもりで動きます」
たくらむように瞳が光った。こんなふうに笑うときは、いい考えが閃いたしるしだ。
放課後。響子のアドバイスどおり、みんなにお願いする。
「必要があれば」「任せてください」「でも中垣さんなら心配ないと思うよ」「だよな」「ですよね」
志倉くん、福谷さん、義井くん、三人とも私に甘すぎる。なぜ。しかも期待できそうな夏木くんは気のない相槌で、おやつに夢中。私の真剣な訴えより、焼きドーナツのほうが大事なのか。
不安と不満のいりまじるなか、呼びだしに応じてくれた実森さんが到着。きっかり時間どおり。すっぽかしたりしないのは、根がまじめな証拠だろう。
「七不思議の件はキャンセルをお願いしたはずですが」
入室するなり、とげとげしいセリフ。福谷さんが迎えうつ。
「随分な言い草ですね!」
「でしたら『この度は大変申し訳ございませんでした』……これで気がすみましたか」
「なんですか、その態度は!」
「おい、やめとけ」
志倉くんが制した隙、今度は夏木くんが。
「卒業まで何か月っすか」
いつも突然、話題を変える。しかも謎な方向に。
「あと九か月くらいですね」
実森さんは不審がるでもなく素直に答えた。じき梅雨入り。今日も小雨がぱらついて教室内は薄暗い。
「部活の引退はもっと早いっすよね。夏くらいすか」
「ですね」
「焦ってんすか。なんにもないから」
「……どういう意味ですか」
「学生生活。なんもないっすよね。友だちも思い出も」
二人が黙ると、すべての音が消える。汗がじっとり背中ににじむのは湿気だけのせいじゃない。
「そんなの、言われなくてもわかってる」
息苦しい静寂を実森さんが破った。
「僕は他人とうまく関われない。努力したって、から回る。これ以上どうしろっていうんだよ」
言葉づかいが、がらりと変わる。こっちのほうが素の実森さんなのかもしれない。
「共感しかない!」
誰もが言葉を返さずにいたなか、義井くんが声をあげた。
「ほんとに、どうすればいいんだろうって思います、人と仲くなる方法。いろいろ調べて実践してみても全然うまくいかないし」
熱っぽい語りと裏腹、聞く側の実森さんの表情は冷ややかだ。
「どこが。こうして仲間もいる。猶予期間もある。なにもかも僕とは違う。もうほっといてくれ」
ひりつく空気。なげやりに吐きすて出ていこうとした背中を、夏木くんが呼びとめる。
「それでもまだ諦めてないんなら、そのつもりで動きます」
たくらむように瞳が光った。こんなふうに笑うときは、いい考えが閃いたしるしだ。
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