七不思議をつくろう

真山マロウ

文字の大きさ
33 / 65
第四の不思議

難敵登場

しおりを挟む
「中垣、呼ばれてんぞ」
 翌日の昼休み、クラスの子に言われる。ドアのところを見て「げっ」と心で悲鳴。そこには今もっとも会いたくない人物、鬼塚くんがいた。

「すまない、休憩中に」
「大丈夫。それよりも話ってなにかな」

 好奇の目をかいくぐり非常階段に移動する。一秒でも早く、この時間を終わらせたい。

「七不思議、中止してもらえないだろうか」

 リクエストどおり鬼塚くんが単刀直入。心づもりはしていたけれど、こうして現実になると衝撃はんぱない。しかも、とどめを刺された気分だ。終わった、なにもかも。これまで頑張ってきたのに。あと半分だったのに。

 胸に押しよせる、悲しさと悔しさ。と同時、一縷の望みが脳裏をよぎる。そういや夏木くんが言っていた。鬼塚くんは頭かたいけど話せばわかるやつだって。

「問題でもあった? 私たちのとこにはクレームとかもきてないんだけど」
 深呼吸。諦めるよりも、まずは対話だ。

「俺のところにもきていないが、今後くるおそれがある」
「だったら、まだ中止しなくてもよくないかな。楽しみにしてくれてる人たちもいるみたいだし」
「そうかもしれないが、なにか起こってからでは遅い。チームをとりしきる立場なら、そういったリスクを考慮しておくべきだ」
「とりしきるって、私が?」
「中垣がリーダーだと聞いた。それに一番話がつうじそうだと思ったんだが」

 聞きずてならない発言だ。イラッとくる。
「なにそれ。みんな、ちゃんと話つうじるし」
「……確かにそうだな。悪かった」
 素直に謝罪するところは、話せばわかる、なのかもしれないけれど。

「それに、そもそも理事長の発案なんだから、そっちに言ってよ」
「言って聞かなかったから、こうして頼みにきた」
 玉砕ずみだったのか。あの人の相手をしなきゃだったのは同情するものの、それにしたって独善的だ。

「ともかく、風紀を乱すことは慎んでくれ。中垣たちに悪意がないことはわかっている。しかし、インチキまがいの情報で生徒たちを扇動しているのは褒められたことじゃない」
「はあ? インチキ?」

 的確に怒りをあおってくんのは、わざとなの? それとも天然? 噂とちがって、怖いっていうよりも腹立つんだけども。

「そろそろ昼休みが終わる。授業の準備をしたほうがいい。時間をとらせてすまなかったな。さっきの件、ほかの連中にも伝えておいてくれ」

 反論の暇もあたえず、鬼塚くんが去っていく。どんだけマイペース。話しても全然わかってくれない!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

嫌いなところが多すぎるなら婚約を破棄しましょう

天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私ミリスは、婚約者ジノザに蔑まれていた。 侯爵令息のジノザは学園で「嫌いなところが多すぎる」と私を見下してくる。 そして「婚約を破棄したい」と言ったから、私は賛同することにした。 どうやらジノザは公爵令嬢と婚約して、貶めた私を愛人にするつもりでいたらしい。 そのために学園での評判を下げてきたようだけど、私はマルク王子と婚約が決まる。 楽しい日々を過ごしていると、ジノザは「婚約破棄を後悔している」と言い出した。

貴方といると、お茶が不味い

わらびもち
恋愛
貴方の婚約者は私。 なのに貴方は私との逢瀬に別の女性を同伴する。 王太子殿下の婚約者である令嬢を―――。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

悪役令嬢カタリナ・クレールの断罪はお断り(断罪編)

三色団子
恋愛
カタリナ・クレールは、悪役令嬢としての断罪の日を冷静に迎えた。王太子アッシュから投げつけられる「恥知らずめ!」という罵声も、学園生徒たちの冷たい視線も、彼女の心には届かない。すべてはゲームの筋書き通り。彼女の「悪事」は些細な注意の言葉が曲解されたものだったが、弁明は許されなかった。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。 結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの? もう、みんな、うるさい! 私は私。好きに生きさせてよね。 この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。 彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。 私の人生に彩りをくれる、その人。 その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。 ⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。 ⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。

王太子妃に興味はないのに

藤田菜
キャラ文芸
眉目秀麗で芸術的才能もある第一王子に比べ、内気で冴えない第二王子に嫁いだアイリス。周囲にはその立場を憐れまれ、第一王子妃には冷たく当たられる。しかし誰に何と言われようとも、アイリスには関係ない。アイリスのすべきことはただ一つ、第二王子を支えることだけ。 その結果誰もが羨む王太子妃という立場になろうとも、彼女は何も変わらない。王太子妃に興味はないのだ。アイリスが興味があるものは、ただ一つだけ。

処理中です...