31 / 65
第四の不思議
むちゃぶり三昧
しおりを挟む
「いいよなぁ、羨ましいよなぁ」
どれだけくり返せば気がすむんだろう。さすがに、うんざりしてきた。
いまや日課となってしまった、さしいれおやつの受けとり業務。たいていは五分そこらで退散するけど、今日はどうしてもと懇願され着席することにした。
美味しい紅茶をふるまわれてしまった手前むげにもできない。とはいえ、みんなを待たせてしまっている。早く戻らないと。
「それで、お話ってなんですか」
リピート再生を中断、理事長がティーカップをおく。丸っこい二重の目がまっすぐに私を見つめた。
「次の七不思議、決まった?」
「まだですけど」
「じゃあさ、僕のつくってよ」
「……はい?」
「だから、僕の。理事長にちなんだ七不思議」
唐突な申しいれに狼狽。私だけで判断しかねて、話を持ちかえらせてもらうことにする。化学部のときので見なおしてたけど撤回。どれだけ私たちを煩わせたら気がすむんだ、この人は!
「ってことなんだけど、どうしようか」
戻るなり相談。予想どおり、みんなの反応もかんばしくない。
「そうきたかって感じだよね。理事長らしいというか」
義井くんが困り顔で本日のおやつ、パステルカラーなメレンゲ菓子にかじりつく。手のひらくらいの大きさがあるので、それなりに食べごたえがある。
「相手にしなくていいだろ」と夏木くんは言うけれど。
「これだけ毎日お菓子もらってると僕、断りづらいよ」
「つっても、ムズくねえか。なんだよ、理事長にちなんだ七不思議って。意味わかんね」
おっしゃるとおり。私もまったく想像つかない。
「過去イチ適当でよくない?」
つぎの日、響子に相談すると秒で答えが返ってきた。
「できればそうしたい」
「しちゃいな。あたし決めたげるよ。三日間、理事長のこと見なかったら開運する。どうよ?」
「難易度高そう。しょっちゅう校内うろついてるよね、あの人」
「うん。ほぼ無理ゲーっしょ」
ふたりでけらけら笑いとばす。と左右にすばやく目を動かした響子が、すすすと体を寄せて声をひそめた。
「それより気をつけたほうがいいかも、七不思議」
テンションの落差と表情が真面目な話だとものがたる。ぞわっと寒気がした。
「まじで? 私たち、なんかやらかしてた?」
「てゆうか、目つけられてるっぽい。副会長に」
「えっ! それって、もしかして生徒会の?」
「うん。昨日あたし聞いちゃったんだよね、偶然。近々、接触してくるかも」
動悸と冷や汗がとまらない。これは理事長うんぬん言ってる場合じゃない。
どれだけくり返せば気がすむんだろう。さすがに、うんざりしてきた。
いまや日課となってしまった、さしいれおやつの受けとり業務。たいていは五分そこらで退散するけど、今日はどうしてもと懇願され着席することにした。
美味しい紅茶をふるまわれてしまった手前むげにもできない。とはいえ、みんなを待たせてしまっている。早く戻らないと。
「それで、お話ってなんですか」
リピート再生を中断、理事長がティーカップをおく。丸っこい二重の目がまっすぐに私を見つめた。
「次の七不思議、決まった?」
「まだですけど」
「じゃあさ、僕のつくってよ」
「……はい?」
「だから、僕の。理事長にちなんだ七不思議」
唐突な申しいれに狼狽。私だけで判断しかねて、話を持ちかえらせてもらうことにする。化学部のときので見なおしてたけど撤回。どれだけ私たちを煩わせたら気がすむんだ、この人は!
「ってことなんだけど、どうしようか」
戻るなり相談。予想どおり、みんなの反応もかんばしくない。
「そうきたかって感じだよね。理事長らしいというか」
義井くんが困り顔で本日のおやつ、パステルカラーなメレンゲ菓子にかじりつく。手のひらくらいの大きさがあるので、それなりに食べごたえがある。
「相手にしなくていいだろ」と夏木くんは言うけれど。
「これだけ毎日お菓子もらってると僕、断りづらいよ」
「つっても、ムズくねえか。なんだよ、理事長にちなんだ七不思議って。意味わかんね」
おっしゃるとおり。私もまったく想像つかない。
「過去イチ適当でよくない?」
つぎの日、響子に相談すると秒で答えが返ってきた。
「できればそうしたい」
「しちゃいな。あたし決めたげるよ。三日間、理事長のこと見なかったら開運する。どうよ?」
「難易度高そう。しょっちゅう校内うろついてるよね、あの人」
「うん。ほぼ無理ゲーっしょ」
ふたりでけらけら笑いとばす。と左右にすばやく目を動かした響子が、すすすと体を寄せて声をひそめた。
「それより気をつけたほうがいいかも、七不思議」
テンションの落差と表情が真面目な話だとものがたる。ぞわっと寒気がした。
「まじで? 私たち、なんかやらかしてた?」
「てゆうか、目つけられてるっぽい。副会長に」
「えっ! それって、もしかして生徒会の?」
「うん。昨日あたし聞いちゃったんだよね、偶然。近々、接触してくるかも」
動悸と冷や汗がとまらない。これは理事長うんぬん言ってる場合じゃない。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
三十六日間の忘れ物
香澄 翔
ライト文芸
三月六日。その日、僕は事故にあった――らしい。
そして三十六日間の記憶をなくしてしまった。
なくしてしまった記憶に、でも日常の記憶なんて少しくらい失っても何もないと思っていた。
記憶を失ったまま幼なじみの美優に告白され、僕は彼女に「はい」と答えた。
楽しい恋人関係が始まったそのとき。
僕は失った記憶の中で出会った少女のことを思いだす――
そして僕はその子に恋をしていたと……
友希が出会った少女は今どこにいるのか。どうして友希は事故にあったのか。そもそも起きた事故とは何だったのか。
この作品は少しだけ不思議な一人の少年の切ない恋の物語です。
イラストはいもねこ様よりいただきました。ありがとうございます!
第5回ライト文芸大賞で奨励賞をいただきました。
応援してくださった皆様、そして選考してくださった編集部の方々、本当にありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる