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前編
酒だつまみだ宴会だ!後編(主人公視点)
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「よぉ、ヴィル!成人おめでとう!」
「ありがとうございます、アヒムさん」
ラルフさんが厨房に戻ってしまってからも、俺達のテーブルにはひっきりなしに人がやってきてはお祝いを言ってくれ、嬉しいやら忙しいやら。
「お前さえよけりゃ、俺達と一緒に狩人やらねぇ?お前ならバルトみてえにすぐS級になれるぜ?」
と、ほろ酔い加減らしいアヒムさんがそう言うと、周りがざわついた。
「あっ!コラてめえ!抜け駆けすんな!ヴィルが狩人やるってんなら俺達だって!」
「アヒム!酔っぱらってるフリしてさりげなく抜け駆けすんじゃねえよ!」
ワイワイと、途端に俺は蚊帳の外になり、血の気の多い現役狩人達はしまいにはケンカ腰になってくる。
「てめぇら、この俺の前でケンカしようってのかァ?いい度胸じゃねぇか」
あやうく拳が出そうになったところに割って入ったのは、
「自由組合長!」
「うげっ、組合長」
「チッ。居たのかよ」
狩人自由組合で荒くれものの狩人達を束ねる、自由組合長のゲオルグさんだった。
相変わらずのゴリマッチョ。迫力。
「居ちゃ悪いか?この野郎」
「あだだだだだ!スンマセン!ギブ!ギブ!」
ゲオルグさんはアヒムさんの肩に手をかけるとミシミシ言うほど力を入れる。
すげぇ握力。
俺もあの筋力の半分でもあればいいんだけど。
「そのへんにしときなさいなゲオルグ。お前の馬鹿力で怪我人出されちゃたまったもんじゃありませんよ。誰が治療すると思ってるんですか」
「ああん?ウチの事に口出しすんなよヤン」
「組合長!」
うわぁ。
すげえツーショット。
狩人自由組合と癒師自由組合の自由組合長が揃うとか。
年イチの会議ぐらいしか顔合わせないくらいレアな顔ぶれなんですけど。
さすがに先生もヤンさんの前だと呑気に飲んでられないらしく、麦酒の入ったジョッキを置いて立ち上がった。
「ほら、そんなことよりゲオルグ。ヴィル君とティナちゃんにお祝いは言ったのかい」
「今言おうとしたとこだよ!そしたらウチの馬鹿共が揉めてやがったんでな」
お二人とも忙しいのに、ありがたいなぁ。
「おう、騒がして悪いなヴィル、ティナ。成人おめでとう」
「二人とも成人おめでとう」
「ありがとうございます」
「「で、もちろんうちに所属してくれるん「ですよね?」「だよな?」」
組合長二人は見事な不協和音で同じ事を言うと、お互いにガッシリ胸ぐらを掴み合った。
カーンと、ゴングがどこかで打ち鳴らされた幻聴が聞こえた気がする。
「てめぇ、ヴィルは昔から狩人になるっつってたんだよ、横入りすんじゃねえこのヒョロメガネが」
確かに、父さんに憧れて俺も成人したら狩人をやってみたいとは常々公言してたけどさ。 きき腕がこれじゃだめだと諦めてるんだけど……。
「おだまりなさい、この脳筋が。ヴィル君は小さい頃から薬術を熱心に勉強していたのです。知識もさることながら、調合の手際も素晴らしいのですよ。施薬師としてさらに研鑽を積むことを希望するに決まってます」
薬の調合はただ好きでやってるだけだから!なんかこう、混ぜるのが好きというか、魔法のない腹いせに薬草で水薬を作ってみたかっただけなんです……!邸の蔵書で調べた独学なんです……!
ていうか、お二人とも俺を買いかぶりすぎだから!
「あぁん?」
「なんですか」
二人の間に火花が散ってるように見える。
ひええええ。
「組合長!あんたがケンカ腰になってどうすんだよ!」
「そうですよ!落ち着いて下さい組合長!」
両方の自由組合の人達が慌てて間に入る。
ポロン………
「あらあら、みなさん少しおちつきましょう?」
わあわあと、大の男達が集まって混乱するその場に、洋琵琶を弾いた音色がハッキリと響いた。
奏師のテレーゼさんだ。
「せっかくのお祝いの場ではありませんか」
おっさん達が途端にピタリと静かになった。
さすがテレーゼさん。おっさん達のアイドル。
ポロロン………。
「さ、みなさん、大いに歌い、踊りましょう。今宵は我らがヴィクトールとティアナのめでたき祝いです」
ポロン………
ポロロン…
「ヴィルっ!一緒に踊ろ!」
テレーゼさんがリュートを演奏し始めると、俺はティナに手を引かれてフロアの真ん中に進み出た。
「いいぞー!ヴィル!ティナ!」
軽快な音楽と料理と酒と、俺達は時を忘れて楽しんだ。
「ありがとうございます、アヒムさん」
ラルフさんが厨房に戻ってしまってからも、俺達のテーブルにはひっきりなしに人がやってきてはお祝いを言ってくれ、嬉しいやら忙しいやら。
「お前さえよけりゃ、俺達と一緒に狩人やらねぇ?お前ならバルトみてえにすぐS級になれるぜ?」
と、ほろ酔い加減らしいアヒムさんがそう言うと、周りがざわついた。
「あっ!コラてめえ!抜け駆けすんな!ヴィルが狩人やるってんなら俺達だって!」
「アヒム!酔っぱらってるフリしてさりげなく抜け駆けすんじゃねえよ!」
ワイワイと、途端に俺は蚊帳の外になり、血の気の多い現役狩人達はしまいにはケンカ腰になってくる。
「てめぇら、この俺の前でケンカしようってのかァ?いい度胸じゃねぇか」
あやうく拳が出そうになったところに割って入ったのは、
「自由組合長!」
「うげっ、組合長」
「チッ。居たのかよ」
狩人自由組合で荒くれものの狩人達を束ねる、自由組合長のゲオルグさんだった。
相変わらずのゴリマッチョ。迫力。
「居ちゃ悪いか?この野郎」
「あだだだだだ!スンマセン!ギブ!ギブ!」
ゲオルグさんはアヒムさんの肩に手をかけるとミシミシ言うほど力を入れる。
すげぇ握力。
俺もあの筋力の半分でもあればいいんだけど。
「そのへんにしときなさいなゲオルグ。お前の馬鹿力で怪我人出されちゃたまったもんじゃありませんよ。誰が治療すると思ってるんですか」
「ああん?ウチの事に口出しすんなよヤン」
「組合長!」
うわぁ。
すげえツーショット。
狩人自由組合と癒師自由組合の自由組合長が揃うとか。
年イチの会議ぐらいしか顔合わせないくらいレアな顔ぶれなんですけど。
さすがに先生もヤンさんの前だと呑気に飲んでられないらしく、麦酒の入ったジョッキを置いて立ち上がった。
「ほら、そんなことよりゲオルグ。ヴィル君とティナちゃんにお祝いは言ったのかい」
「今言おうとしたとこだよ!そしたらウチの馬鹿共が揉めてやがったんでな」
お二人とも忙しいのに、ありがたいなぁ。
「おう、騒がして悪いなヴィル、ティナ。成人おめでとう」
「二人とも成人おめでとう」
「ありがとうございます」
「「で、もちろんうちに所属してくれるん「ですよね?」「だよな?」」
組合長二人は見事な不協和音で同じ事を言うと、お互いにガッシリ胸ぐらを掴み合った。
カーンと、ゴングがどこかで打ち鳴らされた幻聴が聞こえた気がする。
「てめぇ、ヴィルは昔から狩人になるっつってたんだよ、横入りすんじゃねえこのヒョロメガネが」
確かに、父さんに憧れて俺も成人したら狩人をやってみたいとは常々公言してたけどさ。 きき腕がこれじゃだめだと諦めてるんだけど……。
「おだまりなさい、この脳筋が。ヴィル君は小さい頃から薬術を熱心に勉強していたのです。知識もさることながら、調合の手際も素晴らしいのですよ。施薬師としてさらに研鑽を積むことを希望するに決まってます」
薬の調合はただ好きでやってるだけだから!なんかこう、混ぜるのが好きというか、魔法のない腹いせに薬草で水薬を作ってみたかっただけなんです……!邸の蔵書で調べた独学なんです……!
ていうか、お二人とも俺を買いかぶりすぎだから!
「あぁん?」
「なんですか」
二人の間に火花が散ってるように見える。
ひええええ。
「組合長!あんたがケンカ腰になってどうすんだよ!」
「そうですよ!落ち着いて下さい組合長!」
両方の自由組合の人達が慌てて間に入る。
ポロン………
「あらあら、みなさん少しおちつきましょう?」
わあわあと、大の男達が集まって混乱するその場に、洋琵琶を弾いた音色がハッキリと響いた。
奏師のテレーゼさんだ。
「せっかくのお祝いの場ではありませんか」
おっさん達が途端にピタリと静かになった。
さすがテレーゼさん。おっさん達のアイドル。
ポロロン………。
「さ、みなさん、大いに歌い、踊りましょう。今宵は我らがヴィクトールとティアナのめでたき祝いです」
ポロン………
ポロロン…
「ヴィルっ!一緒に踊ろ!」
テレーゼさんがリュートを演奏し始めると、俺はティナに手を引かれてフロアの真ん中に進み出た。
「いいぞー!ヴィル!ティナ!」
軽快な音楽と料理と酒と、俺達は時を忘れて楽しんだ。
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